華穂 1(トラウマ)




 皆さんは華穂という女の子を覚えているだろうか?
ここに登場したのは1回きりなので「由衣の独り言 17」を 参照していただくと、ああそんな子がいたなと思い出していただけるだろう。
 そう、その華穂、あれから人事の異動があって、新人にはかなり厳しい渉外課への配属になり、きっとすぐに逃げ出してしまう(退職する)だろうと、あらかたの人がそう思っていたらしいが、さにあらず、彼女はそれなりに踏ん張り続けて仕事で成果を上げるようになり、この秋の異動で私が元いた秘書課に回ってきた。
 あの頃のような派手さは影を潜め、少し落ち着きが出てきて、久しぶりに見た彼女は大人の女性へと変貌を遂げている。
新配属になったその日、彼女は
「由衣さ〜ん、お久しぶりです〜!!」
 と、ニコニコした笑顔で飛びついて来て私を振り回す。
そんなに親しくしていなかったのに、人なつっこい性格はどうやらそのままのようである。
 ドア1枚隔てたその場所にいつも座ることになった彼女は、その日をきっかけによく私に話しかけてくるようになり、これまでのかなりの武勇伝(?)を聞き出すことが出来た。
早速そのひとつを紹介してみよう。

 幼い頃から、かわいいかわいいと周囲の大人たちに言われ続けて育った華穂は、かなりの早熟になり自我に目覚めるのも早く、小学校低学年の頃から、男の子の人気者になような振る舞いをするようになっていた。
当然女子からの反発が起こり、一時期いじめに遭う事もあったが、誰とでも気さくに話す事が出来る性格が功を奏して、そのいじめも深刻なものに発展する事はなかった。
 もちろん華穂自身も、常にかわいい、カッコいいと思われるように努力は怠っていない。
成績も苦手な体育を覗いて、ほぼ上位をキープしていたし、その運動音痴が、逆にまた「かわいい!」存在になっていることもあった。  高校を卒業するまでの間に、数え切れないほどの告白を受けていたのも事実であるが、多くの男子と接していた事で、華穂の理想はどんどん高くなっていき、同学年の男子がとても幼く感じてしまって、個人的につきあったのはふたりしかいないが、それもわずか数ヶ月で物足りなく感じて、彼女の方から別れを告げていた。
 そんなことがあったからか、いつのまにか周囲では
「大学生とつきあっているらしい。」
「おかしな大人に遊ばれていると聞いた。」
 と、あらぬ噂が飛び交うようになった時期もあって、あるいはそういう状態を心配したからなのか、両親は華穂に女子大への進学を勧め、華穂自身もそれほど迷うことなく同意して進学した。
 女子大であるサークルに所属した華穂は、それ何度も他大学の学生や社会人との合コンに参加するようになった。
合コンは理想が高い華穂にとって、年上の男性と出会える恰好の場所となる。
同席している先輩たちを差し置いて、華穂は常に目立つ存在をキープして、何度かチャンス到来の場面が生まれ、あと一歩のところまでこぎ着けたりしていたが、何かしらの邪魔があったりして不発に終わっていた。
 当然華穂にも焦りが生じてくる。
彼女よりも地味でおとなしい女の子が、もうすでに初体験を済ませたりしている現実を知っているだけに、なぜ私はまだなのかと……。

 秋の学祭が終わったころ、何度目かの合コンが行われた。
相手は某有名企業の一年生社員たち。
華穂にとって4〜5歳年上の男性は理想となる。
 男女6名ずつのその会で、華穂は若い頃の竹野内豊に似た男性に狙いをつける。
席はかなり離れていたが、途中2度行われた席替えで隣同士になる事ができ、さっそく本領を発揮する。
 彼も華穂のことを気に入ってくれたようで、そっとメアドの交換まではできたが、二次会でカラオケでデュエットまでしていたのに、その夜のお持ち帰りには至らなくて、物足りなさを感じる華穂であったが、その後も、決して自分から彼に連絡はしない。
男の方から誘うものとそう決めつけていた。

 数日経ってその彼から着信。
先日一緒だった同僚の○○と飲みに行くが、華穂も▲▲さんを連れて出てこないか、つまり2対2で飲みに行かないかという誘いであった。
ふたりきりででない事に少々不満はあったが、これも段階だと思って、華穂は▲▲にそのことを告げてそこへ出向いていった。
▲▲はどうやら○○に気に入られているようだ。
 合コンの時のような賑やかさはない代わりに、かなり親密な会話までできるようになり、やがて華穂と彼、○○と▲▲の、自分たちだけの会話になっていく。
それでもその日もそれ以上発展する事はなく、またこの4人で会おうと約束を交わすだけに終わっていた。
 それがそのあと2回続き、そのお開きの時に、
「今度はふたりだけで飲みに行こう。」
 と彼が華穂にささやいた。
(キターッ!!)
 もちろん迷う事なく二つ返事を返す華穂。
細かいことはメールで!!と交わしてその場を離れた。
 過去に幾度となく男子から告白を受けていたが、自分から待ち望んでいただけに、華穂の喜びと期待は大きい。
そしてその日は、クリスマスが近いある週末と決まった。

 もしかしたら……いやたぶんきっと今夜はお泊まりになる。
そう思った華穂は、▲▲たちとクリスマスパーティーをやるので外泊すると両親に伝えて家を出た。
もちろん▲▲の電話番号は両親は知っている。
 事実華穂はその日▲▲の部屋にいた。
彼の仕事の都合で、待ち合わせの9時まで時間をつぶすためだ。
▲▲も協力的で華穂が部屋を出る時間になると、わざわざ華穂の家に電話して、
「今から華穂たちとカラオケに行く。11時には帰ってくる。」
 などと一芝居打ってくれたりした。
あとでわかったことであるが、どうやら▲▲も○○といい仲に発展していたらしい。

 彼も華穂もまともな夕食を摂っていなかったので、食べながら飲もうと居酒屋風無国籍料理店に入っていった。
 ふたりきりとなると、さすがの華穂もかなり緊張してしまう。
いつものようなブリッ子は影を潜め、やや口数も少なくなる。
それでも彼はうまくその場をリードしてくれて、楽しく飲んで食べて……時間はすでに11時を回っていた。
 この後のことが気になってならない。
それだけで心臓が飛び出しそうになってドキドキしてしまう。
それと同時に、先ほどから華穂はもう一つかなり苦しんでいる事があった。
(……トイレ行きたい……)
 そう、ここに来てからまだ一度もトイレに行っていないのだ。
恥ずかしくて行けないのではない。
男性の前でトイレに行く事がとてもカッコ悪いと思い込む、そんなトラウマを持っていたのだ。

 幼稚園の遠足で大きな自然公園行った時のことだ。
遊んでいた女の子の一人がおしっこしたいと言いだし、トイレはかなり遠くだとわかると、ここでしちゃと言ってその場にしゃがんだのであった。
運悪くそこに男子園児が数人通りかかって、
「わっ、おしり出しておしっこしてるっ!」
「ひぇーカッコわるぅっ!」
「わーい、女がしゃがんでおしっこしてるぞー!」
 と笑いながらはやし立てたのだ。
そのときは必死になって男子たちを追い払った華穂であったが、確かにパンツを膝まで下げ、スカートをまくり上げておしりを丸出しにし、少し足を開いた恰好でしゃがんでいるその姿は不格好で見栄えのいいものではない。
それを男子たちに「カッコ悪い!」とはやし立てられた事が、まるで自分がそう言われてしまったかのように重く感じられてしまった。
 男の子のように後ろを向いてしまえば何もわからなくなるのと違って、女の子はいやでもその恰好をしなければおしっこができない。
男の子にそんな恰好を連想されるのがカッコ悪くてイヤだと、そう思い込むようになってしまったのは、常に自分はかわいくてカッコいい女の子であるというキャラクター作りが災いした出来事であったといえる。
 そんなことがあってからは、たとえトイレに行きたくなっても決して自分ひとりで行く事はなく、常にだれか他の女子か行くときにそっと便乗するか、あるいは誰かをトイレに行くように仕向けて、自分はそれに仕方なく付き添ってあげるんだというような、そういう状況をずっと作り続けていた。
 高校時代に何度かデートらしき事をしていたが、もちろんそのときも全くトイレには行っていない。
朝から出かけたときなどは、夕方、パンパンに膨れあがった膀胱を必死でかばいながら帰ってきた事もあり、
(なんでこの程度の男の前なのにおしっこ我慢しなけりゃいけないのよぉっ!!?)
 と、怒りに震えたこともあった。
それでも華穂は男の子の前でトイレに行く事だけは絶対に避けていた。

 11時半になろうとしている。
「今日…門限は?」
 唐突に彼がそう聞いてきた。
「ふたりきりで会って……たった2時間半で帰らせる気?」
 華穂はいたずらっぽくそう切り返した。
「じゃ…いいね!」
 彼は今更ではあるがそう確かめるように聞いて席を立った。
12月末の夜である。
分厚いコートを着ているとは言っても、ミニスカートに生足でいる華穂には辛い。
(やばいよ…おしっこ…我慢出来ない……)
 2時間以上もビールなどを飲んだ後の寒空である。
いくら我慢する事が多い華穂であってもかなりつらい。
トイレに行きたい事で頭がいっぱいになってしまった華穂は、どこをどう連れ回されたのか知らないが、気がつくとそこはラブホテルの入り口だった。
(初めてが……こんなところなのかぁ……)
 自尊心が強い華穂はいささか不満であったが、今はもう差し迫ったおしっこを何とか解放してやることが先決である。
促されるままに彼について行くしかない。
 クリスマスが近い週末だからだろうか、パネルに表示されている部屋はわずか一部屋だけが空いている状態であった。
「ここでいいよね!?」
 彼にそう聞かれたが、イヤだと言って断る理由もなく、それどころか今さら他のホテルに移動すること自体が、華穂の膨らみきった膀胱に死を宣告するような状況になってしまっているので、部屋が空いているだけ幸せであると言っても過言ではなかった。

 何となく想像していたラブホテルのイメージとは少し違って、部屋は広くては明るく、ごく普通のソファーなども配置されていて、ベッドが大きくてやや円形である事以外は、シティーホテルのそれとあまり変わりがない。
暖房はほどよく効いているようだが、床がカーペットではなくてビニール様のクッションフロアーなので、足下に少し冷たさを感じる。
 華穂は早くおしっこしてしまいたい気持ちをグッと堪え、こういう所は初めてなんだとはしゃぐように言いながら、物珍しそうに部屋中を物色してトイレなどの確認を行った。
 半透明ガラスのドアを開けるとそこは脱衣場所になっていて、さらに透明アクリルのドアの向こうに、手前に洗面、それに並ぶように洋式便器があって、わずかな透明仕切りのその奥に洗い場スペースとバスタブ配置されていた。
つまり広くて大きなユニットバスのような作りだ。
もちろんドアに鍵は着いていない。
 トイレの存在を確認した華穂の尿意は一気にピークに達していたが、それでも平静を装って彼が座るソファーに戻ってきた。
彼は冷蔵庫から缶ビールを取り出して飲んでいた。
そして飲みさしを華穂に勧めながら
「先にシャワーする?」
 と聞いてきたが、華穂は後でいいよとすぐに断った。
正直、すぐにでもおしっこしてしまいたい状態ではあるが、もし服を脱いでいるときに彼が入ってきたら……、あるいはおしっこ中に入ってきたら……と思うと、とても先に入ることは出来ない。
「だってお風呂から出てきた時、あなたがまだ服を着たままだとハズいじゃん!」
 と、うまくその理由を言うと、
「それもそうだな。」
 と、彼はすぐに立ち上がってドアの向こうに姿を消した。
しばらくしてショボショボと、あきらかにおしっこをする音が聞こえてきた。
(え……もうおぉ、水を流しながらやってよぉっ!!)
 彼のデリカシーのなさに少し興ざめした華穂であるが、その気持ちよさそうな放尿音が呼び水になってしまって、もうたまらなくなってしまう。
(もうおぉっいいから早く交代してほしいんだよぉっ!!)
 彼が見ていないのをいいことに、華穂はスカートの中に手を入れて、直接女の子の部分を揉み込んでいた。
気を紛らわそうと手元にあったリモコンを手にとって、照明を変えてみたりテレビをつけたりする。
 10分足らずで彼はバスルームから戻ってきた。
(え、もう出てきたの?、ちゃんと洗ったの?)
 と、いぶかしげに思う反面、
(よかったぁ、やっとおしっこできるぅっ!!)
 という安堵感が交叉する。
「じゃ、ちょっと待っててね!!」
 入ってこないでよと言う念を押す意味を込めてそう言うと、華穂は身体をまっすぐ伸ばすことが出来ないほどパンパンに膨らんだ膀胱を悟られないように、セーターの裾を引っ張って伸ばすようにしておなかを隠しながらバスルームに入っていった。
 ドアに鍵がないから、彼がいたずらで入ってこないことを祈るしかない。
小刻みに足踏みしながら、大急ぎで服を脱ぎにかかるが、もうほんのわずかでも気を抜いたら決壊してしまいそうな膀胱がその動作を邪魔する。
が、まちがってもお漏らしなどする事は出来ないので、華穂はとにかく必死になってセーターを脱ぎブラを外し、かがんでソックスを脱ぎにかかったが、
「あっだめっ!!」
 それでおなかを圧迫してしまいそうになって、とっさに手で押さえてしまった。
その波はしばらくして引いてくれたので、その瞬間を逃さずソックス、パンツと脱ぎ捨てて、透明のアクリルドアを押し開けた。
 彼がシャワーをした後だけに、そこは蒸気が充満している。
華穂は手前にある便器には目もくれず、そのまま奥のシャワーに手をかけて、一気にお湯を流し出した。
 先ほどの彼のおしっこの音もそうであるし、服を脱いでいるときもテレビの音がリアルに聞こえてきていた。
それほど音が筒抜けである事を華穂は理解したので、自分のおしっこの音を聞かれるのは耐えられないし、もし水を流しながらやったとしても、それはいかにも今おしっこしていますと公表するような感じがして、それならシャワーの音でと思ったのであった。
 限界を超えるほど我慢していたおしっこは、実際にはシャワーが出始める前にもう漏れ出していたが、それはそれほど気になる音にはなっていない。
(ぅ……はぁ……)
 我慢に我慢を重ねていたおしっこが解放されていく快感と、お風呂場とはいえ、初めて立ったままでするおしっこの感覚に、華穂は思わず声を漏らしていた。
そしてシャワーの温度を手で確かめながら、なにげに自分の下腹部を見て驚く。
(うそぉっ、こんなにおなか膨らんでたんだぁっ!!)
 まるで大きなボールがおへその下に入っているかのような、そんなまん丸の下腹部であった。
 徐々に勢いを増す華穂のおしっこ。
シャワーに混じり込んで流れていくその黄色みがかったおしっこは、おそらく1分近く続いていたかも知れない。

 華穂は初めてだと言うことを、自分のキャラクターからして知られたくなかった。
そう思って耳年増的に知っている限りの対応をしてみたものの、やはりいざとなると身体が固くなって本能的に拒もうとしてしまい、彼に未体験だとバレてしまう。
しかしそれは逆に彼を喜ばせる事にになって、すごく優しくゆっくりと進めてくれて、華穂は念願だった大人への一歩を済ませる事が出来た。
 後始末までも彼にされてしまった事はかなり恥ずかしかったが、それでもそんな優しい彼がいとおしくて、また抱きついてしまう。
そうして抱き合ったままいろんな話をしていく内に、ほどよい疲労感に包まれて、華穂は夢の世界へと誘われていった。

「さむ……」
 何時だろうか、華穂は寒さを感じて目を覚ました。
掛け布団から身体が半分ほど出てしまっていたようで、そっと自分の方にたぐり寄せてみる。
すぐ横には彼が口を半開きにして無邪気な寝顔をしていて、その左腕が華穂の首の下に回しこまれたままだった。
ちょうど腕枕をされたままで眠ってしまったようだ。
 じわじわと思考回路が働き出すと、つい何時間か前に起こった出来事がリアルに頭の中に甦ってきて、華穂は少しほほを染める。
それと同時に下腹部にまだ彼が挟まったままであるかのような、そんな存在感が伝わってきて、思わずそこに手を持っていった。
「え…・!?」
 全裸である。
そうなのだ、あのあと抱き合ったまま、そのまま眠ってしまったのだ。
(つぅ……おしっこしたい……)
 彼の存在感とともに、強烈な尿意がそこにあった。
寒かったのもあるが、あるいはその尿意のせいで目が覚めたのかも知れない。
振り返ってみれば、華穂は夕べ彼と会ってから1回しかトイレに行っておらず、このホテルにやってきてからも少し飲んだりしていたので、それなりの尿意があっても当然だ。
 トイレに行こうと身体を起こしにかかったが、彼の左足が華穂の足の間にまとわりついている。
彼を起こさないようにそっと身体をずらそうとすると、彼が違和感を感じてか華穂の方に向かって寝返りを打ってきて、右手までもが胸の上に置かれてしまった。
「いたっ!」
 下腹部に何か硬い物が突き刺さる。
とっさにそこに手をやると、
「わっ!!」
 それは紛れもなくカチカチに朝○ちしている彼の物で、弾みで思わず指先でつまんでしまっていた。
(おっきい!!)
 薄明かりの中で少し布団をめくりあげて見てしまう華穂。
さすがにその動きのせいか、彼も目を覚ましてしまった。
(しまったぁっ、起こしちゃったよぉっ!)
 彼が目を覚ます前にトイレに行こうとしていたのに、やぶ蛇になってしまった。
「なんだもう起きていたのか?」
「ぅ…ん…何時?」
「んー、まだ6時半だな。早起きなんだなぁ。」
「ん…ちょっと寒くなってさ…」
「ふぅん、じゃぁもう一度オレが暖めてあげるよ!」
 彼は冗談ぽくそう言うと、やおら華穂の胸に手をはわしにかかった。
「やんっ!!」
 それを払いのけようとしたものの、大柄な彼の手が簡単にどけられるわけがない。
あっという間に唇を這わされ、手は太ももあたりをまさぐりだしてきた。
「ちょ…ちょっとぉっ!」
 かすかに疼痛を感じるほどの尿意に迫られている華穂である。
今はとてもそんな気持ちになれないが、そんなことを何も知らない彼は元気に動き回りだしている。
カチカチに朝○ちしている状態だから、もう完全にスタンバイOKなのだろう。
 なんとか彼から逃れようと身をよじったりしてみたが、逆に彼はその動きに合わせるかのようにしてますますヒートアップしていく。
本心は「やめてっトイレ行きたいっおしっこしたいのぉっ!!」
 と叫びたい華穂であるが、鼻息を荒くして舌を這わせている彼に対して、とてもそんなカッコ悪い事は言えない。
そうこうしているうちに彼の手がワレメを触ってきたが、そこはまだ全然反応していない。
指がそっと小陰唇の合わせ目の最も敏感な部分に触れてきた。
「ひっ!!」
 まだ時期尚早とばかりに、触られるとそこは少し痛みすら感じてしまう。
それと同時にその刺激で、必死でとじ合わせている尿道口を開こうとしてしまって、華穂は更に身を固くしていた。
 まだだという状態を察した彼はそこから手を離し、今度は布団をはねのけるようにして身体を移動させ、その唇が胸から脇腹、下腹部の方へと移動し始めた。
カチカチの彼の物と同様に、パンパンに張って固くなっている下腹部の上を唇が滑っていくと、その圧迫でおしっこが飛び出しそうになってしまって
「いやあっ!」
 と華穂は叫んでしまった。
「もっと身体の力を抜いて!!」
 固くなっているおなかを、彼は華穂が緊張しているからだと勘違いしているのか、そんな事を言っていた。
そう言いながら彼はベッドの下に降り、華穂の両足を持って引きずるように身体を移動させてきた。
(な…なにするのっ!?)
 彼の行動が読めない華穂は少なからず恐怖を感じる。
その恐怖は現実のものとなった。
 華穂をおしりあたりまでベッド脇に引きずり込んだ彼は、そのままそこにかがみ込んで、華穂の両足を持ち上げて大きく開き、一所懸命力を入れてとじ合わせているおしっこの出口あたりに顔を埋めてきたのだ。
「やぁあんっ!!」
 華穂が大きな声で叫ぶ。
そういうことをされると言うことは知識として持っていたし、ある種の期待感も持っていたが、彼とはまだたった1回きりの関係であるために、あまりにも恥ずかしい。
本能的に足を閉じようとしたが、ガッチリとふくらはぎあたりを捕まれていて全く動けず、それどころか彼はその足を更に大きく倒してきて、華穂の大事な部分が突き出されて、もう薄明かりではあっても完全におしりの穴まで見られているような、そんな恰好にさせられてしまった。
 彼の舌がワレメの中を上下に走り回る。
恥ずかしさと屈辱感のようなものと、なぜかわき上がってくる気持ちよさと、そして刺激で飛び出してしまいそうになっている強烈な尿意に責め立てられて、華穂は完全にパニックに陥っていた。
「ひっっやめっ…でちゃ……」
 そう言いかかって華穂は口ごもる。
ほんとにもうおしっこは飛び出しかかっているが、そんな状況で尿意を訴えるなどあまりにもカッコが悪い。
かといってこのまま続けられてしまうと、もう数秒もしない内にもっとカッコ悪い事態を引き起こしてしまいそうだ。
「やめて……ちょっと痛いのっ!!」
 とっさに出た言葉である。
まだ経験が浅い事を分かっている彼は、その言葉で顔を上げてくれ、
「ごめん……ちょっと刺激が強すぎたかな?」
 と優しく言ったのに、またすぐに華穂の足を大きく割って、指による刺激を続け出していた。
さっきよりは少しだけ尿意も引いてくれたとはいえ、おしっこがしたくてたまらないことに変わりはなく、足を開かれてしまっているので我慢も辛い。
 華穂にはなすすべがまったくなくなって、夢中でなにかしら声を上げていたが、それは彼にしてみれば華穂が感じてきているのだと、そういう勘違いを促進させてしまっていたようだ。
「もう充分になったから行くよ!」
 華穂の様子がおかしいのを気づくこともなく、彼は自分の判断だけでそう言って荒々しく入り込んできた。
「いやぁああっ!!」
 まだわずか1回しか経験していない華穂の身体には……やはり痛みが走る。
それに加えてはち切れそうになっている膀胱が、身体の内側からすごい勢いで圧迫されはじめ、それはもはや苦痛以外の何物でもなかった。
おまけに彼は床に膝立ちの状態で華穂の足を大きく開いているので、初めての時よりも更に深く入っているようだ。
「いやあっお願い…あっぁっやめてぇっ!!」
 泣き叫び出す華穂。
彼はお構いなしに腰を動かしている。
もうすでに、自分の欲望だけで華穂を攻め立てているように感じられる。
「あぁっだめっ出ちゃうっ!!」
 ついに華穂は口走ってしまった。
そしてなんとかこの状態から逃れようと、ありったけの力を振り絞って彼を突き放していた。
「なっなんだよぉっ!!」
 その勢いで後ろに尻餅をつくようにへたり込んだ彼は、だらしなくベッドに両足を垂らした華穂のそのワレメから、チョロロロとわき水のようにおしっこが噴き出してくるのを見てしまった。
「え…ぁおいっ!!」
 彼は驚いたように声を出す。
彼を突き飛ばして身体が離れたのはいいが、そのために一点に集中させていた力を使ってしまったので、華穂の尿道口は支えを失った状態になって水門を開いてしまったのだった。
「いやあぁぁぁっ!」
 と叫ぶものの、華穂は完全に脱力してしまってそのおしっこを止めることも、身体を起こすことも出来なくなっていた。
そして次の瞬間、そのわき水のように噴き出していたおしっこが突然本流となって、シャーーと大きく弧を描くように噴き出し、ドボドボとクッションフロアの床に音を立てて跳ねていく。
それは少なからず彼にも降りかかっていた。
「わっバカッ止めろよっ!!早くっ!」
 彼はあわてて場所を移動しながら叫んでいる。
華穂にしても止められるものならなんとしても止めたいとは思っていたが、身体がまるで言うことを利かず、身動きすら出来ない。
が、いくら何でもそのまま放置の状態を続けたのでは、カッコいい女を演じている立場がなくなると思い、精神力を持って尿道口に力を集中させた。
 どうにか太くて勢いのよい噴出だけは止められたものの、完全に水門が閉じた訳ではないのかチョロチョロと小さな流れが続く。 同時に膀胱のあたりに何とも言えない不快感が取り巻いた。
そして転がるようにしてベッドの端まで行き、壁に捕まるようにして身体を起こすと、よろめきながら脱射場のドアノブに手を掻けることが出来た。
 その間もわずかずつではあるがおしっこはチョロチョロとこぼれている。
華穂はドアを勢いよく開け放つと、そこからは這うようにして洗い場まで身体を持って行き、バスタブに手を掻けたところで残っているおしっこを一気に噴出させた。
いや、自分の意志でそうしたのではなく、勝手に尿道口が開いてしまった言うのが正しい。
相当量を膀胱に残したままで止めて、よくここまで我慢できたと言えるだろう。
 頭からシャワーを浴びて身体をきれいにしてから、華穂は恐る恐るドアを開けた。
バスタオルなどは昨晩からベッドサイドに放置したままだったので身体を拭く事が出来ない。
「わ…悪い…ションベンしたかったのか……?」
 華穂に気づいた彼がバツ悪そうにそう言いながらそのバスタオルを手渡してくれた。
身体を拭きながら見ると、彼は自身が使っていたバスタオルやはがしたシーツなどを丸めておしっこ溜まりの上にあてがって始末をしてくれている。
何とも言えない痕跡を示すにおいが部屋の中で流れていた。
 一番カッコ悪いと恐れていた事を全部見られてしまった事がショックで、華穂は言葉も何も出ない。
黙りこくっている華穂に彼は、自分勝手すぎたと何度も謝って、失禁したことは気にするなと言ってくれるが、その言葉がかえって華穂の心を痛める事になっていた。

 気まずいままホテルを出て別れ、華穂はその日のうちに携帯電話を買い換えてそれっきりその彼との連絡を絶った。
 好きになりかけていた男性におもらし状態を見られてしまい、華穂はまた新たなトラウマを背負ってしまう事になって、それ以後も男性からチヤホヤされる事には何の抵抗もなく身を投げ出していたものの、ことおしっこになると、常に意識して辛い思いを繰り返すようになっていた。
 華穂はまだこの時点ではおしがまの醍醐味を一切知らない。
もっと早くにそちらの道に踏み込んでいたのなら、あるいはトラウマも別の形になっていたのかも知れないが……。



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