おしっこの音




 皆さんの中で「音姫」というトイレの擬音装置の事を御存じの方は多いと思います。
1988年にTOTOが発売した、女性用トイレの音消し装置です。「音姫」が登場する前にもすでにいくつかの会社から音消し装置が発売されてたそうですが、ザーっていうシャワーの音みたいなのとか、ラジオの雑音みたいなものとか、メロディや警報が流れるものや、川のせせらぎみたいに聞こえるものもあったようです。実はTOTOで音姫の音を決める時も、クラシック音楽とか鳥の声とかいろんな音が検討されたそうです。そして結局、トイレから聞こえてきても不自然さを感じさせない音という事で“ゴォー”というトイレの洗浄音になったそうです。
女性が自分のトイレの音を他人に聞かれるのが恥ずかしいという理由で、今までは用足し中に水を流す人が多かった事に対して、節水効果を狙ったエコロジー商品です。
この女性の用足しの際の「音消し」は、日本では江戸時代にすでに登場していたそうです。当然当時は水洗ではなかったのですが、お姫様や身分の高い人は音を隠すためにお付きの人が土瓶に入った水を流して、音をカモフラージュしていたそうです。(なんと携帯用の音消し用土瓶まであったそうです)
ちなみに当時の女の人は、おトイレに入るのを見られたりする事も、たしなみに反する事だったそうです。これはどうやら、いわば日本特有の文化というか習慣のようで、欧米の女性達には、おしっこの音を恥ずかしがるという感覚は、ほとんどないそうです。

 ところで、女性は男性に比べて、おしっこの音が派手な感じがします。これは勿論個人差があると思うので一概には言えませんが、少なくとも私の中の経験では、女性のおしっこの音の方が派手で元気な音がするようです。理由はいろいろと考えられると思います。おしっこの管の長さや、太さ。それによる水流の勢いの違い。そして噴出口付近の構造の違いなど、様々な要素が関係してくるのでしょうか。いずれにせよこの事は、少年時代から私の中で、ずっと大きなナゾの一つでした。

●実験その1●

 そんな訳でA子さんの協力の元、今回そのナゾの噴出口に大接近して、その『音』を記録してみる事にしました。A子さん宅に普段私が仕事で使っているモバイルのデジタルレコーディングマシンとコンデンサーマイクを持ち込みました。簡易レコーディングスタジオの設置です。
今回の録音に関しては、まず放出したおしっこが洗面器や便器等に当る音を小さくしなければならないので、お風呂場で、高いところ(湯船の縁にしゃがんで)から放出してもらったりもしましたが、床のタイルに当るおしっこの音が予想以上にマイクに入ってしまったりで、色々と試行錯誤の連続でした。
 結局一番よく録れた方法は、洗面器に乾いたタオルをふっくらと敷いて、それにおしっこを吸収させて消音する、という方法でした。
マイクは噴出口から約1センチの距離まで近付けました。世界初?のおしっこの24bitデジタル録音です。ははは〜〜〜。元の音源はすごくリアルに録れたのですが、MP3にエンコードしたら、結局ショボイ音になってしまいました、、、とほほ。でもまあ、雰囲気だけでもお楽しみください。

 実は今回の企画は、当初「男性と女性のおしっこの(出口の)音の違い」だったのですが、男性被験者の私の場合、おしっこの出口部分の音はほとんどしなかったので、残念ながら比較対象にはなりませんでした。
ただ、男性でも包茎の方や子供等、出口の回りに皮がある場合は「シュー」と音がする場合があるそうです。

大接近の音はこちら

●実験その2●

 A子さんの提案で、洋式トイレに座って太股を閉じた状態での音を録音してみました。
皆さん御存じのように『音』というのは空気の振動です。何かが物理的に空気を振動させなければ、音はしません。例えば鈴虫は背中の薄い羽根をこすり合わせて空気を細かく振動させて「リ〜〜〜ン」という音で鳴くわけです。ですから、女性のおしっこの場合、噴出口付近が閉ざされている時と、開かれている時では違った音がするのではないか、と水風船博士は考えました。今回の実験のように、噴出口付近が閉ざされている場合、水流がより摩擦の多い経路を経て、放出される事になるのではないでしょうか?
さて、結果はやはり全然違う音がしました。A子さん曰く、洋式トイレに座って足を閉じておしっこをする時は、便器の外にこぼれる心配がないので、思いっきり放出できるそうです。今回の実験でも、A子さんはかなりおしっこを我慢していたにもかかわらず、結構短時間ですごい勢いで放出を終え、その音は、まるでジェット機のエンジンのようでした。録音をした音を聞いて、びっくりしました。

ジェット噴射の音はこちら


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