おしがま優里亜 8(年越しおしがま)




 最近は由衣ちゃんと会う機会がなくなっていたので、お正月は一緒にどこかへ遊びに行こうって決めていたんでけど、計画するのが遅かったのでどこもいっぱいで、結局は越前海岸にある料理民宿しか取れませんでした。
しかもお正月ではなくて暮れの30日だけ。
それもケン(健仁)ちゃんのお知り合いの民宿を、半ばごり押しみたいな形でやっと取ってもらったんです。(おしがまメール(由衣の独り言30)参照)
 両親には会社の男女数人で行くって伝えてました。
もちろんリーダーは由衣ちゃん夫婦です。
このふたりがいると両親は安心して私を出してくれます。

 12月30日のお昼過ぎに出発して、この日はストレスなしで民宿に到着して、4人でワイワイ騒ぎながらカニ三昧して、楽しい1日が終わって、翌朝目を覚ますと雪が降っていました。
寒気が来ているから雪になるって言うのは知っていたので、万が一に備えてケンちゃんのお兄さんからFF車を借りてきていたんですけど、雪の様子を見ているとなんとなくいやな予感がするというので、早めに切り上げて帰ることになりました。
 海岸沿いを敦賀に向かって南下している間は、雪は降っていてもそんなに積もっていくようには感じられませんでした。
だから私も由衣ちゃんもけっこう脳天気に騒いでいたんです。
でも長いトンネルを越えたあたりから一気に景色が変わってきて、そこから先は渋滞してました。
 運転しているケンちゃんと、助手席のアツシさん(由衣ちゃんのご主人)の会話から、決して楽観できないっていう空気が車内を包んでいったんです。
何となく緊張してきて、そしておしっこもしたくなっていました。
民宿を出てから2時間ほどが過ぎていたんですけど、泊まっていたお客さんのほとんどが私たちと同じようにバタバタと出発していたので、私はトイレに行けずに車に乗っていたんです。
由衣ちゃんも事務所でパソコンを借りて何かしていたから行っていないはず。
 不安な気持ちを抑えながら、それでもそれから30分ほどしてようやく休憩予定のドライブインに着きました。
ここでお昼を食べてタイヤ交換です。
 北陸道はまだ50キロ規制で走れたようなんですけど、その先、米原からの名神が通行止めになっているって知らされて、私たちは国道で帰ることになりました。
大きなトラックの跡をゆっくりとついて行く事で、無事に峠を越えて、びわ湖の西側を走る161号線に出ました。
 敦賀あたりまでの雪はサラサラ雪のように感じていたのに、それがだんだんと水分を含んだ雪に変わっていったようで、道路はシャーベット状態です。
所々凍っているみたいで、時々車がスリップしたりして気が気ではありません。
かなり車間距離をとってノロノロと走行していたんですけど、前も後ろも車がビッシリ詰まっていました。

 私も由衣ちゃんも、今回は特におしがま競争しようなんて思っていませんでした。
でもずっと車での移動だから、途中でおしがまになるかもしれないからって、ふたりともスカートにしていたんです。
いざという時のためにストッキングとかレギンスは穿いていません。
生足でいる方がよりアピール出来るよって、由衣ちゃんは意味深な事を言っていましたけど、それは事実だったかもしれません。(ナイショの話)
 でもその薄着が今は災いになろうとしています。
車の中は温かいんですけど、やっぱりニーハイだけの足下は何となく冷えていて、どうしてもおしっこが近くなります。
途中何度かトイレ休憩をしたんですけど、渋滞している雪の国道ですから、そんなに休めるところもなくて大変でした。
 全体的に言って今回は由衣ちゃんの方が何度も強いおしがましていたみたいで、一番かわいそうだったのは、堅田っていう地区に近づいていた頃、車が完全に動かなくなって、雪の中に1時間以上閉じこめられてしまった時でした。
 これより前の休憩でガソリン補給して、161はドライブインとかレストランが少ないから、買い込んでいたパンとかおにぎりを車の中で食べていたんですけど、由衣ちゃんはのどが渇いたからって私よりも多くお茶を飲んでいました。
何度もおしっこに行っていたから、脱水症状だって言っていましたけど、私は少し心配していたんです。
 それから2時間ほどが過ぎて、今は全く動かなくなった車の中です。
私もかなりおしがまになっていて落ち着かなかったのは事実ですけど、由衣ちゃんはピンチだって何度もおなかをさする動作で訴えてきました。
だけど周辺には何もなさそうな場所なのでどうすることも出来ません。
ラジオから聞こえる紅白歌合戦も、ほとんど耳に入っていませんでした。
 前の席にいる男性二人は、のんきにくだらない話をしては笑っています。
その後ろで乙女がふたり、一生懸命おしっこを我慢しているのに。
「由衣ちゃんだいじょうぶ?」
 私はそっとそう聞いてみました。
でもその返事は「もうだめかも‥‥」っていう心細いものでした。
私もこんなにおしがましているんだから、それよりも水分を多く摂っていた由衣ちゃんは相当だったんだと思います。
だけど全然車が動かないのでどうすることも出来なくて、ただひたすら我慢するだけでした。
 ガソリンスタンドでトイレに行ってからおよそ3時間になります。
もうすぐ新年が明けるというのに、私たち女の子はすごいおしがま中。
そしてついに由衣ちゃんはアツシさんにトイレの相談をしました。
でもそういう状況ですから、アツシさんも困っていたみたいです。
 ケンちゃんがたまに走ってくる対向車を止めてウインドウ越しに、この先にコンビニなどはあるかって聞いてくれました。
それによると、ここから1キロほど先の交差点に1軒あるって言います。
車が動かない以上、いやでもそこまで歩いていくしか有りません。
でも、それはとっても怖くて勇気のいる行動です。
暗い雪の国道を、渋滞している車の脇を歩いて行くんです。
普通に歩いても10分以上かかる距離なのに、滑りやすい雪の上を歩くんですから何分かかるか分かりません。
第一そこまで我慢できるのかも心配です。
私がそんな不安を感じていたんだから、由衣ちゃんはもっと深刻だったと思います。
 だからといってここにじっとしているのはもう無理です。
ケンちゃんをひとり車に残して、アツシさんが私たちをエスコートしてくれることになって、私と由衣ちゃんはコートを羽織って車の外に出たとたん、さっきまで止んでいた雪がまた降り始めてきて、
(さむ‥‥)
 真っ先にそう感じました。
車の脇は雪が深くなっていて歩けないので、対向車があまり来ないからそちらの車道を歩くことにしたんですけど、タイヤの跡のわだちが凍っていたりして、足下をすくわれそうになってすごく歩きづらかったです。

 そんな苦労をしながら、おしっこできる場所を求めてそれでも一所懸命歩きました。
 何分ぐらい歩いたでしょうか、右手にポツンと一軒の建物がありました。
その前にさしかかったとき、そこから中年の女性3人が現れたんです。
その人たちは私たちの50メートルほど前を歩いていた人たちでした。
トイレに行くのならここで済ませたらどうかって、その人たちは言いました。
 道路から5〜6メートルほど奥まった所にその建物があって、その手前に大きな荷物コンテナがいくつか並べておいてあったんです。
建物とコンテナの間に入ってしまったら、完全な死角になるんだそうで、その人たちはそこで済ませたそうです。
そう聞いた瞬間、由衣ちゃんはお礼を言ったかと思うとスゴい力で私を引っ張ってその方向に歩き出したんです。
ブーツよりも深くなった雪の中をズボズボって勢いで。
 建物から少しひさしが出ていたので、そのコンテナの奥は雪があまり積もっていませんでした。
そこまで来ると、由衣ちゃんはサッと私から離れて、2〜3歩進みながらもうおしっこする体制に入っています。
そしてなんか小さく叫んだ瞬間、すぐにジョ〜って始めました。
それを見た途端、もう私も我慢できなくなって、由衣ちゃんの奥に回り込んでサッとしゃがみ込みました。
積もった雪におしりがつきます。
さっき由衣ちゃんが叫んだのはきっとこれでしょう。
 雪明かりにおしっこの湯気がモワ〜って上がって、ホッとしたら急におかしくなってきて、ふたりしておしっこしながらクスクス笑っていました。
表で見張り役をしてくれているアツシさんにも、絶対におしっこの音が聞こえているでしょうね。
 私がし終わってもまだ由衣ちゃんはまだジョ〜ってやってます。
由衣ちゃんがしゃがんでいる前の方の雪はすっかり解けてしまっていました。
 それから数秒後にようやく由衣ちゃんも終わったんですけど、あの小さな身体のどこにあれだけたくさんのおしっこを溜めておけるんでしょうか?
そして、どうやってあんなに我慢が出来るんでしょう。ぜったいに1リットル以上はあったと思います。
さすがは私のお師匠様です。
 おしっこが終わってふと時計を見たら、なんと新年になっていました。
私と由衣ちゃん、カウントダウンしながらおしっこしていたんです。
こんな経験、めったにないですよね。

 そそくさと道路の方に戻ってくると、私たちが来た方向と、行こうとしていた方からそれぞれ何人かの女の人がこちらに向かってくるのが見えました。
みんなここをかぎつけてきたんだと思います。
 またアツシさんに先導してもらって、吹雪いてきた中を戻って、それからしばらくした頃にようやく車が流れ出しました。
そしてなんとなんと、対向車の人が言っていた交差点にあるというコンビニは、実は1キロ以上、正確には2キロ近く先だったんです。
あそこで野ションせずに歩いていたとしたら、それこそ途中で大変なことになっていたかもしれません。

 それからは走っては停まり、停まっては走りの繰り返しで、うんざりする時間がずっと続いて、大津市と京都の県境の峠でまた動かなくなって、それでもしばらく待っているとノロノロと流れが出来て、あの野ションから2時間かけてやっと京都の山科まで帰ってきました。
 そこから先も決してスムーズには走っていませんけど、交通量がある分、まだそれなりにどうにか走れたみたいで、そのまま三条通り経由で京都市内に入ってきました。
どこかで休憩してお茶でもするのかなって思っていたら、私を早く送り届けないといけないからということで、そのまま西大路御池までやってきて、ここで由衣ちゃん夫婦を降ろして、あとはケンちゃんが私を家まで送ってくれるんです。
でも、実はこのとき、私はすごくおしがましてました。
 県境あたりで渋滞している頃からジワジワとおしっこが芽生えだして、由衣ちゃんたちと別れる頃にはもうおなかはパンパンになっていました。
だからどこかでコーヒーブレイクしたかったんですけど、時間が時間だからということでそれは叶いませんでした。
どうやら由衣ちゃんよりも遅れておしっこが製造されていったみたいで、2時間前の由衣ちゃん状態が今の私でした。
 助手席に乗り換えて走りだしたんですけど、京都はこのあたりから北に向かってすごく勾配がきつくなっていきます。
交通量も少なくなっているから、円町という所を超えたあたりから道路も真っ白で、なかなか思うように走れません。
スリップして車が横にブレるたびに、その衝撃が私のおなかを刺激して、もうたまらなくなっていました。
 白梅町という所まで来ると、北野天満宮に初詣に出かける人たちが雪の中を歩いていきます。
そこから先は更にきつい勾配で、このあたりから路上に放置された車が目立ってきて、それが進路を邪魔していて思うように走れません。
おしっこがしたくてたまらないのに、もう家まであとわずか、歩いても15分ほどの距離まで戻ってきているというのに、私は車の中に閉じこめられたままです。
 平野神社前の大きなカーブで車が横滑りをしました。
ケンちゃんがハンドルを勢いよく操作して、大事にはならなかったんですけど、大きなわだちにはまりこんだみたいで、なかなか抜け出せなくて、空回りするタイヤの振動がおしっこに響いて、もうほんとにお漏らししそうになりました。
 やっとそこを抜け出しても、道はもう完全にアイスバーンになっていて、すごく怖い状態です。
それでもケンちゃんは慎重に慎重に車を進めてくれました。
でも‥‥、由衣ちゃんたちと別れてからもう30分以上が過ぎていて、おしっこしたくてしたくてたまりません。
 右手にファミレスが見えます。
けっこうお客さんが入っているようです。
(あそこならトイレあるし‥‥)
 なんて思いましたけど、右折してそこに入ってほしいとはとても言えません。
(もうすぐ着くんだから!!)
 そう自分に言い聞かせていましたけど、家が近づいているということで、よけいに我慢がしづらくなっているようにも思えました。
だからといってケンちゃんにそう打ち明けることも出来ません。
運転に集中しているのに、よけいな心配をかけられませんから。
 それでもおなかはパンパンにふくれてしまって、スカートのホックでさえきつく感じてしまうほどになっています。
(ああ‥さっきの由衣ちゃんもきっとこんなだったんだろうなぁ‥‥)
 なんて、このときにそう思ったんですけど、感心している場合ではありません。
そのままさらにノロノロと北大路通りに入るカーブまでやってきました。
私のうちはここを直進です。
 でもそこから先は道も狭く、交通量がないせいか完全に凍っています。
そして‥‥、やっぱり放置された車が道をふさいでいました。
もうこれ以上は進めません。
仕方ないので歩いて帰る事になったんですけど、ドアを開けて冷たい風を感じたら、もうおしっこがあふれ出してしまいそうになって、動けなくなってしまいました。
 ケンちゃんはおみやげに買った海産物の荷物をトランクから出しています。
やっとのことで車から降りたのはいいけれど、その動作に刺激されてチュルッておしっこが少し漏れ出したのを感じました。
(やばいっもうだめっ!!)
 なんとかこらえようと力を入れてみたんですけど、寒くて身体が震えているもんだから思うようにいきません。
そして、少しずつではあるけれど、おしっこはもうツ〜って足を伝い始めました。
開け放したドアにしがみつくようにして動かない私を心配して、ケンちゃんがトランクごしに声をかけてきました。
わたしはもう思い切って打ち明けるしかありません。
「ケンちゃん‥‥もぉ無理‥」
「え、なに?」
「もぉ‥我慢できひん‥」
「え‥ぁあ、トイレか?」
「ずっと我慢‥しててん‥‥もぉ無理‥」
「ぁ‥そやけど‥‥」
「ほんま‥もぉ無理や‥」
「‥‥」
「ごめん‥あっち行ってて!!見やんといてっ!!」
 たしかそんな風な言葉を交わしたと思います。
その間におしっこはパンツの中で渦を巻きだしていたんです。
私は後部座席のドアも勢いよく開けて、その間にしゃがみ込みました。
ケンちゃんの存在がどこだかも確認する余裕もなしに。
コートとスカートはめくりあげていたけれど‥‥パンツは脱げませんでした。
そなまま、シュゥシュゥシュゥ〜って感じで、雪の上におしっこを始めてしまったんです。
雪が降り続く真夜中の住宅街なので、私のおしっこの音だけが異常に大きく響いているようで、恥ずかしくてたまりません。
けれど、これでもかっていうぐらいに溜まってしまったおしっこですから、すぐに終わるどころか、途中から更に勢いを増して出続けるんです。
 止めようと何度か挑戦してみたけれど、寒さも加わってなんかマヒしてしまっているようで、どうしようもありませんでした。
その途中で自然におしっこがとぎれた時があります。
まだ続きがあるようで尿意は消え去っていません。
けれどこれ以上はもう恥ずかしくてたまらないので、私はなんとかそこで食い止めて、ゆっくりと立ち上がりました。
パンツに溜まったおしっこが足を伝い落ちてきますけど、そんなことはもうどうでもよくて、私はコートを直しながらケンちゃんの存在を探しました。
彼は運転席のドアの所に、向こうを向いて立っていました。
暗いからきっと細かい事は見られていないでしょうけど、音だけは全部聞かれてしまっています。
「‥‥ごめん‥」
 私は照れ隠しも含めてそう言うしかありませんでした。
「あ‥いやぁ、すんげぇ我慢してたみたいやな。気づかんで‥ごめん。」
 ケンちゃんもなんだかバツ悪そうにそう言っていました。
「うん‥山科のへんから行きたくなってたん‥‥」
「そうか‥そんならオレも失礼して‥」
 ケンちゃんはそう言うと、まだ明けたままになっているトランクの影に回り込んで、そこで路肩に向かっておしっこを始めました。
ケンちゃんもおしっこ我慢していたのかもしれません。
それと、私だけが恥ずかしい思いをしないようにとしてくれたのかもしれません。
 でも‥私はまだおしっこが完全には終わっていなかったので、彼のおしっこの音に誘発されてまたすごい尿意が襲って来ました。
冷えたパンツが次のおしっこを呼び込んでしまったみたいです。

 それから15分ほどかかって、やっとおうちにたどり着くことができたんです。
起きて待っていてくれた両親はケンちゃんの労をねぎらって、温かい飲み物でもと奨めていましたけど、こんな時間まで私を連れ回した事を謝って、後日改めておじゃましますと丁寧に断って帰っていきました。
 両親が持った彼の第一印象は大成功です。
けど、私はその会話の間、おしっこが漏れそうになるのを必死で堪えていて大変で、ニーハイソもブーツの中もおしっこで濡れてしまっているから、玄関で裸足になってトイレに飛び込む始末でした。
 あ〜あ、とうとうケンちゃんの前でおしっこしっちゃったなぁ‥‥
私のこと、どう思ったかなぁ‥‥??



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