ゆいちゃん 3(スクール水着)




 小原唯(おばらゆい)当時10歳。埼玉県新座市
4年生になった唯はそれなりに自我に目覚め、特定の友達も出来るようになり、亜紀と翔子の2人とは特に仲良くなっていた。

 それは夏休み中のよく晴れた日であった。
プール教室があるその日、亜紀や翔子たちと一緒に泳げることが嬉しくて、唯は朝早くからウキウキし、早々に水着に着替えてしまい、その上からTシャツ、キュロットスカートをはいて学校へ行った。
学校で着替えるのは面倒なのと、このころから見られたら恥ずかしいという気持ちが芽生えだしていたからだ。
 集合の9時半に15分以上早く着いた唯であったが、すでにクラスの半数以上が登校していて、いつもと変わらないにぎやかさがあった。
 やがて担任がやってきて
「今日のプール教室は中止になった!」
と告げた。
「エー!!」
クラス全員がブーイングする。
前日まで2日間も降り続いた大雨で、プールの水が濁ってしまい、衛生上よくないので中止になったということである。
「わー、がっかりだねえ。」
この日を楽しみにしていた唯は、がっくりと肩を落としていた。
 そのまま解散となり、急に予定がなくなった唯たちは、ブラブラと学校を後にしたが、
「ねえ、うちに来ない?」
翔子が言った誘いに、唯も亜紀も即OKし、早速予定変更とばかりに翔子の家に向かった。
 エアコンが利いたリビングで冷たいウーロン茶をごちそうになり、今からどうしようかと相談していると、休暇中の翔子の父親が、
「だったら市民プールにでも行ったらどうだ?、乗せていくぞ。」
と言ってきた。
「けどさあ、子供だけでは行っちゃいけないんだよ。」
「うーんそっか・・」
どうやら父親は、プールまではつきあいたくない様子である。
「おっ、そういえば・・」
と、何かを思いだして奥の部屋に行き、
「あったぞ翔子。喜べ、としまえんのパスだ!」
数枚のチケットをチラつかせながら戻ってきた。
仕事関係でもらった入園乗り物フリーパスだという。
唯たちは歓声を上げ、連れていってもらうことを家に連絡し、早速翔子の父親が運転する車に乗って、としまえんに向かった。
 唯は水着を脱ぎたかったが、亜紀も翔子も水着を着ずに登校していた事に気後れして、何となく言い出しにくくなり、なかば意地を張るような気持ちで乗り込んでいた。

 夏休みのとしまえんは混んでいたが、3人は昼食を取ることも忘れ、時間を惜しんで楽しんだ。
翔子の父親も一緒にいてくれたので、乗り物で誰かがひとりぼっちになることもなかった。
 暑い日であった。
特に唯は水着を着たままなのでよけいに暑く、かなりの汗をかいてしまい、何度も休憩所で水を飲んでいた。
 3時になり、軽くハンバーガーで空腹をいやして帰る事になった。
その前にと、3人は連れだってトイレに向かう。
汗をかいているせいか、3人とも学校へ行く前に行ったきりのトイレであった。
 それほど混んではいないが、それでも数人の列があるトイレであった。
列に並びながら、唯は少し不安になっていた。
自分の後ろにも人が並び出すと、ますます焦った気持ちになる唯。
その不安というのは、スクール水着を脱ぐためには、Tシャツを脱いでしまう必要があるから、時間がかかると思ったからだ。
 いざ個室に入ると、ムッとする暑さでまた汗が噴き出し、肌に張り付いたTシャツを脱ぐのも一苦労し、脱いだそれを置く棚がないので、片手に持ったままキュロットを降ろした。
しかし床がビッショリ濡れていて、手を離すと落ちて濡れてしまう心配があったので、それなら先にスクール水着を脱ごうと思ってキュロットを穿きなおし、丸めたTシャツを持ったまま、水着の肩から腕を抜いていった。
 体にピッタリの水着は、汗で濡れてしまって脱ぎにくい。
それでもどうにかおへそあたりまで降ろすことができ、ファスナーに手をやった。
「あ、あれ?」
先ほどキュロットを穿き直したとき、急いでいたのでボタンは留めずにファスナーだけで留めていたが、そのファスナーが動かない。
体をくねらせたりして水着を脱いでいたので、その拍子に湿った生地にかんでしまったのかもしれない。
(ああもうぉ、これじゃあ脱げないじゃん!)
あせるとますます汗をかき、唯はいらだってきた。
むりやり力を入れても、わずかに降りるだけのファスナー。
何度か上下に動かしてみたが、完全にかんでしまっているようだ。
そのまま無理矢理キュロットを降ろそうと試みたが、破れてしまいそうで怖くて出来ない。
ドアーの外には唯が出るのを待つ人の気配も感じられる。
(もういいや、そんなにしたくないもん!!)
汗をいっぱいかいていたので、事実それほど尿意は感じていなかった。
うしろに並んでいる人に悪いと思った唯は、1時間ぐらいで帰り着くのであれば、今はスルーしようと思い、せっかく上半身まで脱いだ水着とTシャツを着直して、キュロットのボタンも留めて個室を出ると。外の空気がとても涼しく感じられた。

 ビッショリかいた汗が、車のエアコンで冷やされて心地よい。
後部座席に並んで座り、買い込んだジュースを飲みながら、3人はアトラクションの話などして楽しくはしゃいでいた。
 行きは関越自動車道を使ったが、帰りは一般道を走っていた。
それほど渋滞はしていなかったが、それでも信号待ちなどの自然渋滞が何度もあり、走り出して30分ほどしたころから、唯の尿意はかなり高まってきていた。
エアコンで汗が乾き、体が冷えてきたことで、何度も飲んでいた水分が唯の膀胱に集まりだしてきたようだ。
(まだかなあ・・やっぱりさっきおしっこしておいたらよかったよぉ。)
唯はこの日、家を出てから全くトイレに行っていないことになる。
およそ7時間。
いくら汗をかいていたとは言っても、朝から相当の水分を入れており、わずかずつ溜まっていたところに、汗が引いたことで一気に押し寄せて来た分が重なって、唯の膀胱はあっという間に膨らんでしまった。
1時間ほど経つと、
(どうしよぅ・・おしっこしたい!)
じっとしていられないほどの強い尿意が押し寄せる。
エアコンの風が素足に当たって、少し寒さまで感じだした。
 亜紀や翔子は何事もないようにしゃべっているが、唯はだんだんうわの空になってきて、話がかみ合わなくなり、窓の外ばかり眺めていた。
「唯ちゃん、どした?」
隣に座る亜紀がその様子に気づいたようで、少し心配そうな顔をした。
「あ、うん・・ちょっと・・」
友達の前であっても、恥ずかしくてトイレに行きたいとは言いづらく、まして翔子の父親がいる。
それにさっきトイレを済ませたはずなのに、また行きたくなったのかと思われてしまう。
唯は言葉を濁していた。
「元気なくなったね。酔った?」
その奥から翔子も心配して声をかける。
「あ・・ん、そうかも・・」
唯はどう答えていいかわからず、あいまいな返事しかできない。
我慢していることを気づかれないように、由衣はそっと足を組み替えたり膝頭をさすったりして、なんとか気を紛らわそうとしていた。
(早くおしっこしたいよ!)
(おなかパンパンだよぉ!)
今朝は朝食でオレンジジュースを飲み、翔子のうちではウーロン茶。
休憩所の水も何度か飲み、ハンバーガーを食べた時はコーラも飲んだ。
ついさっきはカルピスウォーターまで飲んでいる。
それらの半分以上が汗になって出ているとしても、残りの半分弱だけでもかなりの量になるのかもしれない。
(はやくっおしっこぉ!)

 関越道の測道沿いに走り、中原橋を右折すると唯のうちは近い。
翔子の家に着替えなどの入ったリュックを置いたままにしているが、唯はもう我慢が限界になっていて、とても翔子の家までは行けないと思い、ちょっと疲れたからと言って、先に降ろしてもらおうと翔子の父親にお願いして、家の前まで回ってもらった。
「ごめんね、り、リュック・・あ、あした取りに行くね。」
唯は焦っている。
これでもかと集まった水分が、唯の小さな膀胱の中で暴れ回り、早くあけろとノックを繰り返していて、じっとしていられない。
からだを揺すりながらそれだけ伝えると、翔子の父親に軽く会釈しただけで、見送ることなく門扉を開けて玄関に飛び込んだ。
気づかれているかもしれないと思ったが、それどころではない唯。
「ママー、ママーッ!」
無造作にサンダルを脱ぎ捨て、唯はキッチンにいる母親の元へ走った。
「ママァ、助けてよぉ!」
キュロットのファスナーをどうにかしなければならない。
「ファスナーが降りないのぉ!」
涙声でそう伝えると、母親は揚げ物をしているからちょっと待ちなさいとあしらった。
「だめえ!、おしっこしたいのぉ!!」
由衣は食卓いすに上体を預け、お尻を突き出すような格好で叫んだ。
「あらあら、どうしたのよ。」
母親は仕方ないわねと油の火を止め、由衣の前にかかんでファスナーをつまんだ。
「やだ、ほんとに動かないわね。」
そういいながら何度もファスナーを動かしてみる。
その動作が唯の膀胱へ刺激を与え、思わず腰を引いてしまう唯。
「これ、じっとしていなさい。」
母親にそう言われても、おなかを押さえられるので、とてもじっとしてはいられない。
手をキュロットの前に入れ、くねくねと腰を動かす唯の動作に、母親は唯が限界まで我慢していることを再認識し、
「いい!、ちょっとがまんするのよ!」
そう言ってキュロットのボタン部分を左手でつまみ上げ、右手に持つファスナーをいったん上に引き上げてから勢いよく下げてみた。
それを何度か繰り返すと、少し抵抗があったものの、ようやくファスナーが動き、
「ホラ降りたわよ!」
母親はうれしそうにそう言って唯を見上げた。
「うん、ママありがと・・」
唯はそう言いながら、地団駄ふむような動作でキュロットを脱ぎ捨て、飛び跳ねるようにしてトイレに向かった。
「あら、ゆいちゃん水着のまま・・」
母の声は聞こえていない。
唯はこのとき、ファスナーの事だけに気を取られていて、水着を着ていることをすっかり忘れていた。
それほど焦っていた唯であった。
トイレのドアーを開けるや、いつもしているように下着を降ろそうと手をやって、
「あっ!」
そこで初めて水着のままでいた事に気づいた唯。
「あっ、やっ!」
気づいたときはすでに遅く、あわてふためく唯を無視するかのように、スクール水着の生地を突き抜けておしっこがあふれ出し、それは両足にも伝って勢いよく落下し、便器や床を濡らしだした。
「あぁん・ママァ・・」
どうする事もできず、唯は立ったまま固まってしまい、母親を呼びながら泣き出してしまった。
 唯、4年生。これが2度目のお漏らしになる。


つづく

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