おしがま優里亜 5(ドライブデート 優里亜の告白)




 健仁(けんと)さんとおつきあいするようになって、もうすぐ3ヶ月になります。
去年の秋頃まで、私はずっと前の彼との事を引きずっていたんだけど、その事をみんな知った上で、そんな私を受け止めてくれた6歳年上の男性です。
 コクられた時、とまどっていた私を押してくれたのが由衣ちゃん。
それというのも健仁さんは由衣ちゃんのご主人の部下で、由衣ちゃんが推薦するだけあって、ちょっと堅物な面もあるけど、優しいしユーモアもあるし、一緒にいて落ち着けるというか、心が和むというか、そんな感じの誠実ないい人です。
 お正月明けから本格的なデートが始まりました。
何もかもが新鮮で、私の恋はまた1からの再スタートです。
そして‥‥やっぱり健仁さんと二人きりになると、トイレに行けない私です。
お仕事帰りに喫茶店に寄ったり、健仁さんのお買い物につきあったり、軽く飲みに行った事もあったけれど、いつも私は‥チョーおしがましていて、別れた途端に地下街のトイレとかに駆け込んでいました。
ずっと平然としていた私ですから、きっとあの人は私のおしがまには気づいてないと思います。
だから飲んだ後に「送っていく」と言われたときは地獄でした。
タクシーで帰るからと断っても、乗り場まで送るといわれて、おしっこがしたくてたまらないままタクシーに乗ってしまった事もありました。
なんとか無事に家には着きましたけど‥‥。
 由衣ちゃんには彼のことを「ケンちゃん」と伝えているけど、実は本人の前ではまだ「健仁さん」としか呼べていない私です。

 そんな彼から、2月1週目の日曜日に、越前海岸へドライブしようと誘われました。知り合いが民宿をやっていて、そこでカニを食べようって言うんです。
もちろん私は大喜びでOKの返事をしました。
そして‥由衣ちゃんにその事伝えたら、きっとおしがまドライブになるよって楽しそうに(?)言われました。
なぜか自分でもそう思った私です。
 その日は起きたらすごい雪景色でビックリです。
不安と期待が入り交じった複雑な気持ちで、お父さんのコーヒーも断って待ち合わせの場所へ急いで、この日のドライブデートが始まりました。
名神米原から北陸道に入って、敦賀から越前海岸を走るというコースで、出発してから3時間半ほどかかりました。
 北陸道も敦賀の街中もけっこう雪がありましたけど、逆に越前海岸はそんなに雪道ではなくて安心しました。
 途中の休憩でトイレに行っていなかったので、目的地に着く頃は案の定おしがまになっていて、健仁さんにその事を悟られないように静かに我慢していた私です。

 おなかいっぱいカニを食べて、少し休憩してから三方五湖へ向かいました。
27号線はほとんど車が走っていないような感じで、2時間ほどでそこに着いたんですけど、民宿を出る前にもトイレに行っていたのに、もうおなかパンパンになるほどおしがまになっていました。
食事の時に飲んでいた、ノンアルコールのビール(?)のせいだと思います。
このときは彼が運転しながらトイレに行きたいって言ったので、私もって軽く言えたんだと思います。きっと‥‥。

 そこから京都へ帰るんですけど、健仁さんは昔の鯖街道を通りたかったそうです。
でもけっこう雪道だそうで、慣れていないと危ないと地元の人に言われたので、もう少し雪が少ないルートを選んで滋賀県の161に出て、北小松という所の小さなドライブインで休憩しました。
そこはほんとに小さなお店で、コーヒーはおいしかったんですけど、トイレは男女一緒の狭くて古いものでした。
健仁さんが行った後に私も一応行ってみたんですけど、トイレのすぐそばの席に男のお客さんがいて、それがなんかとてもいやな感じがしたのと、ペーパーが備わっていなかったのとで、席にバッグをおいたままだった私は‥‥、取りに戻るのが恥ずかしくて、ほんとはちょっとおしっこしたいなって思っていたんだけど、済ませたような顔をして、これから先のことなんか何も考えずにそのお店を出てしまいました。
 走りだしてしばらくしたら右折です。
これから途中という所を通って京都の大原へ抜けます。
初めはスムーズに流れていて、この調子なら京都まですぐだって喜んでいたら、トンネルを抜けるといきなりの雪景色でビックリしました。
滋賀県側よりも雪が多くて、おまけに道も狭くなっていてカーブも多いんです。
不安になってきた私は、気にしていたおしっこが‥‥、すごくしたくなってきたんです。
けれどそのあたりは全くの山の中で、トイレを借りられそうなお店どころか民家も見えません。
 そうこうしているうちに、車が全く動かなくなりました。対向車も来ません。
前の車の人が降りて様子を見に行っています。
健仁さんも見てくると言って降りていって、すぐに軍手を取りに戻ってきました。
軽四輪が対向車をよけるときに雪の轍(わだち)にタイヤがはまり、無理して抜け出そうとしたらスリップして、道をふさぐような格好で動けなくなっているそうです。
優しい健仁さんですから力を貸しにいったんですけど、取り残された私は不安で不安で、もうおしっこが漏れそうな感じになって、この日何度目かのメールを由衣ちゃんに送って救いを求めました。
由衣ちゃんは彼にそのことを正直に伝えて、最悪な場合は木の陰とかを覚悟しろって言うんです。
けどそんな場所じゃありませんでした。後ろにもずっと車がつかえてたし‥‥。
 そうしているうちに健仁さんが戻ってきて、ようやく車は動き出しました。
おしっこを我慢していることを健仁さんに伝えろって由衣ちゃんは言ったけど、動き出したのに今さらそれを言うのも気が引けるし、それに、さっきの休憩でトイレを済ませた事になっているので、おしっこが近い子だって思われるのが恥ずかしくて、やっぱりおしがまになってしまいました。

 どれくらい時間が過ぎたのか分かりません。
私の膀胱はパンパン状態を通り越して、もう石のように固くなってました。
民宿に着く前や三方五湖までのおしがまは、言ってみれば「おしっこした〜い!!」
ぐらいのモノで、今は「もう漏れる〜っ!!」です。
車の振動だけでもつらいのに、何度かブレーキを踏まれたときなんかは冷や汗が出るほどの思いをしていました。
でも‥もうだめです。
どうしてももうこれ以上の我慢は出来そうになくて、私は健仁さんに言いました。
「トイレに行きたい」と言ったのか「おしっこしたい」と言ったのか、あるいは他の言い方をしたのか、それはよく覚えていません。
それほどに混乱していたというか、意識がうすれていたようです。
けれど健仁さんからは
「あと10分ほどで白川通りだから、ファミレスで食事しよう。そこでいいか?」
でした。
たしかに‥‥、いまそこで車を止めてもらっても、コンビニもお店もないところだし、前にも後ろにも車がつかえていて、私がおしっこ出来る間所なんか全くなかったと思います。
「10分もがまんできないっ。今すぐおしっこしたいっ!!」
 私はそう叫びたかったけど、出てきた言葉は「‥‥うん‥‥」でした。
とにかく我慢するしかありません。
少しでも気を抜いたら健仁さんの車を汚してしまいます。
 どうやって我慢していたのか分かりません。
ほんとに10分だったのか、あるいはもっと短かったのか長かったのか、とにかく私は必死の二乗どころか必死の三乗四乗の我慢をしていたんだと思います。

 我慢の甲斐あって、しばらくして車は1軒のファミレスの駐車場に入りました。
健仁さんに引っ張り出すような感じで車から降ろしてもらい、胸元で抱えたダウンジャケットでおなかを隠しながら、私は身体をくの字に曲げてヨロヨロとお店に入って行ったと思います。
 日曜日の夜にしてはそこは空いていたようで、すぐに席に案内されました。
けれど私は座ってなんかいられません。
健仁さんに何か言ったかどうか覚えていないけれど、私は吸い付けられるようにしてお店のトイレに走りました。
走ったというのは「つもり」です。
実際にはとても走れるような状態ではなくて、正直に言ってこの時点で‥‥、もうすでにパンツの中にはおしっこが少しずつあふれ出してきていました。
ポッコリとふくらみきったおなかを両手で支えるようにして、私はもう必死でした。
 幸いなことに広いトイレは誰もないようで、私はすり足状態のまま手前の個室に滑り込んで、ロックした‥と同時にシュ〜という音が聞こえました。
あっという間にパンツの中が温かくなって、あわててデニムのスカートをめくり上げながら便器をまたぎましたけど、もうパンツをおろす余裕はありません。
被害を最小限に抑えるために、私はとっさにそのまましゃがみ込みました。
おなかが圧迫されて痛みを感じます。
さすがにこのときは膀胱が破裂するのではと怖くなりました。
 シュワシュワシュワ‥と、勢いがつきだしたおしっこがパンツの中で暴れ回って、薄い生地を突き破って落ちていきます。
1分間ぐらい‥そんな状態が続いて、私はやっと解放されたような気持ちになって、フ〜ッと大きなため息をつきました。
(あ〜あ、お気に入りのパンツなのにぃ‥‥)
 買ったばかりの、わずか12時間足らずしか穿いていないパンツを脱ぎ去って、汚物入れに隠すようにしまい込んで、私は大急ぎで後始末を済ませて、すっきりした顔をして健仁さんが待つ席に戻りました。
由衣ちゃんが、こういう事があるかもしれないからと、ジーパンはよくない。スカートでもパンストとかレギンスは手間取るよと言っていたので、私はデニムスカートにニーハイソだけでした。
少し寒かったけれど、逆に被害はパンツだけですんだと言えるんですね。

 楽しくおしゃべりしながら食事をして、コーヒーをおかわりしてまたおしゃべりして、1時間半ほどしてそのお店を出ました。
私、またおしっこしたくなっていたんですけど、さっき行ったばかりなのでやっぱり恥ずかしく思えて、あとはおうちに帰るだけだからと我慢したまま出たんです。
 宝ヶ池を廻って北山通りを西に向かって、それから30分ほどでおうちのそばまで戻ってきました。
けれど健仁さんは名残惜しそうに車を走らせます。
そのままおうちを通り越して原谷まで来てしまいました。
通りから少し離れた林の間に車を止め‥‥ゆっくりシートを倒して‥キス‥‥。
手がそっとセーターの上から胸をさすっています。
そういう流れになることは分かっていたので決してイヤではなかったんですけど、私、もうおしっこが‥‥。
さっきあんなに我慢したからか、膀胱がお休みを要求しているみたいで悲鳴を上げているようです。
けれど健仁さんを拒めません。
 胸をさすっていた手が下の方に伸びて、ヒザのあたりからだんだんスカートの中にはい上がってきます。
(やばいっ!!)
 私は焦りました。
だって今、私パンツを穿いていません。
どうしようかとうろたえていると、
「えっ!?」
 健仁さんの驚いたような声。
すでにその手はしっかりと私のおけけの上に来ていました。
(ばれたぁっ!!)
 知られてしまった以上、変な嘘をつくよりもと思って、私はファミレスでの出来事を正直に話しました。
健仁さんは「そんなにがまんしてたのか!」って笑いながら言いました。
笑ってくれたので、ちょっと気が楽になったような感じでした。
「そういう優里亜はかわいいね。」
 そう言いながら指がワレメをス〜ッとなぞりました。
「んはっ!」
 突然だったので私はおかしな声を出してしまいました。
身体がビクッと反応して、おしっこが少し出てしまったみたいです。
これ以上触られたら大変なことになるので、私は健仁さんに
「続きは今度改めてねっ!!」
 と微笑みながら言いました。
きっとたぶん、こんどの大きいデートの時、私は健仁さんと結ばれるんだろうなって思いました。

 健仁さんにおうちまで送ってもらって、私はトイレに駆け込みました。
もうほんとに我慢の限界って感じだったんです。
案の定、パンツを穿いていないのに間に合わないぐらいで、便座と床を少し汚してしまいました。
やっぱり大きなおしがまをした後は‥‥我慢が効きません。



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