おしがま優里亜 4(おしがまドライブ後編)




 大好きな慎吾との最後になるであろうデートで、優里亜はトイレに行きたいことを告げた。
遊歩道の途中でそう言った事はかなり恥ずかしかったが、それほど優里亜は強い尿意に攻められていたと言える。
 登り道の一歩一歩が、はち切れそうになっている膀胱へ強い刺激となって伝わり、思わず慎吾の手を強く握りしめてしまう。
手をつなぐよりその腕にしがみつきたい心境の優里亜であった。
 やがてセンターの正面玄関が見えてくると、
「あれ‥」
 慎吾が不審な声を出した。
優里亜もつられてその方向を見ると
「!!?」
 そこは人の気配がないばかりか、館内の明かりすらついていないように見える。
(まさかっ!?)
 優里亜にこれ以上ないほどの不安が襲いかかり、歩くことが出来なくなってその足をきつく交差した。
「やばいなぁ、今日はどうやら休館日らしいよ‥」
 毎週木曜日は休館日だと案内表示されいある。
春休みに入った事で、今日がその木曜日だという認識は二人とも持ち合わせていなかった。
どうりでここまで誰一人としてすれ違わなかった訳だ。
(そんなぁ‥‥)
 我慢し続けて、やっとトイレに行きたいことを告げることができ、今そのトイレを借りようとした施設を目の間にして、優里亜は高い崖から突き落とされるような強い恐怖とショックを受けていた。
「う〜ん、誰もいないみたいだなぁ。」
 玄関をのぞき込んでいる慎吾が残念そうな声でそう言って、うずくまってしまった優里亜の肩に手をかけた。
その手に優里亜が小刻みにふるえているのが伝わってくる。
「え‥と、どうする、下のレストハウスまでもどる‥」
 およそそれは無理であろう事はもう慎吾にもわかる。
「だめ‥もう我慢‥できないもん‥」
 優里亜はうずくまったまま、か細い声でそう言った。
「あ‥っていっても、ここじゃぁ借りられそうにないし‥」
 慎吾はどう行動していいのかわからずにうろたえている。
「‥もう我慢できないもん‥」
 また優里亜が聞き取れないほどの声でそう言った。
「あ‥じゃ‥ちょっと待って、えっと‥」
 慎吾はそう言って優里亜のそばを離れると、ウロウロしながら正面玄関から建物に沿って左の方角へ走り出し、すぐに駆け戻ってくると、
「優里亜‥悪いけどこっちで‥」
 と、言葉を濁しながら立たせようとする。
「‥‥」
 何も言うことが出来ない優里亜は、もう恥も外聞もなくスカートの前を押さえながらヨロヨロと立ち上がり、慎吾の腕にしがみついていった。
そのまま慎吾に支えられて壁に沿って移動して建物の角を曲がると、そこは木立がよりいっそう生い茂った庭園のように場所であった。
「えと‥ここなら誰も来ないから‥その‥」
 慎吾はここで野ションしてしまえと言いたいのを押さえて、
「ここでその‥いいかな‥?」
 と聞いてきた。
すぐそばに慎吾がいるのにいいわけがない。
けれどもうそれ以外に方法がないこともわかっている。
優里亜はとりあえずイヤイヤをするように小さく首を横に振ったが、やがてまた小さくコクッとうなずいた。
「ぁ‥俺向こうで見張ってるから‥今のうちに‥」
 慎吾はそう言ってその場を去ろうとしたが、
「やだ、怖いもん!!」
 優里亜の叫ぶような声に驚いて立ち止まった。
たしかにその場所は生い茂った木立が強い風にあおられてザワザワとざわめき、女の子ひとりでは、その音だけでもかなり恐怖を感じるようである。
「ぁ・けど‥」
 慎吾はどうしていいかわからない。
「お願い‥そばにいて。けど‥むこう向いててっ!、耳ふさいでてぇ!!」
 優里亜はそう早口で言って、まだそこに慎吾が突っ立ているにも関わらず、向きを変えるとスカートの中に手を入れだした。
思わず後ろを向いて数歩歩く慎吾。
そのすぐ後に、木立のざわめきに混じってジョジョジョジョ‥‥と、激しく地面をたたく水音があたりに響きだした。
(‥慎吾におしっこの音きかれてるぅ‥‥)
 わずか数メートルも離れていないところにいる慎吾にも、それは鮮明に聞こえているはずである。
優里亜は消え去ってしまいたいほどの恥ずかしさを感じながら、それでもス〜っと開放されていく爽快感と、これまで感じたことがない気持ちよさを実感していた。
「はぁはぁ‥‥」
 ため息のような呼吸を繰り返す優里亜。
やがてその水音の勢いが弱まってくると、優里亜はあわててショルダーバッグをまさぐってポケットティッシュを取り出した。
 スカートを直して立ち上がり、恐る恐る振り返ると、そこにはこちらをまっすぐ向いた慎吾が突っ立ていた。
「え、み‥見てたのぉっ!?」
 思わず詰め寄る優里亜。
「ぁ・いや、見てないよ。終わったかと思って‥」
「やっぱり見たんじゃないっ!、エッチィ!!」
 慎吾がどのあたりから見ていたのかはわからない。
優里亜は恥ずかしくてたまらなかったが、それとは裏腹に、そんな恥ずかしい姿を見られたことで、なぜか吹っ切れたような安心したような気持ちがわき起こって、そのまま慎吾の胸に抱きついていった。
「えと‥なんかずいぶん我慢してた‥?」
 慎吾が何となく控えめにそう聞いてくる。
「‥ぅん‥なんで?」
「あ‥いや‥その‥けっこう我慢してたような‥」
「あっ、音を聞いてたんだぁっ!」
「ぁ‥聞いたんじゃなくて‥聞こえたんだけど‥」
「エッチィ!」
 優里亜は慎吾の胸に顔を埋めたまま、実は昼食を摂る頃にはかなり尿意があったことを告白した。
「なんで言わなかったの?」
「だってぇ‥恥ずかしかったしぃ、慎吾さん待たせるの‥悪いと思ったもん。」
 甘えたようにそう言優里亜を、おそらく慎吾はかわいいと思ったのであろう、抱いている腕に力を込めて強く抱きしめていった。

 あれから二人は瀬戸内沿いを東に向かい、播州赤穂を経て明石海峡大橋を見学し、今は名神京都南インターそばのファッションホテルに入っていた。
どちらかが誘った訳でもなく、自然にそのままそこへ入り込んでいった二人である。
 慎吾とお別れする時間まであと3時間ほどしかない。
次にいつ会えるのか、いや、本当にまた会えるのか、それはまったく未知の事であったが、それでも優里亜はかまわないと思っていた。
正直な気持ちを言えば別れたくない。
しかしそのことを言ってしまえば慎吾を縛り付けることになってしまう。
自分にそう言い聞かせて、優里亜は今のこの時間を大切にしようと思っていた。
 それでも今から起こるであろうその事を前に、緊張を隠せない優里亜。
それに少し尿意も感じていた。
ここへ入る1時間ほど前、SAで休憩を取り、軽く食事をしたときに優里亜はトイレに行っていた。
その頃にはもう身体の冷えはなくなっていて、特に我慢していた訳ではなく、ごくふつうのトイレ使用であった。
そして今、緊張しているためか一気に尿意を感じてしまい、優里亜は先にトイレに行っていいものかどうかを躊躇していた。
 大きなベッドにふたり並んで座り、慎吾に肩を抱かれて固まったように動かない優里亜に、やがて慎吾はそっと優しく唇を重ねてきた。
おそらく慎吾にも、緊張から来る優里亜の震えが伝わっていた事であろう。
 慎吾の片方の手が、そっとセーターの上から優里亜の胸に触れてきた。
昼間は自分からそうさせていたにもかかわらず、今はそれだけで大きくブルッと震えてしまう優里亜である。
慎吾に支えられながらベッドに倒れ込んでいくと、慎吾の手はセーターの裾から中に入り込んで、おなかの上を滑ったかと思うとすぐにブラ越しにまた胸へと移動していった。
緊張している優里亜の身体もそれに併せて徐々に柔らかくなっていく。
 それからどうなったのか、無我夢中になっていた優里亜には細かい記憶がない。
気がつくと上半身はいつの間にか全部脱がされていて、慎吾の口が胸をはいずり回っていた。
身体がだんだん熱くなり、呼吸も乱れだして、優里亜は初めて受ける快感に身を任せていた。
もちろんその間、尿意のことなどまったく気にしていなかった優里亜である。
 慎吾の手が太ももへと移動する。
まだスカートはそのままであったが、すぐに慎吾の手はその中にも入り込んできた。
パンツ越しに恥ずかしいワレメあたりを触られると、さすがに少しまた身を固くしてしまった優里亜である。
 スカートを脱がされてしまうと優里亜は思わず両手でパンツを覆っていた。
しかしその手はすぐに慎吾によってどけられ、またパンツ越しにワレメを触られ出すと、もう優里亜にはなすすべがなくなっていた。
 慎吾の手が動く周辺がとても熱く感じられる。
やがてその小さなパンツをおしりからスッポリとはぎ取られてしまうと、優里亜は顔から火が出るほどの恥ずかしさを感じた。
そのときになって気づいたことは、部屋がとても明るいと言うことであった。
入ったときは間接照明だけの薄暗い印象を持っていたが、目が慣れてきた事もあってか今は明るすぎる。
(恥ずかしいよぉ‥みんな見られてるよぉ‥)
 ハイソックスだけ脱がされずに残っている事が、妙に違和感があって余計に恥ずかしさを増していたようにも思われた。
「ぁ‥」
 慎吾の指が直にワレメを触れてきた。
そこがどういう状態になっているのか、それは優里亜にもわかっていて、そのことを慎吾に知られる事がよりいっそう恥ずかしさをかき立て、それがまた刺激となって優里亜に帰ってきていた。
「ひ‥‥」
 一番敏感な部分に指が走ると思わず声が出てしまう。
それなりにひとりエッチは何度か経験していたが、それとは比べることが出来ないほどの心地よい刺激であった。
 同時に少し感じていた尿意が急に大きくなりはじめ
(やだ‥おしっこが‥おしっこが出ちゃいそう‥‥)
 優里亜は少し焦りだした。
慎吾の指の動きにあわせて、身体中にしびれるような波がわき起こり、ス〜っと全身の力が抜け落ちて行くと同時に、おしっこの我慢にも力が入らなくなる。
(ぁっ‥ぁっ‥おしっこ‥おしっこが出ちゃう‥‥)
 今にも飛び出してしまいそうなっているおしっこを、それでもグッとこらえると、
(ぁ‥な、なにこれぇ‥!!?)
 刺激を受けている指の動きにかぶさるかのように、ゾワゾワゾワ‥と優里亜を包む何かが感じられた。
(ぁぁ‥おしっこが出そう‥だけど‥なんか気持ちいいよぉ‥)

   数少ないひとりエッチの経験の中で、先におしっこを済ませていても途中で尿意を感じることが多くあった優里亜である。
少し溜まっているかなと思われる時などはほんとに漏れそうになって、途中でやめてしまった事も何度かあった。
 今は明らかに尿意を感じている状態で慎吾に抱かれている。
ひとりエッチよりも遙かにすごい刺激を受けて、すでに身体はトロトロになっており、併せて膀胱括約筋までもがその役目を解こうとしている。
それを精神力と入らない力でグッとこらえることで、優里亜には想像以上のダブル刺激が加わっていたようである。

  (ほんとに‥おしっこが出ちゃう‥ぁ‥気持ちいいけど‥出ちゃうよぉ‥)
 すでに尿意は「したい」という感覚ではなく、今まさにあふれ出そうとしているものを必死で食い止めているといった状態であった。
(こ‥こんな時に‥おしっこなんて言ったら‥今度こそ嫌われちゃう‥)
 そう思ってさらに力を入れる優里亜であった。
しかし乳首を舌で転がされ、それまでよりもさらに細かい指の動きを受けてしまうと、体中がガクガクッとけいれんしたような感じになり、こらえていたおしっこまでもがピュッと少し飛び出してしまった。
「ぁあいや〜ん‥出ちゃったぁっ!」
 思わずそう口にしてしまった優里亜。
慎吾は優里亜の胸から顔を上げ、
「どうした?」
 と、何も気がつかなかったのかそう聞いてきた。
「ぁ‥はっ‥ぉしっこが‥出ちゃっ‥‥」
 呼吸が乱れてうまく声にならない優里亜。
「ああ、いいんだよ。出そうになったのならかまわないからね。」
 慎吾はあっさりとそう言って、また優里亜の乳首を転がしだした。
「ぁぅぅ‥ぁうぁ‥ぅ‥‥」
 その動きに優里亜は最高に高ぶっていき、
「で‥ちゃう‥出ちゃう‥」
 と口走りながら、確かに刺激にあわせて何度もビュッビュッとおしっこをほとばしらせていた。
「ぁあぁ‥あぁあ‥」
 夢中になって慎吾にしがみつく。
そしてゆっくりと慎吾が覆い被さってきたとき、こんなにも満たされた痛みというものがあったのかと、気が遠くなりかけた頭の中でそう感じていた。

 しばらく放心状態でぐったりと横たわっていた優里亜は、もう7時半になるからと慎吾に言われて我に返った。
おまたにはまだ慎吾の存在が残っている。
そしてその周辺のシーツはぐっしょりと湿っていて、その一部はピンク色に染まっていた。
真っ裸であることも忘れて、優里亜はそこに横座りになり、
「シーツよごしちゃったね‥」
 とつぶやいた。
「ああ、でも心配いらないよ。洗濯代込みの料金なんだから。」
 慎吾はそう言ってのけ、シャワーを浴びるように促した。
しかし立ち上がろうとしてもまだ力が入らない優里亜である。
「しょうがないなあ。よぉし!!」
 と、慎吾はいきなり優里亜をお姫様抱っこして、そのままバスルームへと歩き出した。
慎吾にすがるようにしてシャワーを浴び出すと、徐々に身体にも力が戻ってきて、優里亜は急に恥ずかしさがよみがえり、じっとしていることが出来なくなって、それをごまかそうと慎吾の胸にしがみついていった。(!!)
 優里亜のおなかに固いものが押し当たる。
それが何であるかはすぐに分かったが、優里亜は恥ずかしくて見ることが出来ない。
それでも慎吾が少し動いたことで、それが優里亜の手に触れてしまった。
「わっ!」
 思わずそう叫んでしまった優里亜。
そしてピンッと上を向いてそそり立っているそれをまじまじと見つめてしまった。
(わぁ、こんなに大きいんだぁっ!)
 そっと手で握りしめたくなる衝動に駆られ、優里亜は恐る恐るそれに触れてみた。
慎吾はニッコリと微笑むだけで何も言わない。
「思い出作りだもん!」
 優里亜も照れ隠しでそう言って微笑んだ。
そうしてしばらく抱き合ったままシャワーを浴び、大急ぎで身体を拭いて部屋を出る準備をした。
 門限というか、帰宅する約束の時間までもう1時間とちょっとしかない。
まだ髪の毛は乾いていないが、とりあえずもうそこを出なければならない。
あたふたと車に乗り込むと、
(あ、おしっこしてくるの忘れてたぁっ!)
 エッチの最中に何度かお漏らししてしまった優里亜であるが、それは全部を出し切った訳ではなく、冷静になった今、改めて尿意がよみがえってくるのを感じていた。

 京都の街中を北上し、優里亜の家の近所まで戻ってきたのはそれから1時間後であった。
ちょうど約束の帰宅時間である。
尿意もそれに会わせるかのように強くなっていた。
 少し手前の路地に車を止め、二人は抱き合ってキスをする。
それが最後のキスになるのか、それは優里亜にも分からなかった。
名残惜しい時間はすぐに過ぎていく。
涙があふれそうになるのを必死でこらえ、優里亜は
「私の思い出作り‥ありがとう!!」
 と、はっきりとした口調でそう言った。
慎吾は何も言わず、ただ黙ってコックリとうなずくだけであった。
おそらくなにか話しをすれば、それだけ別れづらくなることを察していたのであろう。そっと助手席のドアを開け、優里亜に降りるように目で促した。
降りてしまえば本当のお別れになってしまう。
分かっていたこと、覚悟はしていた事であるが、優里亜はなかなかその行動に出られなかった。
しばらく沈黙が続いた後、
「必ずまた会えるから!!」
 思い詰めたようにそう言う慎吾の言葉に勇気づけられ、優里亜はゆっくりと車から降りる。
ドアを閉めるとウインドウをおろした慎吾が、
「向こうに行ったらすぐに連絡するからね。」
 と言って、ゆっくりと走りだした。
優里亜は手を振ることも出来ず、ただ突っ立ったままで見送っている。
すぐ先の四つ角で停まった慎吾の車は、テールランプを何度か点滅させ、そしてゆっくりと角を曲がって姿を消していった。
「いちゃった‥‥‥」
 むなしさと寂しさだけが残った優里亜。
そのまま重い足取りで自宅へと向かうしかなかった。
不思議と涙は出てこない。

 その夜、優里亜は限界が来るまでおしっこを我慢していた。
おしっこをしてしまえば、慎吾との思い出が全部いっしょに流されてしまうような、そんな気持ちでいたからだ。
自室のベッドに潜り込み、まだ身体に残っている慎吾の存在を感じながら、ゆっくりと手を動かす優里亜。
おしっこでパンパンになっているために、少し触るだけでもう漏れそうになる。
それでも優里亜は慎吾を思い浮かべて、その手を止めることが出来なかった。

 それから6年が過ぎていった。
優里亜は慎吾のことをいい思い出として心の奥にしまい込むことが出来、それからもいくつか恋愛をして、今はフリーの身の上である。
 由衣がいる会社に派遣社員として働いていた優里亜は、いま正社員として採用されて総務部にいる。



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