女だらけの寮生活




 「えー、こちらから横山順子くん、次が木下朋美くん、あちらの小さい子が小原由衣くんだ。」
就職の決まった由衣が初出勤した日、挨拶回りで訪れる先々で、人事部長は由衣の紹介に「小さい子」と形容詞をつけていた。
確かに他の二人と比べると背はかなり低かったが、何も強調しなくてもいいのにと、由衣は腹立たしかった。
 就職難といわれながも、かろうじて滑り込むことができた会社である。
由衣は多少のことは我慢しなければと思っていたが、身体的特徴をあからさまに言われることは辛かった。

 配属は総務部総務課に決まった。
同期の木下朋美と一緒の課になり、もう一人の新人は庶務課の配属になった。
由衣の社会人第一歩がはじまったのである。
 由衣の働く会社はいくつかの企業の合併会社で、系列にはホテルやレジャー施設まであった。
それらの事業本部として総務部は存在しており、入社早々から由衣は目が回るほど忙しい現実を思い知らされた。
おまけに通勤に1時間半ほどかかっていたため、由衣は毎朝7時には家を出て、バス、地下鉄,JRと乗り継いで通っていた。
中学、高校、短大と、通学距離に恵まれていたために、この1時間半はかなり負担に感じていた。
特にJRは30分も立ちっぱなしのため、人混みに埋もれてしまって窒息しそうな毎日であった。
 そんなある日、由衣は総務部長から職員寮に入ることを勧められた。
月初めは前月の決算や請求業務のあおりで、かなり帰りが遅くなる。
そのために寮に入ってはどうかというものであった。
20年間親元で暮らしてきた由衣。
人見知りが激しい由衣であったので、寮という共同生活には不安であった。
しかし毎日の通勤で疲れていた由衣は、その申し出を受けて親元を離れることを決心した。

 寮といっても、民間のワンルームマンションを借り切ったもので、想像していた共同生活とは違い、気楽であったが寂しさも強かった。
初めて遭遇した孤独感。
(おうちにかえりたいよお・・・)
父親に買ってもらったパソコンが、唯一の友達であった。

 入寮して1週間もしない土曜日、会社のラウンジを使って寮の総会兼新人歓迎会を行うと由衣に連絡が入った。
(いやだなあ・・・)
由衣は人前に出るのが苦手だ。
来週は総務部の歓迎会も控えている。
社会人になったとはいえ、甘えて育ってきた由衣にとっては苦痛でしかなかった。

 寮は全部で4カ所あった。
系列会社やホテルの従業員も分散して入寮しており、総勢70名ほどになる。
職種がバラバラであるので、この日集まったのはおよそ40名ほどであったが、それでもにぎやかに会は進んでいった。
由衣を含め、今年の新入寮者は6名であった。
なじめない雰囲気の中で、由衣はトイレに立つタイミングもつかめずに、ただ流れにのまれていくだけであった。

お開きも近くなってきと思われる頃、一人の女性が立ち上がりマイクを持つと、
「恒例、新人持ち物チェ〜〜〜〜ックッ!!」
といって、クラッカーをならした。
それを待っていたかのようにみなが向き直り、
「イエ〜〜イ!!!」
とかけ声を掛け、にわかに騒がしくなった。
(えっ、なあに!?)
由衣の緊張が高まり、先ほどから感じていた尿意が一気にこみ上げてきた。
周りから押し出されるように、新入寮者が前に並ばされる。
「今年はかわいい子ばかりで〜す!」
司会役の声で会場が沸き立つ。
由衣は落ち着かない。
自然と足をすりあわせるような動作が出てしまう。
緊張しすぎて、今にも失禁してしまいそうな感覚になっていた。

「新人持ち物チェック」とは、新人の胸の大きさコンテストのようなもので、身長、体重、バストサイズとカップの大きさを質問され、その答えに疑問があるといっては、会場の誰かが出てきて、服の上から、あるいはブラジャーの上から胸を触ったりして確認するものであった。
セーターやブラウスはめくりあげられ、パットを入れているかどうかまでチェックされた。
 次はいよいよ由衣の番である。
緊張がピークに達した由衣は涙ぐんでしまった。
身体の震えもピークになっている。
「さ〜て最後は総務部の小原さん!」
「イエ〜イ!!」
「あらあ小原さん、ずいぶん緊張してますねえ!」
「・・・」
由衣はうつむいたまま何も応えられなかった。
「かわいい!!」
「ナッチに似てるよ〜!」
「髪型がね〜!」
誰かがやじっている。
「儀式だからあきらめてね。」
急に優しい言葉で耳打ちした女性。
「・・・」
それでも由衣は言葉が出ない。
「身長は?」
「ひゃ・・146・・です・・」
「まあ、146!!」
司会の女性の声に、
「かわいい!」
「矢口真理〜!」
「第一寮のミニモニ!!」
と、ヤジが飛ぶ。
「さて、貴女のバストは?」
「・・・78の・・A・・です。」
由衣は応えたつもりであったが、
「え、聞こえなかった!」
「な・・78の・・A・・です。」
「まあ!78!!!」
「かわいい〜〜〜〜!!」
「ミニサイズ〜!」
「イエ〜イ!!」
「誰かに大きくしてもらいなよ〜!」
由衣はもう、何がなんだかわからない。
緊張と尿意に負けそうになって、その場にしゃがみ込みたい衝動に駆られていた。
その由衣の胸に、司会の女性の手が触れた。
優しく包むように。
ビクッとした由衣。
(脱がされる!!)
由衣に恐怖が走った。
「あらあ、ほんとにかわいいふくらみで〜す!」
「確認の必要なし!!」
「イエ〜イ!!」
会場から拍手が起こった。
「平成14年度のマスコット、小原由衣さんに決定〜〜〜!!!」
「イエ〜イ!!」
会場の拍手が大きくなった。
(・・え・・・え・・??)
「おめでとう小原さん!!」
司会役の女性が由衣の両手を握った。
「あ・・あの・・・」
「貴女は今年いっぱい、4寮のペチャパイマスコットになったのよ。」
「は・・・あ・・・」
「あんまり名誉じゃないけどね!」
そういって笑った。
「イエ〜イ!!!」
会場からまた拍手が起こった。
「さ、これで貴女は来年の総会まで大事にされるわよ。」
「はあ・・?」
「来年、大きくなったか報告する義務もあるのよ。」
「は・・あ・・・」
(なんなのよぉ、これぇ・・・)
由衣は緊張感が解けて脱力しかかった。
同時に、はじけそうになる尿意がおそってきて、自然と足を小刻みにすりあわせてしまう。
司会役の女性はそれを見逃さなかった。
「あらあ、小原さん緊張しすぎてトイレに行きたいみたいですよ〜!」
(ええっ!うそぉ!!なんてこと言うのよぉ!!)
由衣は真っ赤になった。
「イエ〜イ!!」
「おなか押さえろ!!」
「ドアにカギ掛けろ!!」
「お漏らしさせろ〜!」
「もう漏らしてるんじゃないの〜!?」
「スカートめくったら〜!」
およそ世間一般では耳にしない女性たちのかけ声であった。
(なんなのよぉ!なんなのよぉ!!??)
「さあさ、それではマスコット小原さんに心おきなくおしっこしてきてもらいましょう」
「イエ〜イ!!」
また拍手が起こった。
由衣は司会役の女性に促されるように出口に向かった。
「もらすなよ〜!」
「押さえて走れ〜!」
「がんばってね〜!」
拍手とヤジで由衣は真っ赤になりながら、それでもトイレに行ける安堵感で内心はホッとしていた。
ドアを閉めても聞こえている笑い声をあとにしながら、由衣はトイレに小走りで向かった。
 途中で入寮した由衣は知らされていなかったが、持ち物チェックとは毎年恒例の行事であったのだ。
ただ、マスコットに選ばれても何の特権もなく、ただ単にペチャンコをさらすのみのものであって、翌年に成長ぶりを報告させられる。
由衣がトイレに向かったいるとき、去年のマスコットガールが胸の成長ぶりを報告させられているようであった。

 しばらくして席に戻ると、そこは先ほどの騒ぎも収まり、楽しいおしゃべりで包まれていた。
由衣はというと、小さな胸をはやし立てられたことと、おしっこを我慢していることを知られた恥ずかしさで、更に小さくなっていたが、いつの間にか人が集まってきて話しかけられていた。
「小原さんて18歳だったっけ?」
「いえ、二十歳です。」
「わーっ見えないねえ。」
「私と同い年だ。ウッソー!」
「あんたが老けて見えるんだよ!」
「うるせえ!!」
「彼氏は?」
「あ・・いえ・・」
「好きな人は?」
「あ・・まだ・・・」
「総務課って地味でいやでしょう?」
「あ・・いえ別に・・・」

 廊下ですれ違うときに挨拶する程度で、どこの職場の人か、それさえも知らないといった寮生活も、この日をきっかけにうち解けて、その日から由衣の部屋にも来客が来たり、由衣が誰かの部屋を訪問するようになっていった。

 由衣のいる第一寮は、中でも一番規模が大きく総勢32名いた。
年齢は19歳から24歳まで。
もちろん男子禁制であるが、密かに連れ込んでいる者もいたようである。
会社では同期の木下朋美。寮では隣部屋に住む松尾里香という子と親しくなっていく由衣であった。
 そして由衣は、仕事の指導係であった高木敦史に心惹かれていく。
月初め以外は定時に終わる。
何度か敦史にお茶に誘われ、短いデートを楽しんでいたが、まだつきあっているというほどの仲ではなかった。
引っ込み思案の由衣は、そのことを誰にも打ちあけたり相談したりでなくて、ひとり心を痛めていた。

 それなりに楽しい寮生活が続いていた8月のある土曜日、由衣のいる寮単独でビアパーティーをすることになった。
会社の作法室を借り、それぞれにビールやおつまみを持ち寄ってのささやかな会であったが、ホテルの厨房から中華料理の差し入れまで届き、20名ほどしか集まれなかったが、楽しく時間は過ぎていった。

由衣の寮はフローリングである。
ベッドは入れているものの、ついつい床に座ってしまう由比は、久々にふれる畳の感触がうれしくて、ほどよく効いたエアコンの風を浴びながらビールを飲んでいた。

   この日由衣はデニムのミニスカートにTシャツ姿であった。
当然のようにお酒が入ってくると男性の話に花が咲く。
いつしか暴露話や経験談などが飛び出し、由衣はそれらの話を自分と敦史の関係に置き換えたりして興味津々で聞き入っていたが、
「由衣ちゃんはその後どうなの?」
と、矛先を向けられて焦った。
「え、私はなにも・・・」
「だ〜め、知ってるよ、経理の高木さんでしょ!」
「そうそう、よくお茶してるでしょ、見たよ〜!」
「白状しちゃえ!」
「高木さんもまんざらじゃないみたいだしぃ!」
まだちゃんとしたつきあいに至っていない由衣であったが、皆に知られていることが恥ずかしくもあり、うれしくもあった。
「どこまでいってるの?」
「もうエッチした!?」
やはり話はそっちの方に進みつつある。
「私たち・・・まだそこまでは・・・」
ついポロっと口に出た言葉をとらえて、
「や〜、わたしたちだってぇ!!」
「まだだって〜。じゃあさ、いずれは〜ってぇ!!」
皆が冷やかし始める。
由衣は赤くなった。
「でさ、由衣ちゃんてまだサラ?」
「え??」
「まっさらなの?」
「な・・なにが?」
「バージンかってこと!」
「あ・・ううん。」
「へ〜、まっさらかと思ったよぉ。」
「ほんと、みかけによらない〜!」
うっかり経験済みだと言ってしまったことで、このあと由衣は高校生の時の初体験を披露する羽目になってしまったのである。
恥ずかしくてならないが、お酒の勢いも手伝って由衣はしゃべり出した。
しかし話の成り行きで、必死で尿意を我慢していた初体験であったことまでしゃべってしまった。
「へー、おしっこ我慢してたんだぁ!」
「言えなかったの?」
「わー、純情!」
「でも最悪〜!」
「よく我慢できたねえ。」
「漏らさなかったの?」
みなも興味があるようで、聞き入っている。
軽く流すつもりで話していたのに、ついつい追求されたら答えてしまう由衣。
とまどいながら思い出を語っていた。
「私も経験あるっ!」
真由美という子が突然口を開いた。
皆の注目が真由美に移る。

 真由美は地方出身のおとなしい子であった。
ホテル関係の専門学校に通っていた19歳の秋、CDショップで大学生にナンパされ、男性に免疫を持っていなかった真由美は、都会慣れしてマメに動く彼に心を奪われてしまった。
 3回目のデートの帰り、真由美は彼の住むマンションに誘われた。
不安もあったが、断わると嫌われてしまうと思い、それが怖くて誘いに乗ってしまった。
地下鉄を出ると激しい夕立になっており、ずぶぬれになって彼のマンションに駆け込んだ。
 彼はお金持ちの坊ちゃんであったのか、大学生とは思えないような豪華なマンションに住んでいた。
出されたタオルで髪を拭いていると、浴室乾燥機で服を乾かすから脱ぐように言われ真由美は困惑した。
「えっ・・でも・・・」
とモジモジしている真由美に気を遣ってか、彼は毛布を出してくれ、真由美はその優しさに安心して、毛布にくるまるようにしてセーターとスカートを脱ぎ手渡した。
下着だけになった真由美がふるえていると、
「寒いならベッドに入っていたら!」
と言われ、ためらいながらもベッドに潜り込んだのであった。
 真由美はデートの途中から尿意を感じていた。
しかしトイレに立つタイミングがなくて我慢していた。
雨で身体が冷えたせいか、マンションに着いた頃には激しい尿意となっていたが、部屋に着いていきなりトイレを借りるのも気が引けたので、髪の毛を拭き終わったらと思っていた矢先に服を脱ぐように言われてしまい、下着だけになった真由美は恥ずかしくて布団から出ることが出来ず、服が乾くまでの我慢だと自分に言い聞かせ、丸くなって耐えていた。
 そんなとき、彼がいきなり布団をはねのけた。
ふるえている下着姿の真由美に興奮したのか、あるいは始めからそのつもりであったのか、勢いよく真由美に覆いかぶさってきたのだ。
 部屋に誘われた時点で、ある程度覚悟はしていたものの、今は尿意が強くてたまらない真由美は、
「ちょっと待って!」
と叫んだが、
「そのつもりで来たんだろ!」
と、すでに全裸になっている彼は激しく身体を触りだした。
「ちがうのっ、ちがうのー!」
と、叫びながら抵抗する真由美であったが、彼の攻撃は収まるどころか、ますます激しくなり、尿意に耐えられない真由美は、
「トイレに行きたいの!」
そう叫んでいた。
「だめだめ、もうおそいよ!」
勘違いなのか、彼は真由美の言葉を聞き入れず、下着の中に手を滑り込ませてきた。
「やめてっ、先にトイレ行かせて!!」
そう叫ぶと同時に、真由美の身体から熱いものが吹き出した。
必死で力を込め、なんとかそれ以上の吹き出しは押さえられたが、彼の手と下着は完全に濡れてしまった。
「わっっ、きったねぇなあお前!!」
彼は飛び退くと、そう言いながら手を洗うために洗面所に向かい、
「布団、どうすんだよ!?」
と、吐き捨てるように言った。
「ご・・ごめんなさい・・だって・・・」
謝ろうとした真由美の言葉が終わらないうちに彼が、
「わっ、クッセー!! 臭うぜっ!」
この言葉に、真由美は居ても立っても居られなくなり、手を洗っている彼の後ろをすり抜けて、浴室に干してあるセーターとスカートをわしづかみにすると、バッグも抱えて玄関へ飛び出した。
「あっ、待てよっ!!」
追いかけようとする彼であったが、トランクスを履こうとしているスキに、真由美は靴も手に抱えて、下着のまま廊下に飛び出した。
幸い誰とも出会うことなく階段の踊り場まで走った真由美は、恐怖で足が震え、その場にうずくまってしまった。
おそるおそる廊下をのぞいてみると、あきらめたのか彼は追いかけてくる様子がない。
真由美は大急ぎで服を着ると、震える足で階段を下りていき、小雨になった街を走り抜けていった。

 真由美の話に聞き入っていた由衣は、ゴクリとつばを飲み込んでいた。
そして、まだ不安定なつきあいの敦史との関係に自分を置き換え、もしそういう状況の時に激しい尿意があったら、自分はどうなるだろうと想像し、先ほどから高まっていた尿意に浸るかのように、ひとり妄想の世界に入って、身体の一部を熱くしていた。
「で、その男とは!?」
「うん、それっきり会ってない!」
「そうだよ、そんな男!!」
「サイテーだよね。」
「トイレ行くかせてくれなかったんだもんねえ!!」
「そいつ変態入ってたんじゃないの?」
みなの声が遠くに聞こえていた。

「・・ちゃん!」
誰かが呼んだような気がして、由衣ははっと我に返った。
「由衣ちゃん、どうしたの?」
隣部屋の里香が由衣の顔をのぞき込んでいた。
「え・・・」
「なんか考え事してた?」
「え・・ううん・・・」
「ボーっとしてたよ。」
「ううん、なんでもないよ。」
由衣は、密かに敦史の前でおしっこを我慢している自分を妄想していた事が恥ずかしくなり、ひとり焦っていた。

 それなりに人の話に相づちをうっていた由衣だが、尿意が限界になったので、そっとトイレに行こうと立ち上がり掛けた。
パーティーが始まってから、まだ一度もトイレに行っていない由衣であった。
そのとき、
「でさ、さっきの続きだけどさ!」
と、里香が話しかけてきた。
「え?」
「高木さんとのこと!!」
「あ・・・」
「途中で話がそれちゃったしね!」
「もういいよぉ!」
「だ〜め、最後まで話すの!!」
「もう話すことないもん!」
「だ〜め!」
「ほんとになにもないもん・・・」
由衣は立ち上がった。
「ちょっとごめんね。」
そう言って一歩踏み出そうとしたとき、
「こらーっ逃げるなぁ!」
里香が由衣の足にタックルしてきた。
「わっ!」
バランスを崩した由衣は前につんのめり、四つんばいの格好になってしまった。
「由衣のパンツ白ぉ!!」
里香が叫んだ。
振り向くとちょうどお尻あたりに里香の顔がある。
「あ、エッチィ」
由衣はあわてて身体を起こそうとしたが、里香は足を離そうとしない。
「みんあぁ、由衣が逃げるよぉ!」
再び里香が叫んだことで、周りの子たちが注目してしまった。
「ちょっとぉ離してよ!」
由衣は身体をくねらせ、上向きになって足をバタつかせてもがいていた。
しかし、両方の足首あたりを里香に持たれているために、起きあがれない。
すると里香はその足首を持ち上げると自分の脇に挟み込んで膝たちになり、由衣のふくらはぎあたりをつかみなおした。
由衣の両足は里香の身体の幅に開いて持ち上げられる。
「ちょっと、りかぁ!!」
めくれあがったスカートを片手押さえ、由衣はもう一方の手で里香の腕をつかもうとして身体を起こした。
それを阻むように、体格のいい里香は由衣の足を持ったまま5〜6歩後ずさりし、由衣のスカートは畳にすれてずり上がる。
「りか、お願いだからやめてったら!!」
由衣はスカートを押さえながら叫んだ。
気が気ではなかった。
先ほど妄想の世界に入った時、由衣は身体の一部が熱くなっていくのを感じていた。
(ひょっとしたらシミが!!!)
そう思うと、もがかずにはいられない。
尿意もピークになっていた。
おもしろがって史乃(ふみの)という子の手が由衣のスカートに触れてきた。
「!!」
その手が由衣の手ごとスカートをめくろうとする。
「やめてよ史乃まで!!」
由衣はまた叫んでいた。
前はおさえているものの、由衣のスカートのお尻部分は完全にずりあがってしまっている。
「よおし、由衣の胸もんじゃえ!」
里香のかけ声が終わるか終わらないうちに、
「オッケー!」
3人ほどが由衣の胸に手をはわせてきた。
「ひゃうぅ!」
由衣は思わず奇妙な声を出して身体を硬くした。
「乳首つまみ出せ〜!」
「よおし!!」
薄いTシャツ一枚なので、攻撃されたらたまったものではない。
あわてて両手で防護しようとスカートから手を離した瞬間、史乃がスカートをお腹の上までめくり上げた。
「パンツ丸出し〜!!」
「しろ〜〜!!」
「わ〜!!!」
「かわいいパンツ〜!」
あわてる由衣は足をバタつかせ、両手を振り回して逃れようとした。
「もおおっ、やめてったらあ!!!」
強烈に尿意が高まっている。
しかし両足を開かれているために、ヘンに力を入れると漏らしてしまいそうな恐怖に由衣は焦った。
「まあるいお腹さわっちゃお!!」
史乃の手がパンツごしに由衣の下腹部を触った。
「ひっ!」
由衣が悲鳴のような声を漏らした。
胸の方に置かれた手は、いつの間にかTシャツをめくり上げ、直にブラジャーの上から胸をさわっている。
その手が由衣の胸を揉み出した。
別の子によって両脇は羽交い締めのような格好にされて、身動き出来ない状態にさせられてしまっている。
「やめてっ、たすけてっ!!」
由衣はもがくだけでどうすることも出来ない。
史乃の手が下腹部を押さえた。
「いやあ〜〜!!」
由衣はとっさに身をよじるようにして史乃の手から逃れようとした。
「由衣、お腹に力入れてるぅ。くすぐったいのぉ?」
史乃は笑いながら言い、なおも下腹部を押さえようとしている。
(やめてっ漏れちゃうぅぅ)
叫びたい由衣であった。
「お願い、たすけてぇ!!」
泣き叫ぶようにして言う由衣に、
「じゃあ、もう逃げないかぁ!?」
里香が笑いながら言った。
少し酔っているようであった。
「逃げたんじゃないよぉ」
「うそだ!」
「ほんとだってばぁ・・トイレに行きたいの!」
由衣は言ってから「しまった!」と思った。
「おしっこしたいのぉ?」
里香がいたずらっぽく聞いてきたのだ。
(やばいっ)
由衣は思ったが、
「うん、だから離して!」
そう言うしかなかった。
が、予想は的中していた。
「由衣、おしっこしたいんだってぇ。それ史乃ぉ!」
しっかりと足首を押さえている里香がいたずら口調で言った。
「ダメッ!」
由衣が叫ぶと同時に何人かの手が下腹部を押さえだした。
「やめてやめて!!!」
必死でもがき、なんとかお腹を守ろうとする由衣であった。
「やめてっ、ほんとに漏れちゃう!」
冗談ではない強い尿意。
下腹部に手を回して防御したいが、脇の下で羽交い締めにされているためにどうすることも出来ない。
体格の差は歴然であった。
「わあ、由衣の膀胱カチカチだあ!」
史乃の声に、
「え、どれどれ・・」
「あ、ほんとだぁ、パンパンに膨らんでるぅ!」
「まあるくなってるね!」
みんなおもしろがって下腹部を押さえたりさすったりしている。
「由衣ちゃん、我慢するのよ!漏らしちゃダメよ。」
先ほど体験を告白した真由美までがおもしろがって、由衣の顔をのぞき込んでいた。
「やめて、押さえないでっ、ほんとにもうだめぇ!!!」
ポンポン!!
由衣のふくらんだ下腹部をたたく音がする。
「ひっ!!」
「わあ、いい音!」
「スイカみたい!」
「だめ、もう・・もうっ!」
必死で叫ぶ由衣の言葉が通じたのか、それ以上押さえられる事は無かったが、それでも手は膀胱の上に置かれたままであった。
「ひどいよぉみんなあ!」
由衣は涙目で訴えた。
「!!!」
由衣の身体の一部がまた熱くなってきた。
(うそっなんで!!!???)
こんな状況下でなぜ熱くなってきたのか、由衣には理解できない。
それよりも、そのことを気づかれたら大変だ。
特に股間の真っ正面にいる里香に気づかれないかと気になってならない。
「由衣は身体が小さいから膀胱が前に飛び出すんだぁ」
「だよねえ。ほかに収まるとこないもんね。」
「ほんと、よくわかるぅ!」
「けっこう大きいよねえ。」
「いっぱい溜まってるのかな?」
みな勝手な解説をしている。
 ふと由衣は、持ち上げて押さえられている自分の足に伝わる小さな振動が気にとまった。
(あれ?)
涙目で里香を見ると、膝たち状態で由衣の足を持っている里香が、しきりに太ももあたりをすりあわせるような仕草をしている。
(そういえば里香もまだトイレに行ってないんじゃ・・・?)
由衣と同じように、あるいは由衣よりも多くビールを飲んでいた里香である。
(きっとそうだ!!よおしっ)
由衣は仕返しに打って出ようとした。
そのとき、
「パンツ脱がしちゃおうか!?」
史乃がとんでもないことを言った。
「ひっ!!」
由衣は思わず引きつったような叫びを上げる。
ゴムに手を掛けようとする史乃に、
「やめてっ、そんなことしたら舌かんで死んじゃう!!」
由衣はこれ以上ない大声で叫んでいた。
「オーバーねえ、女同士じゃない!」
史乃は笑いながら言ったが、由衣には耐えられない。
たとえ女同士であっても、知られたくない秘密もある。
「いやあ、絶対いやあ!!!!」
涙を流して大声で叫ぶ由衣に驚いてか、史乃の手が止まった。
「かわいそうだよ。」
真由美が言った。
「もうトイレ行くっ、離してよっ」
ついに怒ったように言う由衣の強い言葉で、皆の手が引っ込み、羽交い締めにされていた脇もゆるんだ。
しかし里香は足を離さない。
「りかっ、あんたもおしっこしたいくせに!」
一か八かの賭けで、由衣は矛先を里香に向けようとした。
それを聞いた史乃が、膝立ち状態で無防備な里香の下腹部に手を伸ばした。
「あ、こらぁ!」
一瞬里香の力がゆるんだ。
由衣はそのタイミングを逃さず、一気に足をバタつかせ、里香の拘束から逃れようとした。
そのいきおいで、由衣の片足が里香の下腹部を蹴ってしまった。
「あーっ」
叫び声を上げた里香が、両手を股間に入れた状態でしゃがみ込んでしまった。
「やだ、里香、漏らしたのぉ!?」
「今の一撃、効いたんでしょ!?」
「ジーパン脱がしたげようか?」
倒れ込んだ里香を囲むように、何人かの手が里香の身体を触っていた。
今度は完全に里香が餌食になろうとしている。
「おあいこだよぉ!」
悲鳴を上げている里香に「ベー」をすると、由衣はめくれていたTシャツを戻し、ふすまを開けようとした。
「由衣、おしり丸出し!」
真由美の言葉にハッとして手をやると、デニムのスカートは半分に折れてめくれあがっていた。
畳の上でずれてめくれた時のままであったのだ。
あわててスカートを直し、照れ笑いでごまかしながら、由衣は部屋を出た。
(あぶなかったぁ・・もうダメかと思ったぁ・・・)
解放された安堵感と、トイレに行ける安心感が作用して、部屋を出たとたん由衣の尿意は最高に高まり、思わず漏らしてしまいそうな感覚に襲われて身震いした。
パンツに冷たい感触があった。

 作法室からトイレは少し離れたところにあった。
一刻も早くトイレに行きたい由衣であったが、早く歩けない。
一歩一歩が極限状態の膀胱に響いて、身体をくの字に曲げながら、すり足で歩くことしかできなく、トイレまでの道のりが途方もなく遠くに感じていた。
おまけに、もがいたりして激しく身体を動かしていたからか、由衣は廊下に出てしばらくしたところで、急に酔いが回ってきた感じになり、しばらくその場にしゃがみ込んでしまった。
吐き気はないものの、頭がグルグル回っているようで、立ち上がれない。
(うーー目がまわるよぉ・・・)
(あーっおしっこ出ちゃいそう・・・)
(だれか助けてぇ・・・)
うずくまっている由衣に近づいてくる足音があった。
里香である。
「由衣、大丈夫!?」
「うーーー」
「吐きそうなの?」
「ううん・・・」
「もらしたの?」
「ちがうよっ・・・目がまわるぅ」
「暴れるからだよ。」
「誰のせいで暴れたんだよぉ!!」
「さ、手を出して。トイレ行こ!」
里香は先ほどのいたずらな感じではなく、優しい子に戻っていた。
大柄な里香に肩を借りるようにして、由衣は歩き出した。
しかし里香の歩幅に由衣はついて行けない。
「も・・もう少し・・ゆっくり歩いて・・・」
「由衣、大丈夫?」
「・・だいじょうぶ・・じゃない・・」
「がんばれ!」
「あん・・もう・・」
「だめよ、まだよ!」
が、しばらく歩くと急に胸がムカムカしてきた。
「うー、きもちわるいよぉ・・・」
「吐きそうなの?」
「ん・・・ちょっと・・・」
「まだよ、がんばって!」
「・・・ん・・・」
「ほら、歩いて!」
「あーーーっおしっこしたい!」
「それもまだよ!」
「だめ、でちゃう・・・」
「まだだってば!」
「したいよぉ・・・」
「ダメッ!!」
「もう出ちゃうぅ!」
「ダメっ!」
「ここでしたいぃ・・」
「ばか、子供じゃないのよ!」
「う〜・・・」
こみ上げてきた吐き気と強烈な尿意。
由衣はその両方と戦わなければならなくなった。
里香の前ではあったが、由衣はスカートの中に手を入れていた。

里香によって洋式トイレの前まで来たものの、由衣は里香から離れようとしない。手を離すと倒れそうな感覚になっていたのだ。
「由衣っ、しっかりしてよ。」
「う〜・・・」
「さっ入って!」
「う〜・・・」
「もおっ、私だっておしっこしたいんだってば!!」
怒ったように言う里香の言葉に、ようやく由衣は反応して、ドアにしがみつくように中へ入っていった。
カギを掛ける事も出来ず、由衣は洋式便器のフタをあけ、ふらつきながらスカートを持ち上げると、崩れるように便器に座り込んだ。
(あっパンツ!!)
由衣は薄れようとしている意識の中で、それでも必死でペーパーホルダーに手を掛けて身体を半身ほど持ち上げた。
しかしふらつきのため両手で下着をおろすことが出来ず、ホルダーを支えにして前屈みになりながら左右を少しずつずらしていった。
(あっダメ!!)
ようやく股間あたりまで降ろした時、由衣の出口は一気に開いてしまった。
由衣はあわてて、完全に降ろしきっていないパンツをわしづかみにして引っ張り、もう片方の手のひらでおしっこの飛ぶ勢いをさえぎりながら、崩れるように便器に座り込んだ。
それが功を奏して下着を濡らす事は免れたが、手から跳ねるようにしぶきをあげるおしっこは、ふとももに伝ってしまった。
手のひらに当たる勢いは強く熱く、痛いほどに感じられた。
(くはぁあ・・・・・・)
由衣は初めて味わう不思議な感覚に、吐き気も忘れて酔いしびれていた。
勢いが少し弱くなってきたとき、由衣はその手を少し奥の方に移動してみた。
(こんなとこから出てるんだぁ・・・)
指先に当たる不思議な感触に、由衣はうっとりとなっていた。

隣の和式便器で里香のおしっこの音が聞こえている。
里香も相当こらえていたのか、かなり激しく便器をたたく音がして、ため息までが聞こえていた。
(やばい、里香より先に出て手を洗わないと!!)
由衣の片方の手はおしっこで濡れている。
一気に我に返った由衣は、片手で勢いよくペーパーを引き出すと、くしゃくしゃに丸めて後始末をし、更に引き出して濡れている手やふとももを拭き取った。
里香もペーパーを引き出しているようである。
由衣は急いで立ち上がると、少し湿っているパンツを片手で引き上げ、スカートを降ろして個室を出た。
手を洗い、ペーパータオルで拭いているときに里香が出てきた。
「由衣、大丈夫?」
手を洗いながら里香が由衣をのぞき込むように言った。
「うん、ごめん。おしっこしたらスッキリしたみたい。」
「吐き気、収まったの?」
「うん・・・」
膀胱が小さくなって臓器の圧迫が収まったせいか、先ほど感じた吐き気は完全に収まっていた。
しかし吐き気こそ無くなったものの、歩き出すとやはりふらふらとしていた。
里香の手を借りて部屋に戻る途中、
「由衣、あんたほんとは漏らしてたでしょう!?」
突然里香が言った。
「えっ!!??」
由衣は驚いて里香の顔を見上げた。
「さっき、いたずらされてるとき・・・」
「ううん、もらしてないよっ!」
由衣は憮然として応えた。
「うそ、私見たもん!!」
「見たって・・なにを!?」
「由衣のパンツにシミができてたもん!」
「あ・・・」
やはり里香に真っ正面から見られていたわけだ。
由衣はかーっと熱くなった。
(やだ、やっぱり見られていたぁ。)
おもらしではないが、そのことを説明する事は出来ない。
「ちがうよぉ、漏らしてないったら!」
由衣は必死で否定したが、里香は、
「いいんだって、見たのは私だけだから。内緒にしておくよ。」
「ちがうってぇ!!」
「いいからいいから!」
由衣は真由美の話で感じていた事を説明できないだけに、ちがうちがうと反発することしかできなかった。
「りかも漏らしたんじゃないの?」
由衣は負けじと言い返した。
「え、いつよぉ!?」
「私が足で蹴ったとき!」
「ああ、やばかったけど大丈夫!」
「ほんとにぃ!?」
「ほんとほんと、由衣とちがうもん!」
「だからあ、私も漏らしてないってえ!」
「じゃあさ、あのシミはなあに?」
「・・・・」
「真由美の話で感じてた?」
「・・・・」
由衣は墓穴を掘ってしまった。

 作法室の少し手前まで戻ってくると、かなり騒がしい様子が伝わってきた。
ふすまを開けると、そこはすさまじい戦場と化していた。
スカートのめくりあい、胸の触りあい、さらには電気アンマをされている者、ブラジャーをはぎ取られ、上半身裸にされている者・・・
奥の方では二人にパンツを脱がされそうになっている史乃の姿まであり、甲高い叫び声が充満していた。
「・・・・っ」
由衣はあっけにとられて言葉が出なかった。
しばらくボー然と見ていたが、ふと廊下の向こうに宿直警備員の姿を見て、気づいた里香がとっさに落ちていたクラッカーをならした。
皆の動きが一瞬とまる。
「警備員さんが来たよ!!!」
その声にあわてて、皆はすばらしいスピードで服を直しだした。
あれだけ騒いで走り回っていたのに、飲み物や料理をこぼしたり、食器を割ったりすることがなかったのが不思議なことであった。

 女たちはこのあと、近所のカラオケに席を移した。
いつになく酔ってしまった由衣はウーロン茶を飲んでいたが、いつしか睡魔に襲われて、次第に意識が遠のいていくのを感じ、里香に寄りかかるようにして眠りの世界に入っていった。

 激しい尿意を感じて目を覚ますと、そこは自室のベッドの上であった。
「・・・??」
由衣の思考回路はまだ作動していない。
しばらくぼんやりと天井を見つめていたが、痛いほどにふくらんだ膀胱の悲鳴は、思考回路の作動に関係なく由衣をベッドから起きあがらせた。
「つうっ!!」
起きあがると同時に、激しい頭痛が由衣を襲った。
ふらついて足がもつれ、うまく歩けない。
激しい尿意と頭痛に、胸の不快感も加わって、由衣はパニックになった。
(た・・たすけてっ!)
壁に寄りかかりながら、かろうじてユニットバスのドアを開ける事ができたが、一歩踏み入れたところで足がもつれて膝が砕けてしまい、正座するような格好で洋式便器の前にへたりこんでしまった。
その振動が激しい頭痛を倍増させ、割れるような痛みが起こる。
「いたーいっ!」
神経が頭痛に集中したその瞬間、限界までふくれていた由衣の膀胱は収縮を始め、液体を体外に押し出し始めた。
「あ・・あ・・・」
ユニットバスの床にへたり込んで、便器を抱いた状態の由衣の股間から、意識に関係なくダラダラと下着越しにあふれ出すおしっこ。
やがてそれは勢いよく飛び出し、ユニットバスの床一面に広がりだした。
脈を打つ激しい頭痛の中で、由衣は下半身だけが軽くなっていく奇妙な感覚を感じていた。
 ようやく流れが止まり、少し落ち着いた由衣は、とりあえず濡れてしまった下着を脱ぎ捨ててシャワーを浴びようとして気がづいた。
(え・・な、なんで・・・?)
上半身は何も着ておらず、パンツだけの格好であった。
激しい頭痛のために何も思い出せない。
とにかく体を洗おうと、濡れた床にパンツを脱ぎ捨ててバスタブをまたいだ。
すべての動作に頭痛がついて回る。
頭から浴びることをためらって、下半身だけのシャワーをすませ、自分のおしっこを踏まないようにバスタオルを取ろうとしたが、用意していた訳ではないので棚にストックは置いてなかった。
仕方なく濡れた体のまま部屋に戻ると、夕べ着ていたTシャツがきれいに折りたたまれて、スカートと一緒にベッドの脇に置かれている事に気がついた。
その上にはブラジャーとポーチ、由衣の部屋のカギまでが置かれている。
「えっ!?」
何も思い出せない由衣は、バスタオルで体をくるむと、ドアを確認した。
「!!」
カギはかかっていなかった。
「うそっ!」
カラオケの途中から記憶がない。
どうやって部屋に戻ってきたのだろう?
誰かが服を脱がせてくれたのか?
ブラジャーまで・・・?
混乱する由衣の頭は、ますます頭痛を激しくさせていった。
初めて経験する二日酔い。
由衣にとって地獄のような日曜日の朝であった。

 昼過ぎに里香がやってきて、眠っている由衣を交代で両脇から抱えて部屋までつれてきたと話してくれた。
歩いて10分ぐらいの距離ではあったが、意識がない由衣の身体は重かったと笑って言う里香。
Tシャツを脱がせたのも里香であった。
人前で吐いたりする醜態はなかったようだが、由衣は恥ずかしくてたまらない。
「ごめんね・・」
タオルケットから顔を出して謝る由衣。
「いいって、それより由衣、パンツ濡れてたから履き替えさしたよ!」
「え」
「ちょっと漏らしたの?」
「・・・・」
「覚えてない?」
「・・ん・・」
「スカートは濡れてなかったからさ、帰る途中かもね?」
「え・・・・」
「少しだけだよ。安心して!」
「・・・・・・」
「大丈夫、私だけだから!」
「・・・・」
「どした?」
「里香・・見たの?」
「なにを?」
「わたしの・・・」
「うん、拭いてあげたもん!」
「・・・・!」
「かわいかったよ!」
「・・・・・!!!」

由衣の、女だらけの楽しい(?)寮生活は、今日も続いている・・・。


まだあるよ〜!

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