おしがまエッチ外伝 順子(よりこ)編




 横山順子は由衣や朋美と同期入社であったが、当初1年間、庶務課の配属になり、由衣たちとは階が違ったために滅多に顔を合わせることがなかった。
(女だらけの寮生活、朋美の場合1) (ねもっちゃん4) などに登場
翌年の人事異動で本部経理課に戻されて、いつしか「ねもっちゃん」を中心とするお騒がせグループに足を引きずり込まれれていた。
やがて由衣は秘書課、朋美は広報課と、それぞれ配置換えによって離れていくが、それがかえって仲間意識を強くしていったようである。
 順子はその風貌から、かなり男性からモテる、あるいは相当遊んでいると思われがちであったが、実際の彼女はオクテなほうで、二十歳を迎えるまで男性との深い関係は全くなかったが、社会人になってすぐに知り合った同年代の男性と意気投合し、しばらく交際を続けたが、その男のモノの考え方の幼稚さがイヤになり、すぐに別れてしまっていた。

 順子が経理課に戻ってきた年の忘年会。
アルコールが苦手な順子は場の雰囲気に乗れず、次から次にビールを注ぎに来る男性たちに閉口していた。
その誰もが飲めないことを信用せず、強引に飲ませようとしたり、それでも断ると、半ば気を悪くしたようなそぶりで去っていったりと、順子にとっては辛いモノであった。
 お開きになると、同期の由衣や朋美たちは、さっさと彼氏と待ち合わせをして姿を消してしまい、まだ完全に事業本部の流れに乗れていない順子は、ホテル玄関で一人取り残されてしまった。
粉雪が舞う寒い日であった。 (朋美の場合3参照)
「あれえ横山くん、ひとり?」
 忘年会の幹事役で、後片付けなどをしていた渉外課の佐々木主任が、コートを羽織りながら近づいてきた。
彼は当時28歳の独身で、見た目はあまりパッとしないが、それでもどこかりりしさを感じる男性であり、順子は少なからず心をひかれていた。
しばらくホテルの玄関で待っていたら、ひょっとしたら佐々木と話をする事が出来るかもしれないと思っていたからであった。
「置いてきぼりかよ。小原くんたちとはぐれたの?」
「ううん、由衣ちゃん彼氏と行っちゃった・・」
「あはは、あいつらなあ・・公認の仲だもんな。」
「なんか・・うらやましいです。」
 順子にしては珍しく、仲良く出て行くカップルに対して「うらやましい」と言う表現をしていた。
「じゃあオレたちの二次会につきあえよ。この先のスナックにみんないるから。」
「ありがとうございます。でも・・わたし飲めないし・・」
「ああそうだったな。全くダメなの?」
「はい・・、ワインならほんのちょっと・・かなあ・・?」
「そうか、それはかわいそうだな・・。」
 飲んで騒いでいるであろうスナックに引き連れて行っても、全然おもしろくないであろうと佐々木は言った。
「よし、じゃあふたりでワインバーにでも行こう!」
「え、でも・・私・・そんなに飲めませんよ。」
「いいよいいよ。一口だけつきあいな!」
 そこまで優しくされるとは思っていなかった順子はうれしさを隠せない。
渉外課で、主に苦情対策や地域振興などの活動を献身的にやっている姿を見かけ、その姿勢に尊敬するモノを感じていた。
おまけに優しい。
忘年会の会場でも無理にお酒を勧めたりせず、代わりにウーロン茶の手配などもしてくれて「自分から楽しまないとダメだぞ!」と、ふさぎ込んでいる順子を諭してくれりもしていた。
「おうオレだ。ちょっとアクシデントが起きたのでそっちに行けないわ!」
 佐々木は携帯電話で仲間たちに告げて、順子を促した。
「でも・・みなさん待ってらっしゃるのに・・」
 せっかくの二次会を私のためにフイにさせてしまうのは気が引けた順子。
佐々木は、気にすることはない。一度ゆっくり君と話してみたかったと言って、順子をタクシーに乗せた。

 六本木のはずれのテナントビルの一角。
その小さなワインバーのカウンター席に、順子は佐々木と並んで座っていた。
「無理に飲まなくてもいいからな。」
 これまで「飲め!」と言われたことは数知れないが「飲まなくていい!」と言われたことは記憶にない。
順子はそのことが嬉しくて、ロゼのグラスを口に運んでみた。
ゴクッと一口飲み込むと、すぐに喉の奥が熱くなり、むせるような感覚がわき上がってくる。
それでもこれまでのような嫌悪感は感じない。
「あ、なんか・・おいしい・・みたい。」
 初めてお酒の味を知ったような気がして、順子はそう言った。
「はは・・それはよかった!」
 佐々木は本当にそう思ってくれているようで、その顔はほころんでいた。
順子が更にもう一口飲もうとすると、
「おっと!、少し間を開けて。様子を見ながらにしな!。」
 まるで子供に教えるかのように、また優しく諭す佐々木。
順子に言い寄ってきた男性は確かに多かったが、こうして大事に接してくれる男性は初めてで、それが嬉しくてたまらない。
冷たい水が入ったグラスを手看取ると、
「優しい佐々木主任に乾杯!」
 順子は少しおどけたような声でそう言って、佐々木のグラスをはじいた。
佐々木は笑いながらそれを受けていた。

 たった3口、それだけで順子は酔ったような状態になってしまっていた。
体質的にアルコールを受け付けないのか、動悸が早くなり、目は焦点が定まらなくなっている。
順子はそれを何度か経験しているので、いつも飲むことを控えていた。
しかしこの夜、そのしんどさが逆に順子をハイにさせていた。
普段は無口な方であったが、まるで何かがはじけたようにしゃべり出し、それは仕事に対する愚痴であったり、不満に思っていることへの意見であったり、はたまた世の男性のふがいなさを解く力説であったりと、さすがの佐々木も驚きを隠せないほどの勢いであった。
「ちょっと酔ったのか?」
 あまりの変貌ぶりに佐々木が言うと、
「ワイン3口で酔ったりなんかしませんよーだ!」
 あきらかに酔っている返答が帰ってきた。
それでも佐々木はいやな顔もせず、順子の言う言葉に耳を傾けてうなずいたりしていた。
「わたし・・なんかやっぱり酔っぱらいみたい・・水飲まなきゃ!」
 しばらくして順子が我に返ったようにそう言って、グラスを取って一気に口へ流し込んだ。
「あっおい!!」
 それは水ではなく、グラスに半分ほど飲み残していたワインで、それまでに飲んだ分とほぼ同じぐらいの量があった。
ゴホッゴホッとむせる順子。
「おいおい、大丈夫か?」
 佐々木はあわてて順子の背中をさすり、新しく入った水を勧めた。
「ごめんなさい・・大丈夫です。」
 順子自身が驚きを隠せない。
ふぅ・・と大きく溜息をつき、佐々木に向かって照れ笑いをして見せ、ゆっくりと水を飲んでいった。
「しんどくならないうちに店を出ようか?」
 佐々木が心配そうに言う。
「・・・ごめんなさい・・、ちょっとしんどいです・・」
 順子は正直にそう言った。
吐き気はなかったが、なんとなく体がグルグル回り出したような感じがし、息苦しいような気もする。
「うん、冷たい空気に当たる方がいいかもな!」
 佐々木はそう言って順子を立たせ、店を出ることにした。
足下がふらつく順子。
両手で佐々木に抱きつき、腰を支えられながら歩く。
外は粉雪が舞っており、しんしんと冷えていた。
「送っていくよ。家はどこだっけ?」
 タクシーを探しながら佐々木が言う。
「・・下北(沢)です。」
「そうか。じゃあ・・」
「主任!」
「ん?」
「主任のおうちって・・遠いですか?」
「いや、ここからだと車で15分ぐらいかな?」
「・・・行っちゃだめ?」
「え?」
「主任のおうちで休みたい・・迷惑じゃ・・なかったら・・」
 順子はそれだけ言うと、まるで操り人形の糸が切れたかのように、力なく崩れていった。
「おいおい!」
 佐々木は順子を抱きかかえ、タクシーを止めると、
「さ、乗るぞ。しっかり!」
 そう言って順子を押し込むようにして乗せた。
コートがよじれてめくれあがり、ミニスカートごしの下着があらわになってしまったが、構っていられない。
行き先を告げると、佐々木は順子の体を自分の方へ抱きかかえた。
 粉雪が舞う夜の道を、佐々木と順子を乗せたタクシーが、シャーベット状になった路面を、軽いスリップを繰り返しながら走っていった。

「主任・・」
 佐々木の胸に顔をうずめて、まるで眠っているかのようにじっとしていた順子が、モゾモゾと動き出したのは走り出して10分ほど過ぎた頃だった。
「まだ・・ですか?」
「どうした。吐きそうか?」
「ううん・・逆です・・」
「逆??」
「・・・」
「逆って?」
「おトイレ・・」
「え?」
「おトイレ行きたい。おしっこ・・」
「あ、ああ、もうすぐだから。」
「おしっこ行きたいです!」
 順子は甘えるように佐々木の顔に向かってそうつぶやいた。
無理もない。順子はワインバーに入ってから一度もトイレに行っていなかった。
飲んだワインはわずかであったが、アルコールを薄める意味でかなり水を飲んでおり、忘年会場でのウーロン茶なども加えると、相当量の水分を溜めていたと思われる。
到着するまでに、順子は数回「おしっこ!」という言葉を口にして佐々木を焦らせた。
 彼の住むマンションにたどり着き、引きずり出すようにして順子をおろすと、
「主任・・おトイレ!」
 順子は子供がぐずるような感じで佐々木にしがみついた。
シラフなら決して口にしないであろう言葉を、わずかなアルコールで酔っぱらっている順子は口走っている。
しかし言い換えればそれほどせっぱ詰まった状態であったのかもしれない。
 彼にしがみつきながら部屋までたどり着くと、
「主任、音聞かないでくださいよー!」
 順子はそう言いながらコートを佐々木に手渡し、ふらつく足取りで案内されたトイレに入っていった。
相当我慢していたのか、そのトイレに入って数秒もしないうちに、軽快な音を立てながら順子のおしっこが始まった。
佐々木は素知らぬ顔でトイレの前を通り抜け、リビングの明かりをつけてエアコンのスイッチを入れていた。

 順子の酔いはまだ冷めていなかった。
佐々木が出してくれたウーロン茶を一気に飲み干し、少しろれつが回らない感じのしゃべり方で、
「主任・・彼女とかは・・?」
 部屋の中をキョロキョロ見渡しながら聞いていた。
「ああ、半年ほど前かなあ、別れちゃったよ。今は独り者!」
「あ、じゃあさ、じゃあわたし立候補!!」
「あん?」
「あー、私じゃダメって言ってる!!」
「おいおい、誰もそんなこと・・」
「じゃあ決まり!私が主任の彼女になるー!!」
「そいつはありがたい。」
「ホント!?ホントにそう思う!?」
「ああ、こっちからお願いしたかったぐらいだ。」
「うれしい!」
 順子が嬉しいと言ったのは正直な気持ちであった。
「けど、あんまり遅くならないうちに帰らないと・・」
 佐々木が時間を気にかけている。
「ううん、今夜は帰らない!」
「え!」
 順子のうちは放任主義で、両親はあまり彼女の行動を制約していなかった。
いいかえれば、それだけ順子を信用しているとも言える。
今夜の忘年会も、遅くなれば同僚のうちに泊まると言ってあり、親も、遅く帰って来るよりもその方が安心だとも言っていた。
かといって、順子に外泊する予定があったわけでは無く、なんとなく親にミエをはったような感じのモノであった。
順子は佐々木にそう伝え、
「わたし・・主任だったらいいですよ。」
意を決したようにそう言い放った。
「ごめんなさい・・初めてじゃないけど・・」
 言いながら佐々木にすり寄って、その胸に顔をうずめたところで、順子の記憶はプッツリと途絶えてしまった。

 部屋に差し込む日差しで順子は目を覚ました。
「えっ!」
 見慣れない天井。右横には佐々木が眠っている。
(あっわたしったら・・昨日・・)
 けだるさが残り、まだ覚め切っていない頭を振り絞って、順子は事態を把握しようとした。
(そうだ、主任と飲みに行って・・えーとえーと・・)
 徐々に甦ってくる昨夜の出来事。
狭いベッドにふたりして寝ている。順子は壁側に寝かされていた。
いつの間に眠ってしまったのであろう。彼がベッドまで運んでくれたのか?
ひょっとして夕べ・・?
順子は回転が遅い頭にいらだちながら、おそるおそる布団をめくってみた。
「!!」
 初めて見る大きなTシャツを着ている。きっと佐々木のモノであろう。
ブラはしていなかった。
(えっえっ、主任が着替えさせたの!?)
 下はショーツ1枚の恰好になっていた。
(うそおっ!みんな見られちゃったんだあ!!)
 一気に恥ずかしさがこみ上げてくる順子。
モゾモゾと動いたことで佐々木が目を覚ました。
「あ、起きてたのか?」
 佐々木は何事もなかった課のように平然とそう言った。
「あ・・あの・・主任、わたしゆうべ・・その・・」
 順子は何をどう言っていいのかわからず、うろたえるように口ごもった。
「ああ、眠っちゃったからさ、着替えさせたよ。」
「あ・・の、その・・見ちゃったんですね?」
「なにを?」
「その・・私の胸とか・・パンツ・・」
「ああ、しっかり見させてもらった!」
「いやーん!!」
 順子は思わず布団の中に顔をうずめてしまった。
「ついでに言うとさ、ストッキング脱がす時さ、勢いでパンツも一緒に・・」
「言うなあバカァ!!」
 布団の中で順子は叫んでいた。
自分から佐々木に迫った事も思い出した。
確かにそう願っていた事は事実である。
しかし今、順子はそのことが恥ずかしくてたまらない。
 どれぐらいの時間そうしていたのであろうか、おそるおそる布団から顔を出すと、そこに佐々木の顔があった。
「キャッ!」
 一瞬たじろいだ順子の唇に佐々木の唇が重なってくる。
順子は抵抗することなくそれを受け入れた。
やがて佐々木の手がTシャツの中に入り、順子の震える胸にそっと触れてきた。
「ん・・」
 声にならない声で反応する順子。
佐々木の手は優しく、時には強く、順子の体の上を移動していった。
密かに心惹かれていた人物。その人に今愛されようとしている順子。
恥ずかしさはあっても、それはある意味心地よい恥ずかしさであった。
 しかし順子はもう一つ大きな問題を抱えていた。
目が覚めた時から感じていたそれは、意識がはっきりするに従って大きくなり、今は危険信号すら発している尿意であった。
考えてみれば、夕べ佐々木の部屋に来たときに飛び込んで以来、まったくトイレには行っていない。
それが何時のことで、今が何時なのかはわからないが、順子の膀胱がパンパンに膨らんでいることだけは事実であった。
(どうしよう・・すごくおしっこしたい・・)
 尿意を堪えなながら抱かれる事になるなんてと、順子は心細くなっていたが、自分から望んで飛び込んだ順子である。
夕べは勝手に眠ってしまったために、今まさに愛されようとしているのだと思うと、尿意を訴えて中断してもらう事など出来るはずもなかった。
その間にも佐々木の手と唇は動き回り、いつの間にか小さなショーツも脱がされて、順子は一糸まとわぬ姿にされていた。
寒さは無い。
しかし膨らんだ下腹部の違和感で自然とふるえが起こる。
やがてその膨らんだ上を佐々木の手が滑り、にわかに増大する尿意におびえた順子は、
「あ、あの・・待って・・」
 息を切らせながらそう言った。
どうしたのと言うように佐々木が顔をのぞき込む。
「あ・・あの・・お風呂とか入ってないし・・」
 汗臭いかもしれないし、汚れているかもしれない体のことが心配でもあったので、順子はそう言ってみた。
「いいよ、気にすること無いから!」
 佐々木は全く気にならないという感じで、更に手を動かし、今にも敏感な部分に迫ろうとしていた。
「あ・・あの・・でもやっぱり先に(トイレに)・・」
「恥ずかしがり屋だね。ほんと気にしなくていいんだから。」
「え・・?」
「ありのままの横山くんでいいんだよ!」
 佐々木は、順子がにおいとか汚れを心配していると勘違いしているようで、おしっこがしたくて困っているとは気づいていないようである。
 夕べは酔っぱらった勢いで何度も「おしっこ」と口走っていた順子であったが、今事に及んで、どうしてもその言葉を発する事が出来ない。
(どうしよう・・やっぱ言わなくちゃ・・)
 そんな思案を巡らせているうちに、佐々木の指は順子の一番敏感な部分に達していた。
「あっ!」
 かなり大きな声を上げながら身をよじる順子。
快感とすさまじい尿意が同時にわき上がり、意識が飛びそうになってしまう。
何度もその部分を刺激され、頭の中では必死に閉ざしている尿道が開きかかって、順子は更に声を上げてしまった。
「感じやすいんだな!」
 佐々木は嬉しそうな顔をして順子をのぞき込んだ。
感じているのは事実であるが、おしがま状態でのエッチ経験が全くない順子にとって、それはたまらなく辛いものでもあった。
(あああっおしっこが出ちゃうぅ!)
 順子は叫びたくなるのを必死で堪え、佐々木の指を挟んだまま太ももをしっかりと閉じ合わせてしまった。
佐々木は何も言わずに手の動きを止め、
「いいね。いくよ!」
 そう言って、ふたたび順子の足を割った。
おしっこがしたくてたまらなくなっている順子であるが、一生懸命愛してくれている彼に対して、今更それを拒むことなど出来ない。
万が一に備えて、お尻にしっかりと力を込めた状態で彼を迎え入れた。
しばらく遠ざかっていたせいか、少しだけ痛みを感じる。
「さ、もっと力を抜いて!」
 何も知らない佐々木が言う。
促されておそるおそる力を抜いていくと、
「いいよ!もっとリラックスしてごらん!」
 佐々木は言いながら体を動かし出した。
「あっあっあっ・・」
 はじめ少し苦痛に感じた挿入感が、時間経過と共に徐々に満たされた感情へと変化していくと、もうどうなっても構わない!この人が好きだ!と、順子の感情を高ぶらせていって、佐々木の背中に回した手に力を込め、その動きに自分の体を合わせていった。
 これまでにない充実感が順子の体を駆けめぐり、知らず知らずのうちに声までが大きくなって、順子の体はのけぞるように反応していった。
それに刺激されて佐々木の動きも一段と大きくなり、更に刺激を与えようとしてか、敏感になって包皮から飛び出している順子の小さな突起に、佐々木の指が伸びて来た。
「あああいやあぁっ!」
 その刺激はすさまじいもので、翔子を一気に別世界へと誘いかけたが、同時に、ただでさえ堪えきれなくなりかかっている尿道口が開きかかり、
「いや、だめっおしっこ出ちゃうぅぅ!」
 たまらなくなって順子はそう叫び、大きく体をのけぞらせた。
その叫びが彼を刺激したのか、
「いくよっ!」
 佐々木は絞り出すような声でそう言うと、体を動かすリズムを急速に早め、次の瞬間ピタッと止まったかと思うと、順子のお腹の中でビクッビクッと、けいれんでも起こしているかのように震えて果てたようであった。
 しばらく抱き合ったまま荒い息をしていたふたり。
佐々木の額から吹き出た汗が、順子のほほを濡らしていた。
 やがて佐々木が体から離れると、栓が外れたような感覚を感じ、もうおしっこがあふれ出そうとしている事を知った順子は焦って、
「あ・・お、起こしてぇ!」
 荒い呼吸で佐々木に向かってそう訴えた。
「いいから、もうしばらく休んでな!」
 佐々木はいたわるよう感じで言ったが
「ちがうの・・おトイレ・・おしっこしたい・・」
 マヒしてしまっている順子の女の子の部分から、少しずつおしっこがこぼれ出しているような感じがして、もう恥ずかしいとか言ってられない。
「あ・・ずっと我慢してて・・その・・」
 佐々木に体を起こされながら、順子は必死に照れ笑いをしたが、その顔は引きつってしまっている。
「ごめん・・、気がつかなかったよ。」
 佐々木は神妙な顔をしてそう言った。
「あ・・いえ、その私が言わなかったから・・その・・」
「だから先にお風呂とか言ってたのか?」
 佐々木は更に恐縮したような顔をした。
もうそれに応える余裕がない順子は、ふらつきながら立ち上がり、おしっこがそれ以上こぼれ落ちないようにと、手をしっかりと差し入れて、裸のままトイレまで転がり込むように走った。
 一切の余裕はなかった。
ドアを開けた瞬間にそれは順子の指の間を通り抜けてあふれ出し、太ももを伝い出す。
ドアを閉めることも、音消しの水を流すことも出来ないまま、順子は便座に腰を下ろすと同時に思いきり恥ずかしい音を響かせてしまった。
半ば放心状態になって、背中を駆け抜けるような開放感に浸っていた順子は、数十秒にもわたって響くその音を消すことすら出来なかった。
「そんなに我慢してたんだ!」
 半開きのドア越しに佐々木の声がする。
そこで我に返った順子は今さらながら恥ずかしくなり
「いやーん、聞かないでくださいよぉ!!」
 と甘えたような声で訴えた。
「勝手に聞こえてくるんだよ。」
 佐々木は笑いながらそう言って順子を困らせた。
「ばか!、主任のエッチ!もう嫌いです!!」
 ありったけの声でそう言う順子であったが、後始末をし、ようやく水を流し終えてトイレを出ると、裸のままで佐々木の胸に飛び込んでいった。
「主任・・、こんな私・・きらい?」
 顔をうずめたまま聞く順子。
「そうだなあ・・、もう一回エッチして決めよっかな!?」
「ええ、またですかあ!?」
「いやかい?」
「だって・・、おトイレ行ったばかりだもん・・」
「いいよ、順子なら!」
「・・・!!」
 冬の日差しが入り込む部屋の中で、まるで外の寒さなど別世界であるかのような熱気を帯びた裸の影が、いつまでもいつまでももつれ合っていた。

 二人の交際が明るみに出たのは、由衣たちと信州旅行に行った少し後のことであった。



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