四人のオムニバス 1、由衣の場合




 ※ 登場する香織、真理、希美たちは、元モーニング娘。の飯田圭織、矢口真里、辻希美とは一切関係ありません。念のため・・・。

真理「ようののたん、相変わらずちっちゃいな!」
希美「よく言うよぉ。真理っぺが一番小さいくせにぃ!」
真理「へへん、おうおう、カリーナちゃん元気かぁ!?」
希美「カリーナじゃないよぉ、芹香!」
真理「そうセリカちゃんだったな。もう何ヶ月になる?」
希美「1歳半を超えだよ。」
真理「そうかあ、納車2年落ちかあ!ベロベロバー!」
由衣「ちょっと真理っぺ!」
真理「ん?」
由衣「今のやりとり、1年前と一緒だよぉ!」
真理「へ?」
希美「あ、そういえば前にうちに来た時にも言ってた、カリーナって!」
真理「まあな、オイラ半分は冗談の人生だもんな!」
由衣「それも前に言ってたって!」
希美「ほんとだあ、相変わらずだねえ。」
真理「へへん。で香織はまだ来ないのか?」
希美「うん。さっき恵比寿を出るって電話があったよ。」
真理「そうか。」

10月の連休に真理と香織がそれぞれ上京してきた。
お互いに忙しい中ではあったが、少しの時間でも会いたいと言うことになり、由衣は先に時間が取れた真理を引き連れて、希美が待つ大森駅に来ていた。
好奇心旺盛でヨチヨチと歩き回る芹香ちゃんを、代わる代わるにあやしながら立ち話をしていると、やがて人混みの中に香織の姿が見て取れた。

真理「おう、香織のやつが来たぞ。」
由衣「うん、目立つなあ・・かおりん。」
希美「また背が伸びたんじゃない?」
真理「ブーツのせいだよ!!」
由衣「すごいミニだね。」
希美「モデルさんみたい!」
真理「けっ!」
香織「よう!、おまえら相変わらずちっこいな!」
真理「お前がでかすぎるんだよ!」
由衣「かおりん、ジョッキーブーツ似合うね。」
香織「サンキュッ!真理っぺのくしゃくしゃブーツよりいいだろ。」
真理「ルーズブーツってんだよ!」
香織「よけいちっこく見えるぞ。」
真理「うっせいっ!」

この四人は久しぶりに会っても挨拶などしたことが無い。
香織の登場で一気に華が広がり、むずがる芹香ちゃんをなだめながら、四人は希美のうちへと流れていった。
 香織とは希美の結婚式以来。真理とはおよそ1年ぶりの再会である。
わずかな時間を惜しむように、四人は我先にとおしゃべりに興じた。

真理「ところで由衣、お前まだ小説はお休みしてるのか?」
香織「なんだ、休んでいたのか?」
由衣「うん。ちょっと単位が危なかったかさら・・。」
希美「けどなんとか滑り込んだんだよね。」
由衣「まあなんとかね。」
香織「じゃあ・・おしがまだっけ? そっちもお休みだったんだな?」
由衣「え、いや・・まあ・・」
真理「由衣の性癖に休みなんかあるもんか!」
由衣「性癖って・・」
真理「それなりに体験してたんだろ?」
由衣「まあ・・ね。」
香織「じゃあさっそく体験告白聞こうじゃないか!」
由衣「え〜、私だけぇ?」
真理「お前の世界だろ、お・し・が・ま!」
由衣「みんなだってトイレに困った事あるでしょ?」
希美「あは、たしかにね。」
真理「けど、話すとまた由衣の小説のネタになるぞ。」
香織「それは言える。」
由衣「久しぶりに会ったんじゃん。みんなも聞かせてよ。」
真理「あーあ、またネタ提供の場になるぞぉ。」
香織「はは・・、まあそれもいいかもね。由衣、聞かせろ!」
由衣「・・うん。じゃみんな順番に告白!」
真理「告白って・・おまえ・・」
香織「いいよ。ネタになるかわからないけどさ、話してやるよ。」
由衣「うん。じゃあここからは小説風に話していくね!」

 放送大学の試験が一段落した由衣は、ある日曜日、父の誕生日を祝うために、夫の篤史と一緒に柏の実家へ里帰りし、久しぶりに母親の手料理をほおばり、喜んだ父が勧めるままにビールなどを飲んで、水入らずのひとときを過ごした。
 夜の10時近くになり、二人はタクシーで柏駅に急いだ。
運良く上野行きの快速が入線するところで、二人は両手の大きな手提げ袋を揺らしながら、その電車に飛び乗った。
「ひゃ〜、滑り込みセ〜フ!」
「ああ、ラッキーだったな。」
二人は新松戸で武蔵野線に乗り換え、更に西船橋で総武線に乗り換えて平井まで帰る。
 程なくして電車は新松戸に到着し、武蔵野線のホームに上がると
(あれえ、なんか人が多いなあ・・・?)
違和感を感じた由衣。
ちょうどその時
「お急ぎのお客様に再度ご案内いたします・・・。」
早口でしゃべるアナウンスが流れてきた。
どこかで線路内に人が入ったとかで、安全確認をしているという。
「なんか・・電車遅れているみないだな。」
篤史が由衣の顔を覗きむようにつぶやいた。
「うん・・・」
由衣は柏駅を出たあたりから尿意を感じ出していた。
夕食でかなりビールを飲んでいたので当然である。
(どうしよっかなぁ、トイレ行っておこうかなぁ・・・?)
そう思って由衣は、
「あ〜ちゃん、なんかトイレ行きたくなって来ちゃった!」
とつぶやいた。
「ん、ああ、オレもちょっとな。」
「え、あ〜ちゃんも?」
「けっこう飲んだもんな、ビール。」
「そうだよね。」
「荷物オレが見ているからさ、由衣、先に行っておいで!」
「え〜、やだよ〜!まだ大丈夫だもん!」
娘夫婦の食生活を気遣って、由衣の母親はかなりの食材を手渡していた。
それは野菜から冷凍の魚に至るまで、手提げ袋4っにもなっていた。
それらを持ったままトイレに行くのは面倒であったが、かといって、全く知らない駅のトイレに一人で行くのは、この時間になると由衣には少し恐怖でもあった。
「あ〜ちゃんも一緒に行こうよ!」
「荷物けっこう重いから面倒だろ。オレはまだいいからさ。」
「一人じゃやだもん。」
「そんなこと言って・・あと何分かかるかわからないぞ。」
「だって〜・・、」
「そうだなあ、じゃあもう一度(常磐線に)もどって・・」
「?」
「北千住まで行ってさ、つくばエクスプレスに乗り換える手もあるぞ。」
「その方が早いの?」
「この様子じゃ多分な。けど秋葉でまた乗り換えだけど・・」
「・・けっこう大変だよね。」
「まあ・・荷物も多いし・・」
「・・・切符がもったいないから・・このままでいいよ。」
「そうか?」
実家に里帰りするために、この線区は何度か利用しているので、乗り換えに手間取ることは無くなっていた。
しかしまだ乗ったことがないつくばエクスプレスだと、切符の購入も含めてかなり手間取るであろう。
そう考えて言った由衣であったが、尿意は予想以上に高まってきて、やはり篤史に言ってこの駅のトイレを使おうかと迷いだした。
「お待たせいたしました。間もなく遅れておりました・・・」
それを篤史に伝える前に、電車が来るというアナウンスが入り、由衣は(やっぱり我慢する!)と決め込んで、置いていた手提げ袋に手をかけた。
 ダイヤの乱れから車内は混み合っており、由衣たちは座ることが出来なかった。
ドアに肩を寄せ、小雨が降り出した窓の外を眺めていると、ジワリジワリと下腹部に違和感が増してくる。
(・・やっぱりおしっこしたい!)
しばらくして由衣は、乗り換えの西船橋に着いたらトイレに行こうと考えるようになっていた。
 ところが電車は西船橋の手前で止まってしまい、なかなか動かない。
京葉線との絡みが云々で、信号停車をしているという。
新松戸を出てから20分以上かかってしまい、その時点で午後11時になろうとしていた。
 ようやく駅に到着し、はき出されるように電車を降りる人に押されて、由衣は片手に荷物をまとめ、もう片方の手で篤史の腕をにぎり締めて、人の流れに逆らわないように早足になっていた。
 何度か乗り換えで利用している西船橋駅。
しかしトイレがどこにあるのかは知らない。
人に押されながら、由衣はキョロキョロとトイレの表示を探した。
しかし背が低い由衣には、人垣にさえぎられて何も見えない。
「あ〜ちゃん・・、トイレどこ?」
篤史にそう告げようとしたとき、
「新宿方面へお乗り換えのお客様、少々お急ぎ下さい。間もなく・・」
構内放送がけたたましく流れ、総武線に乗り換える人の流れを一気に加速させた。
その流れに押され、由衣は必死で篤史にしがみつき、トイレに行きたいと思う意識に関係なく、八王子行きの電車が待つホームに降り立ってしまった。
「由衣、あと15分ぐらいだし、我慢出来るか?」
今にも電車に乗り込もうという体制で篤史が聞く。
「う、うん。」
15分。それは平井駅に着くまでの時間。
確かに15分ぐらいなら我慢できる。
駅に着いたらすぐにトイレに行けば何とかなるだろう。
それにもう電車に乗りかけている状態なのに、いまさら「無理!」なんて言えない。
由衣はそう思って篤史にしがみつくようにして乗り込んでいった。
 さすがに混み合った車内。
後から後から人が乗り込み、由衣たちは通路の中程まで押されていった。
「すごく混んでるねえ・・」
「ああ、遅れた電車2本分ぐらいの人が一気に乗り換えしてるんだよ。」
「あ〜ちゃん、ちょっと・・腕に捕まらせて・・」
由衣は背筋をピンと伸ばしても、ようやく指の第一関節ぐらいしか吊革に届かない。
片手に荷物を持ち、尿意でふくらんだ下腹部を抱えている由衣にとって、その状況では吊革をつかむことは出来なかった。
「わっ!」
発車した電車がポイントの通過で左右に揺れ、由衣はよろめいた。
ジンジンとうずき出しているおなかが気になって、足下に力を配れないでいる。
「ちょっと荷物貸せ!」
篤史はそう言って由衣が持つ手提げ袋を受け取って網棚に乗せると、
「さ、しっかり捕まっていろよ!」
吊革を握る肘を少し突き出すようにして、由衣が両手で捕まりやすいようにしてくれた。
「大丈夫か?」
篤史が腕越しに由衣をのぞき込む。
「うん、まあ・・」
由衣は曖昧な返事しか出来なかった。
 ビールによる尿意の高まりは秒を追うごとに強くなり、きついジーパンを内側から押し広げ、ベルトの下は完全にふくらみきっている。
普段おしがまには自信を持っている由衣だが、力を入れると決壊しそうになる恐怖が沸いてきて、不規則な揺れに対して足を踏ん張ることが出来ず、両手で篤史の腕にしがみつきながら、やや腰を引く格好で、揺さぶりをかけて来る尿意の波と戦うしかなかっt。
(ああ・・おしっこ漏れちゃいそぅ・・)
何人もの人が由衣の真ん前に座っている。
それらの視線も気になって、由衣はおなかをさすりたい衝動や、足をすり合わせたい衝動を必死でこらえていた。 (やばいよ〜っ!)
 父の誕生祝いで、夜の9時頃まで飲んでいた。
もちろんその間に何度かトイレには行っている。
実家を出る前にも済ませていた。
あれからおよそ1時間半・・・。
(やっぱり新松戸で行っておいたらよかったよぉ・・・)
今更後悔しても仕方がないが、弱気になってしまった由衣は何度もそう思っていた。

「荷物はオレが全部持つから、由衣はドアの方へ移動しろ!」
平井駅に近づき、篤史がそう言った。
「うん・・」
電車が減速する動きに併せて
「すみません、通して下さい!」
由衣は人の隙間を縫うようにして移動する。
人影でさえぎられて座席からの視線か無くなった時、由衣はとっさに前を押さえていた。
そのまま何人もの人が降りる体制になっているドアの前まで進み、運良く空いていた手すりに捕まると、電車の揺れに合わせて足をくねらせていた。
見る人が見れば「おしがまダンス」とわかってしまうステップ。
しかし由衣はとてもじっとしていられる状態ではなくなっていた。
 緩やかな減速で電車は到着した。
飛び降りた由衣は小走りで数歩進み、後から降りてくる人の波をかわしながら体をくねらせ、篤史が降りてくるのを待った。
両手に手提げ袋を持った篤史は、降りる乗客の最後の方にいた。
「いいから!、先に(トイレに)行っておいで!」
人の後ろから篤史がやや大きい声でそう言う。
由衣はその声に促されて、かなり前屈みになりながら階段へ向かった。
しかし階段を下りる衝撃が、痛いほどに張り詰めた下腹部に響き、思わず立ち止まってしまう。
そのまま手すりをつかみながら、一歩一歩踏みしめるように降りることしか出来なかった。
その間にも多くの人が由衣を追い越し、やがて篤史も追いついてきた。
「由衣!」
「だ、大丈夫だよぉ!」
由衣は振り返ることなく、ゆっくりと降りていく。
降りきったところで、少し小走りなってトイレを目指した。
 小さな平井駅の、その狭いトイレには人が数人並んでいた。
(あっだめだよぉ、待てないよぉっ!!!)
ギリギリの状態で飛び込んできた由衣にとって、トイレに並ぶ人たちの姿が悪魔にも見える。
頭の中で葛藤が始まった。
並ぶか!?
家までこらえるか!?
今の由衣にはそのどちらにも自信が無い。
体を揺らせてうろたえていた、そのわずかな時間にも、由衣の横をすり抜けて二人の女性がトイレに入っていった。
(ああ・・)
その後ろ姿を見て由衣は決心した。
篤史の待つ通路まで駆け戻ると
「あ〜ちゃん、早く帰ろ!」
そう叫ぶように言って改札の方へ駆けだした。
「お、おい由衣!」
ガサガサと手提げ袋の音を立てながら篤史が追いかけてくる。
改札機を出たところで追いついた篤史は、
「行ってないのか?」
心配そうに声をかけた。
「だって・・待てないもんっ!」
小雨が降っていることも気にとめず、由衣は走りながら言った。
走ると言っても競歩より遅い歩みで、むしろ普通に歩いているのと変わらない速度であったが、由衣にしてみれば必死の駆け足であった。
「大丈夫なのか?」
「・・・・」
駅のトイレがいくつあって、そこに何人が並んでいたのかを由衣は確認していない。
しかし由衣にとっては、そこに並んで待つことよりも、たとえ走ってでも帰る事、つまり動いている方がまだ我慢できると思ったのであった。
言い換えれば、じっと並んでいることが出来ない状態になっていたということになる。
同じ方向に歩く人がいることや、そばを走る車があることで、かろうじて由衣は持ちこたえていると言っても過言ではなかった。

 由衣たちのマンションは駅から徒歩8分。
駆け足なら5分の処にあった。
篤史に荷物を持たせていることも忘れ、由衣は必死で家路を目指した。
街灯が途切れた薄暗いところまで来ると、由衣は両手を足の間に挟んで走っていた。
誰が見ても、必死でおしっこをこらえていると見て取れる格好であった。
「由衣、大丈夫か?」
篤史がすぐ横まで来て声をかける。
「大丈夫じゃない〜。もうだめ〜っ!」
半泣きの声で叫ぶ由衣。
「おしっこしたい!おしっこしたい!おしっこしたい〜!」
やや離れたところに人影があったが、由衣はもう気にする余裕もないのか、そう繰り返し声に出していた。
「おいおい・・」
篤史もそれ以上かける言葉がない。
 やっとのことでマンションの玄関にたどり着き、由衣は大きく足踏みをしながら玄関ドアの暗証番号を押した。
しかし体が揺れているためにうまく押せない。
「あっあっあ〜もぉお〜!」
何度か失敗しながらもようやくドアを開け、エントランスに駆け込むと、幸いエレベータが一基止まっている。
他に人影はない。
「あ〜ちゃん、早くぅ!!」
両手いっぱいに荷物を持っている為に動きが遅い篤史を、由衣はせき立ててエレベータに乗りこんだ。
8階のボタンを押し、その場にうずくまる由衣。
かかと押さえをしながら体を揺すり、ジーパンのベルトを外していた。
「間に合うか?」
篤史が遠くの方で聞いたように由衣は思った。
「おしっこしたい!おしっこ出ちゃう!もう出ちゃう〜っ」
声の調子からして、決壊は秒読み段階であることは篤史にもわかった。
「だめっ出ちゃう!出ちゃう!あ、でっ・・」
そこで由衣の声が止まった。
「あい由衣!?」
篤史は一瞬ギョッとした。
「はぁはぁ・・」
小さくうずくまる由衣は、肩で息をしている。
それきり声を出さなくなった。
 8階に着きドアが開くと、由衣は手すりをつかみながらヨロヨロと立ち上がった。
左手をしっかりと足の間に挟み、右手で廊下の手すりにすがるようにして歩き出す。
 由衣たちの部屋はエレベータから最も遠い廊下の端の方にあった。
半分崩れ落ちそうな体制のまま、無言で歩く由衣。
あと2戸通り越せば我が家という処まで来て、由衣はその場にしゃがみこんでしまった。
「由衣!?」
後ろから篤史が声をかける。
由衣は肩をふるわせながら
「あ〜ちゃん・・先にドア・・開けてぇ・・」
くぐもった声で言う由衣。
「お、おう!」
篤史は由衣の横を通り抜け自室の玄関先まで来ると、荷物を全部床においてポケットから鍵を取り出し、おもむろに玄関ドアを開けた。
それを確認したかのように由衣がユラ〜ッと立ち上がり、手すりに体を預けながら近づくと
「ね・・ねえ・・クツのままでも・・いい?」
と、半開きのドアにもたれるような格好で篤史を見上げた。
「あ、ああ!」
篤史はそう言って更にドアーを開こうとした。
が、その拍子に体重を預けていた由衣の体が傾き、
「あ、ひゃ〜〜っ」
よろめきながら奇声を上げた。
そのまま2歩ほど中に入り、シューズボックスの扉にもたれかかったかと思えば、さらに崩れるようにズルズルと座り込んでしまった。
「あ〜ちゃんのバカ〜ッ!」
その声が終わらないうちに、ジュ〜という音が聞こえ、開いた両足の間からジーパン越しにおしっこがあふれ出してきた。
「あ・・あっあぁ・・」
声にならない声で由衣が叫ぶ。
シュワィ〜・・というかすれたような音に変わると、その勢いは強くなり、ジーパンを突き破って溢れるのが見て取れた。
あっという間に玄関のタイルに広がる由衣のおしっこ。
半開きの玄関ドアから入る廊下の照明で、それはキラキラと反射して見えた。
「はぁはぁ・・」
由衣はまだ肩で息をしている。
「あーあ、なにやってんだよ!」
荷物を取り入れ、ドアーを閉めた篤史があきれたような声で言った。
「だってぇ・・」
由衣はすすり上げて涙声になっている。
篤史がつけた照明に照らされると、由衣の漏らしたおしっこは一面に溢れ、そこにあったサンダルをも濡らして、それでもなお由衣のおしっこは出続けていた。
「オレももう限界だからな。」
篤史はへたり込んでいる由衣をそのままに、さっさと上がり込んでトイレに入っていった。
「うっ・・くぅ・・」
篤史に見放されたような感じになった由衣は、悲しさがこみ上げてきて、すすり泣く。
ジョボジョボと、トイレから篤史の放尿音が聞こえてきた。
その頃ようやく由衣のおしっこは終わりになっていた。
「うっ・・くぅ・・」
由衣は立ち上がることも出来ず、ただただすすり泣く。
ザーっとトイレを流す音が聞こえ、篤史が何やらゴソゴソしているが、由衣は顔を上げることが出来なかった。
篤史が近づいてくる。
由衣は緊張した。
「さ、由衣!」
「・・・・」
応えられない由衣。
「さ、立って!」
篤史に腕を取られようやく由衣はよろけながら立ち上がった。
ジーパンのお尻部分から、溜まっていたおしっこのしずくがぽたぽたと落ちる。
それでも顔は上げられずにいた。
「早く脱いじゃえ、風邪引くぞ!」
そう言いながら篤史は由衣のジーパンを脱がしにかかった。
「やっ!」
反射的に篤史の手をはらおうとした由衣。
「自分でできるか?」
その声はいつもの優しい篤史の声である。
おそるおそる顔を上げると、篤史はバスタオルを手に持っていた。
「まず脱いで!、サッと拭いてからシャワーしなよ!」
「・・・うん。」
「ほんとに君は困ったさんだなあ!」
「ごめ〜ん・・」
「まあいつものことだけどね。」
「い・・いつもじゃないもん!」
「あれえ、これでお漏らしは何度目ですかねえ!?」
「そ・・そんなに・・してな・・ぃ」
ジーパンやパンツを脱ぐ由衣を、篤史はずっと見つめていた。
由衣はこのときばかりは恥ずかしくて、いつまでもモジモジしていると、ついにはじれったいと言って篤史に脱がされてしまったのであった。

真理「なんだいなんだい、おしがまじゃなくてお漏らしかよ!」
希美「あはあ、由衣ちゃんやる〜!」
香織「まあなんだ。最後はノロケも入っているけどな。」
真理「そうだな。ダンナに脱がされて喜んでるんだもんな。」
由衣「よっ喜んでなんかないよぉ!」
真理「けど全部やってもらったんだろが?拭いてもらったり?」
由衣「まあ・・そうだけど・・」
真理「ほれみろ。」
香織「ふふん、由衣のダンナも染まっちゃったよなあ、由衣に!」
由衣「ひどいなあ、そんなあ・・」
希美「いいじゃん。私も由衣ちゃんに染められたもん!」
香織「そうだよな。お前ら二人はいいコンビだよ。」
由衣「・・次は誰の番?」
3人「はん?」
由衣「次のおしがま報告だよ!」
真理「おまえなあ由衣!」
由衣「約束したじゃん!」
香織「しゃーない。私がネタ提供してやるよ。」
真理「よっ、かおりん!待ってました!」


つづく

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