不動産業者の車が敦史と由衣の二人を乗せて、小雨が降る町並みを走っていた。
ある日のデートで、敦史は家を出る事を由衣に伝えた。
驚いていた由衣であったが、敦史の、
「これでゆっくりエッチできるぞ!!」
と言う言葉に、
「スケベッ!」
と一喝しながらも、心はすでにはじけていて、まだ見つかってもいない部屋に夢を膨らませていた。
しかし、いくつかの仲介業者を回っても、部屋の間取りが気に入らなかったり、あるいは家賃的に問題があったりと、なかなかいい物件に巡り会えずにいた。
そんなとき、勤務先のそばにある仲介業者の店先に張り出されている物件に目がとまったのだ。
灯台下暗しであった。
二人を乗せた車は、7階建ての洒落たマンションの前に止まった。
運転していた男に案内され、建物の中へ入っていく。
全面ガラスのオートロックドアに、きれいな集合ポストが並んでいるそこは、新築ではないが、さほど古くはない建物で、表通りから少し入った静かな住宅街の一角であった。
エレベータに乗って5階に着くと、共有廊下から町並みが望める。
周囲にあまり高い建物が無いので、5階であっってもいい眺めであった。
その一室に通されて、由衣は、
「わあっステキ!!」
思わず感嘆の声を上げた。
通された部屋は1LDKで、玄関からまっすぐに廊下があり、その奥にリビングにつながる半透明のガラスドアがあった。
廊下の左側に洗面所とバスルーム、トイレがあり、右手は6畳ほどのフローリングの洋間であった。
リビングはベランダに面した横長で10畳ほどのフローリングで、バスやトイレがある側の面が対面キッチンになっている。
リビングからもロールカーテンを介して洋間につながっていた。
やはり由衣は女の子である。
初めて見る対面キッチンに目を輝かして喜んでいたが、やがて、
「ちょっと高いぃ・・・」
と、ほほを膨らませた。
標準的な高さのシステムキッチンであろうが、由衣にはやや使いづらい高さのようであった。
それでも引き出しをあけたり、ガスレンジのコックを回してみたりと、ウキウキ気分の由衣であった。
「いかがですか?」
係の男がニコニコして敦史に聞いた。
「う〜ん・・」
敦史は決めかねているようであった。
「景色がいいよ〜!」
ベランダの戸を開けた由衣が大きな声で敦史に言った。
小雨で煙った町並みの遙か向こうにJRの高架が見える。
「気に入ったのか?」
敦史は由衣の傍らに寄って聞いた。
「うん、もうサイコー!」
ニコニコして応える由衣に、
「新婚さんには充分な広さです。」
係の男が言った。
「え・・!?」
新婚さんと言われて、由衣は赤くなった。
敦史はこの部屋を借りることにして、契約を済ませた。
やっと落ち着いたわけであるが、家賃は敦史の予定を少し上回ってしまった。
「これからは無駄使いできないなあ・・・」
ため息まじりで言う敦史。
「私も少し負担しようか?」
「いいよ、俺が借りたんだし。」
と応えた敦史は、
「その代わり、時々料理を頼むよ。」
と付け加えた。
「え!!」
由衣は焦った。
実のところ、由衣は料理に自信がない。
しかし、敦史の言うように、これから先は無駄な出費は控えないといけない。
由衣は密かに、勤務先の近所にあるガス会社のクッキングスクールに通って、敦史のために料理の勉強をしようと思った。
日曜日。由衣はバッグいっぱいに掃除道具を詰めて、敦史が借りた部屋の掃除に出かけた。
2月に入ったばかりの曇り空で、今にも雪が降り出しそうな寒い日であった。
すでに合い鍵をもらっていた由衣は、鼻歌交じりの上機嫌でドアを開け、着ていたダウンをキッチンのカウンターに放り投げると、さっそくフローリングの拭き掃除を始めた。
水は使えたが、ガスはまだ開栓されていない。
暖房の入っていない部屋で冷たい水。
ゴム手袋をしているとは言っても、由衣には寒さと冷たさがこたえた。
小一時間ほどして、敦史が寝癖のついたバサバサの髪の毛で、手にコンビニの袋を提げてやってきた。
「おそいよ〜!」
「ああ、わるい。寝坊してさ・・・」
「もうほとんど拭いたよ。」
「ほんとだ。きれいになってる!」
「乾いたらワックスだね。」
「ああ。寒いだろ、ほれ!」
敦史はコンビニの袋から、暖かい缶コーヒーを取り出すと由衣に手渡した。
「ありがとう!」
手袋を外した由衣が、おいしそうに飲み出す。
敦史がベランダの戸を開けた。
冷たい風が室内に流れ込み、由衣はふるえた。
「網戸も掃除しないといけないなあ・・・」
敦史に言われて目をやると、確かに網戸もくすんで汚れている。
「じゃあワックスかける前にやっちゃおうか!」
由衣は持ってきたバッグから網戸用の洗剤を取り出すと、カウンターの上に置いていたダウンを羽織って準備にとりかかった。
「ここは俺がやるよ。」
「え、どうして?」
「だって由衣、上まで届かないだろ!」
「あ・・ああ・そっか!!」
「だろ!!」
「じゃあさ、洋間の方、ワックスかけるね。」
「いいけど、ムラを作るなよ。」
「もお! お掃除は任せなさい!!」
ふたりはそれぞれに作業に取りかかった。
洋間のワックスを掛け終わる頃、由衣は強い尿意を感じていた。
この部屋に来てから2時間ほどになる。
寒い中で冷たい水仕事をしていたので、体は冷え切っていた。
敦史の方を見ると、網戸の水拭きを終わろうとしていた。
(今のうちにトイレ行っちゃお!!)
由衣は敦史に気づかれないように、そっとトイレのドアを開けた。
そこはドアの方を向いて座る洋式であった。
(あれ!!)
由衣はノブの周りをもう一度見回した。
(ウソォ! カギがない!!!)
どういう造りなのか、トイレのドアにはカギがついていない。
(え〜、やだ〜、なんで〜!!)
由衣はふと不安になったが、とりあえず用を足そうとして、
(えっ!!)
再び固まってしまった。
(やんっ!トイレットペーパーがない!!)
考えてみたら、入居者のいない賃貸の部屋にトイレットペーパーが置かれているはずもない。
あわてた由衣は、ダウンとジーンズのポケットをさぐってみたが、ティッシュに代わるものは入っていなかった。
持ってきたバッグのポケットティッシュを使おうと、そっとドアを開けると、そのバッグをおいているキッチンのあたりに敦史がいた。
(やん、どうしよう・・・)
バッグを取りに行ってトイレに入るのは恥ずかしい。
由衣は困った。
と同時に、由衣の持っているいるポケットティッシュは、水に流せないものであることを思い出した。
もし詰まらせたりしたら大変なことになる。
由衣は仕方なくトイレから出ることにした。
しかし、一度排尿準備に入ってしまった由衣の膀胱は、縮まろうとして内側から圧力をかけ、平静を保とうとしている由衣の表情を曇らせた。
(あ〜・・トイレいきた〜い!!)
リビングの床にワックスを掛け出した敦史を見つめながら、由衣はダウンのポケットに両手を突っ込んだまま小刻みに身体を揺すらせていた。
ベランダの戸は開いたままである。
小雪が舞っていた。
落ち着きがない由衣を見て、
「寒いのか?」
敦史が聞いた。
「うん・・ベランダの戸、閉めちゃだめ?」
「もう少し我慢しろよ。風を入れないと・・。」
「う・・ん・・」
「ここが終わったら飯食べに行こう!」
「うん・・・」
トイレのすぐそばに立っていながらトイレに行けない・・・
由衣は、自分が女であることを呪わずにはいられなかった。
リビングのワックス掛けが終わるまでに、20分ほどかかった。
その間由衣は、
「さむいよ〜、さむいよ〜」
と言いながら、廊下、洋間と、行ったりきたりして、落ち着きなく歩き回っていた。
(トイレに行きたいから早くして!!)
そう叫びたいのを、必死でこらえている由衣。
鼻歌交じりでぞうきんを絞っている敦史の後ろ姿を、思い切り蹴飛ばしたくなる由衣であった。
敦史からもらって飲んだ缶コーヒーも効いてきたのか、由衣の尿意は強烈に高まっていて、もうすでに警戒水位を超えようとしていた。
洗面所で手を洗う敦史が、
「わあ、冷てえっ!!」
と叫んでいたが、水音を聞きたくない由衣。
ふるえながら両足をすりあわせて、耐えていた。
「さ、お待たせ。行こうか!!」
敦史の言葉に安堵した由衣が、玄関に向かったとき、
「あ、その前にちょっとトイレ行くよ。」
敦史は、ジャケットを由衣に持たせてトイレの中に入っていった。
(うそぉ!! 人がこれだけ我慢してるのにぃ!!!)
由衣は敦史が憎たらしい。
クイッというレバーを引く音がした瞬間、ゴワーーーーという、かなり激しい水の流れる音が響いた。
が、その音はすぐに消え、あとはタンクに水がたまっていくチョロチョロという音に変わった。
ジョボボボ・・・と、敦史の放尿音が聞こえてくる。
(やだ、ここのトイレ、けっこう音が聞こえる!!)
聞こえている敦史の放尿音を自分に置き換え、由衣は恥ずかしくなった。
それと同時に、人の放尿音に刺激されて、由衣は今にも漏らしてしまいそうな恐怖におそわれて、思わず玄関でうずくまってしまった。
(くぅっ! たすけて・・・!!!)
再び水の流れる音がしたあと、敦史がトイレのドアを開けたので、由衣はシューズボックスにつかまって重い身体を起こした。
まだタオルが置いてないので、手をブラブラ振って水を切りながら、
「由衣、トイレは?」
と敦史が聞いた。
「行きたいけど・・・」
思わず口にしてしまう由衣。
「だったら済ませておけよ。出かけるから。」
「うん・・でも・・」
「?」
「いい、あとにする!」
「はあ!?」
「ファミレスで行くから・・・」
「なんで?」
「なんでもっ!」
「恥ずかしいのか?」
「・・それもあるけど・・・」
「けど・・?」
「・・・」
「ん?」
「いいから、早く行こうよぉ!!!」
「変なやつ。」
「・・・」
由衣はどうしてもペーパーが無いからトイレが出来ないとは言えない。
(なんで女の子だけ紙がいるのよぉっ!不公平だよぉ!!)
由衣は少し腹立たしくなっていた。
ファミレスは歩いて数分の近いところにあった。
それでも膀胱が満タン状態の由衣にとっては、とてつもなく遠い距離に思え、必死で歩くのであった。
唯一の救いは、敦史の腕にしがみつけるということだけであった。
日曜日のお昼と言うこともあってか、かなり混雑したファミレスであったが、それでもふたりは待つことなく席に着け、
「Aランチ頼んでおいてね!」
と、敦史に告げてダウンを脱ぎ捨てると、由衣はトイレ目指して小走りに駆けていった。
恥ずかしさよりも緊急性を重視した由衣。
女子トイレの二つある個室は内開きドアで、誰も使っていなかった。
由衣はホッとして片方の個室に飛び込むと、丸く膨らんだ下腹部をいたわるようにしながら、ジーンズのホックをはずそうとしたが、手が冷たくかじかんでいて、思うように動かせない。
おまけに少しお腹をへこませないとはずせないのだ。
泣きたくなるような思いで足をすりあわせ、身体を揺すりながら、ようやくホックをはずし、ファスナーを下げると、ジーンズを下着と一緒にずり下げてしゃがみこんだ。
同時に、シュルルル・・・と、勢いよく放尿が始まり、水たまりを激しく打ちつけた。
「ふう・・・」
軽くなっていくお腹の感触がため息をつかせる。
由衣は水を流すことも忘れて、開放感を堪能していた。
席に戻ると、たばこを吹かしながら敦史が外の景色を眺めていた。
つられて目をやると、先ほどまでは舞う程度であった雪が、本格的に降り出して、すでに植え込みの枝は白くなりかけていた。
「きれい・・・」
ポツリとつぶやく由衣。
やがて運ばれてきた食事を見て由衣は驚いた。
「なにこれぇ!!??」
由衣の前には顔ほどの大きさのジャンボハンバーグステーキとライス、サラダなどが置かれたのだ。
「Aランチって言っただろ!」
敦史が笑いながら言う。
Aランチが何であるかを確認せずに、由衣は思いついた言葉を言っただけであった。
小柄な由衣がジャンボハンバーグ、大柄な敦史はカレーライスであった。
結局半分以上を敦史に食べてもらって、食事を終えた二人は雪の中を寄り添うように歩いて帰った。
途中立ち寄ったコンビニで、由衣はトイレットペーパーを買った。
「あ、そうか!!」
敦史が気づいたようだ。
由衣は何も言わずに、ただ歩くだけであった。
一緒に住むわけではないが、由衣は敦史の部屋に不安を持った。
トイレにカギがついていない。
トイレの水音が短く、響きやすい。
(なんかやだなあ・・・)
次の日曜日、敦史の引っ越しは無事に済んだ。
午後から片づけの手伝いに出かけた由衣は、敦史の両親や妹と再会した。
簡単な挨拶を交わしただけで、何となく気恥ずかしく、由衣は隅っこの方でモゾモゾしていた。
妹が言った「よかったね!」という言葉に、どう反応していいのかわからず、ただ笑顔を返すだけの由衣。
やがて両親たちは由衣に、
「あとはふたりで仲良くね!」
と言って、早々に引き上げていった。
(私って、どういう存在になってるんだろう・・・??)
由衣は複雑であった。
あれだけ広かったリビングが、荷物が入ったことで一気に狭く感じるようになった。
ガスの開栓、エアコンの取り付け工事、冷蔵庫と洗濯機の搬入、NTTの開通テスト、この日は夕方まで人の出入りが続き、二人が食事に出かけたのは夜の7時過ぎであった。
由衣はこの日もトイレを使うことをためらって、出先の焼肉店まで我慢してしまった。
そんなある日、仕事の仲間が引越祝いをするというので、敦史の部屋に集まることになり、男女10人ほどがリビングにあふれかえった。
揃っていない湯飲みやカップにお茶を入れ、かいがいしく動く由衣は、みんなから冷やかされることが恥ずかしい反面、実はうれしくてたまらない。
近所の居酒屋に席を移して、にぎやかなパーティーが始まった。
アルコールが入ってくると、当然のように敦史と由衣の話題に花が咲く。
「もう一緒に住むの?」
「結婚するの?」
「週にどれぐらいエッチするの?」
「由衣ちゃんからも求めるの?」
「新居でもうエッチした?」
女性陣が多いため、かなり具体的な事まで聞かれて、新婚気分で浮かれていた由衣も さすがに返答に困ってしまうこともあった。
敦史の両親には二度もあった。
だが結婚とかの話は何も出ていない。
一方由衣の両親は、まだ二人の交際については何も知らない。
これから先、結婚のことを考えていいのかどうか、何も言わない敦史に対して、由衣は一抹の不安を覚えていた。
「そうそう、高木くん、トイレのカギ、なんでついてないの?」
由衣が気にしている事を、ある女性が言った。
「あ、そういえばついてなかったわよね。」
別の女性が言った。
誰も敦史の部屋でトイレを使っていないが、やはり女性。
くまなくチェックしていたようだ。
「由衣ちゃん、カギつけてもらわないとダメよ!!」
「そうそう、高木君、きっとノゾキにくるわよ。」
「だったら小原さんも高木を覗いちゃえよ!」
「おいおい、俺たちは変態カップルかよっ!」
笑い声が響く中で、由衣は小さくなっていた。
(や〜ん、恥ずかしいよぉ・・・)
週に2〜3度、由衣の部屋通いがはじまった。
会社の寮から由衣の足で歩いて20分ほどかかる。
途中のスーパーで買い物をしたりして、慣れない料理を作ったりもしていた。
クッキングスクールは定員があって、由衣は4月まで入れない。
せいぜいカレーライスか野菜炒め。その程度のものしか作れなかった。
それでも敦史はおいしいと言って、お代わりをしてくれる。
食事の後、部屋の模様替えや小間物の整理、オーディオ機器の接続、それに敦史のパソコンの設定など、なにかと用事が続き、二人がゆっくりすることができない日が続いていた。
すぐに11時近くになり、由衣は帰らなくてはならない。
由衣のいる寮に門限はない。
ワンルームマンションを借り切っているだけの寮である。
それでも翌日の事を考えてか、敦史は11時になると、由衣を送って行くと言って帰らせた。
由衣はいつ泊まっても大丈夫なように、密かに洗面用具と着替えを忍ばせていたが、敦史は一度も「泊まっていけ!」とは口にしなかった。
この部屋に超してきてから、まだ敦史に抱かれていない由衣。
今年に入って、1月5日、初詣に行った夜に抱かれたきりであった。
泊まってきたい! 抱いてほしい!!
由衣にはその言葉を口にできないいらだちがあった。
敦史は最近、音消しをせずにトイレをするようになった。
高い位置からの、ジョボジョボと水たまりに当たる放尿音が聞こえる。
由衣はそのたびに恥ずかしさ覚えた。
由衣はというと、敦史が何かに集中しているか気をとられている時をねらって、そっとトイレに入っていた。
音消しせずには入れない由衣。
二度流しをすると、タンクの水が少ないためか、時としてトイレットペーパーが流れずに残ってしまうことがある。
由衣は次の水がたまるまでの間、ずっとトイレに閉じこもっていなければならなかった。
ある金曜日、二人は退社時に待ち合わせてホビーショップで買い物をした。
マンションに駐車場がないため、敦史は車を実家においたままなので、最近は歩いてばかりだ。
近所のファミレスで夕食をすませたふたりは、久しぶりに落ち着いた時間を過ごしていた。
ソファーにもたれ、あぐらをかいてテレビを見ている敦史。
その足の間に座り込んだ由衣。
最近、この体制が好きになった由衣であった。
敦史にもたれるようにして座ると、背中越しに敦史の体温が感じられ、うしろから抱きしめられるとすごく安心感があり、胸の前でクロスしている敦史の手を握りしめている由衣であった。
が、この日の敦史はいつもと違い、いたずらっぽく由衣の両方の胸を触りだした。
今日にはじまったことではない。
この体制でいるとよく触られるので、そのたびに敦史の手をパシッとたたいてストップさせていた。
いつになくしつこい敦史。
右手はセーターの下に潜り込み、ブラジャーの上から由衣の左の乳首を探し出すと、引っ張り出すようにつまみ上げ、親指と人差し指でコリコリと遊びだした。
「ちょっとぉ、いたいよぉ!!」
由衣が怒ったように言うと、つまんでいた指は離れたものの、今度は乳首の先端をさするように指先で円を描き出す。
「あん、もぉぉ!!!」
由衣は両手で敦史の腕をつかみ、いたずらをやめさせようと力を入れた。
「テレビが見れないよ、もぉぉ!!!」
いつも楽しみに見ている「高校教師」
敦史のいたずらで気が散ってならない。
両方の腕で敦史の手首あたりを押さえていると、彼の左手がスルッと由衣のスカートの中に滑り込んできた。
「!!!」
体育座りのような格好の由衣の太ももの後ろ側に滑り込んだ手は、さするように上下したかと思うと、あっという間にお尻側からパンツにふれてきた。
敏感な部分にまで指がふれる。
「やん!!」
由衣はあわてて敦史の手を押さえたが、パンツの上からさするように動いている指までは押さえることができない。
無防備になった胸の方にも、指の動きが加わってきた。
「もおおお! テレビ見れないじゃないぃ!!」
実はこのとき、由衣には強い尿意があった。
ファミレスで中ジョッキのビールを飲んで、少しおしゃべりをしながらコーヒーも飲んでいた。
部屋についた時にはかなり強い尿意を感じていたのだ。
しかし好きな番組が始まったので、見終わってからトイレに行こうと思い、敦史に甘えていたのだが、敦史のいたずらで尿意がこみ上げてたまらなくなっていた。
「ちょっとぉ、テレビぃ!!」
それでも由衣はトイレに行きたくなるという言葉を口には出来ず、テレビが見れないという口実で敦史をやめさせようとした。
そして立ち上がろうともがいたが、後ろから抱きすくめられているために動くことができない。
「もぉぉ!!」
尿意に負けそうになるその反面、続けられる刺激に身体が反応しかかっていることを敦史に気づかれるのが恥ずかしかった。
「ビデオに撮ってあるよ。」
由衣の背中越しに敦史が言った。
「え・・?」
「後で見たらいい。」
「・・・?」
「しようか?」
「え・・・!?」
「エッチ!!」
「え・・・」
「久しぶりに・・」
「あ・・・」
この部屋で、初めて抱かれる!
由衣は胸の奥がキュンと締め付けられるような感覚を感じた。
(ウソ!今からするの!?)
由衣はうれしかった。しかし
(でも・・おしっこしたいし・・・)
(お風呂に入ってからの方がいいのに・・・)
(そしたらトイレすませてからできるんだけどなあ・・・)
(あっくんがその気になってるし・・・ガマンしよっと!!)
(でも・・漏らしちゃったらどうしよう・・・?)
(お布団汚しちゃいけないし・・・)
(やっぱり先にトイレって言おう!!)
(でも・・・恥ずかしいなあ・・・)
(ガマンした方がいいのかなあ・・・??)
由衣がとまどっているうちに、敦史の右手がブラジャーを持ち上げるようにして入り込み、直に乳首を触りだした。
「!!!」
そこに神経を集中したために、由衣の足から力が抜けた。
やや開き気味になった太ももから手を抜くと、敦史はお腹側から手を入れて、さらに押し開くようにして左手を由衣の大事な部分に、完全に密着させた。
「はぁ!」
かすれたような声を漏らした由衣。
もはやセーブするものがない。
胸と下半身を同時に刺激され出すと、由衣の体から力が抜けていった。
大事な部分があつくなってくる由衣。
パンツの隙間から入り込んだ指が、じかにどこかを触っていた。
「くぅ・・」
子犬の鳴き声のような声が出た。
「もう感じてるね由衣!」
敦史の言葉に、由衣は更にからだが熱くなり、敦史の腕を握りしめていた。
敦史は片方の足でテーブルを押し離し、少し空間を作ると、股間に入れていた手を出して由衣の両脇に入れ、軽々と由衣を持ち上げて横に座らせた。
「・・・」
由衣は言葉が出ない。
ただ敦史のする動作に任せていた。
セーターが持ち上げられ、背中に回した手でブラジャーのホックがはずされた。
たるんだブラジャーをたくし上げるようにして、敦史の右手が入り込んで、そっと胸に置かれると、ゆっくりと持ち上げるようにしてその手を動かした。
「ん・・」
由衣は目をつぶっていた。
敦史は左手で支えるようにして、ホットカーペットの上に由衣を横たえると、セーターとブラジャーをめくりあげ、小さな胸を口に包んだ。
「あん・・・」
スカートもめくられて、パンツの中に敦史の右手が入ってきた。
あつくなっているその部分に到達したとき、由衣の全身に電気が走り、
「あうぅ・・」
小さな叫び声を漏らしてしまった。
スカートとパンツを脱がされて、ソックスだけの下半身、上半身はセーターだけという中途半端な格好にされた由衣は、荒い息をしながら両手で顔を覆った。
敦史がほぼ全裸の身体を見つめている。
蛍光灯の真下で見られる恥ずかしさが由衣にはあった。
薄目を開けると、やはり敦史はしげしげと由衣の下半身を見回しているようであった。
そこにコンプレックスがある由衣は、恥ずかしくてたまらない。
しっかりと両足を伸ばしてとじ合わせていた。
とそのとき、由衣の両足が大きく開かれようとした。
由衣は焦った。
(やっ、中まで明るいところで見られるぅ!!)
思わず体を起こし、
「ねえ、おしりと背中が熱いよ・・・」
そう敦史に訴えた。
事実、ホットカーペットの熱が地肌に伝わり、かなり熱く感じていたのだ。
「あ、ごめん。そうだね。」
敦史はそういうと、上半身を起こした由衣の体からセーターとブラジャーを脱がし、散らばっていたクッションを由衣の背中とお尻の下あたりに入れてきた。
(えっ ベッドに行くんじゃないの!?)
ベッド以外で抱かれたことはこれまでにない。
しかも蛍光灯の真下で。
とまどっている由衣のことなどお構いなしに、敦史は再び由衣を抱き寄せると、キスをしてきた。
その口が、目尻、耳たぶ、首筋、胸の方へと移動し、由衣はまた波の中に飲み込まれていった。
これまで以上に長い愛撫。
時間とともに由衣の膀胱はふくれあがり、下腹部にうずきを感じだした。
しかし、真剣な顔つきで愛撫している敦史に、今更中断させるのは申し訳ないのと、それ以上に恥ずかしさがあり、またそれ以上に快感に酔いしれる欲望が勝っていて、由衣は敦史に身をゆだねていた。
「!!!」
いつの間にか敦史は由衣の足を大きく開いていた。
「やっ!」
という言葉が出そうになったその瞬間、敦史の口が敏感な部分に触れてきた。
「やんっ!!!」
由衣に快感と尿意の波が同時に押し寄せてきた。
きっと尿道口あたりを刺激されたのであろう、ジンジンする感覚におそわれ、思わず力が入り、足を閉じようとする。
(だめだめ!!おしっこでちゃうよぉ)
そう叫びたかったが、
「だめぇ!お風呂はいってないし・・汚いよぉ!!」
口から出た言葉は違っていた。
なんとか敦史に離れてほしい。
このまま続けられたらおしっこが暴走してしまう。
そう思った由衣。
もがく由衣に、敦史は何も答えずに愛撫を続けていた。
「あぅ・・」
さらに大きなな波が押し寄せてきた。
快感なのか尿意なのか、あるいは尿意が快感なのか、由衣はもう何がなんだかわからなくなっている。
「やめてぇっ(もれちゃうぅ)!!」
後のほうの言葉は出なかった。
それでも続く愛撫。
恥ずかしい音を立てて動く敦史の口。
(あっあっあっ・・出ちゃうぅぅぅ!!!)
快感のピークがこようとしたとき、由衣はとうとう口走ってしまった。
「だめぇ。もう我慢できないよぉ!」
ようやく由衣から離れてくれた敦史。
肩で大きく呼吸している由衣。
波が少し収まりかけたそのとき、敦史の手が再び熱く敏感になりすぎている部分に触れてきた。
「!!!っ」
そこに、更に熱い何かを感じた。
が、何を感じたのか、もう由衣にはわからない。
頭の中が真っ白になり、次の瞬間、自分の存在すらわからない世界に入ってしまって、由衣は敦史の背中に腕を回して抱きついた。
しばらくして敦史の手が離れた。
体から力が抜けた由衣が呼吸を整えようとしたそのとき、両足が持ち上げられ、大きく開かれたと思った瞬間、敦史が由衣の中に入ってきた。
「あっ!」
由衣にはもうどうすることもできない。
動く敦史に両手と両足でしがみつくしかなかった。
由衣は一瞬、体が宙に浮くような感覚におそわれた。
「あああっ」
自分でも恥ずかしくなるような声を出してしまった。
そのとき敦史の動きが激しくなり、
「いくよ!」
と言って由衣から離れたかと思うと、下腹部の上にのしかかってきた。
「いっ・・」
丸くふくらんでいる由衣の膀胱の上で、敦史は最後を迎えて力を抜いた。
(あ・・出ちゃう!)
まともに膀胱を圧迫された由衣は、叫びそうになって必死で敦史の体をずらした。
頭の中が真っ白で、それ以上は何も考えられず、力も入らない。
荒い呼吸をし、やや大の字になって横たわる由衣であった。
敦史がティッシュを取り出して、由衣のおなかの上に飛び散った熱い液体を拭き取ろうとした。
膀胱の上を拭かれると、
「やめてっ、出ちゃうっ!」
思わず叫んでしまい、敦史の手を払いのけてしまった。
「おしっこ?」
「・・・ん・・・」
由衣は呼吸が苦しくて、ただコックリと首を動かすだけであった。
「そういえばここ、ふくらんでいるね。」
「やんっ!!!」
敦史がいたずらっぽく膀胱の上をさすったので、由衣は体を横にして逃れようとした。
すると、おなかの上に残っている敦史の液体が流れ落ちそうになり、あわてて上向きに戻るのであった。
「行っておいで。」
そう言われたが、由衣は起きあがることができなかった。
完全に脱力しており、それと同時に、動くと一気に吹き出しそうな尿意であることを知っていたのだ。
「・・だめ・・うごけない・・の・・・」
まだ呼吸が静まらない由衣。
敦史は立ち上がるとリビングを出て行った。
しばらくするとシャワーを出す音が聞こえてきた。
「!??」
(うそぉ! 自分だけシャワー浴びるのぉ!?)
由衣が怒りに近い感情を持ったとき、敦史が戻ってきた。
「?」
状況がつかめないでいる由衣を。
敦史はヒョイと由衣を持ち上げるとお姫様だっこをして、そのままバスルームに連れて行った。
ドアを開けたままのバスルームの蒸気が、洗面所と廊下に広がっていた。
バスタブにもたれかけるような格好で由衣を座らせると、
「後は自分でできるね!」
由衣の顔をのぞき込んだ。
バスタブに打ち付けるシャワーのしぶきが由衣にかかる。
放心状態の由衣。
「・・・」
由衣は声が出ない。
「あ、ソックスは脱いでおいた方が・・・」
敦史はそういって由衣の前にかがむと、足首からソックスをはぎ取りながら、由衣の股間に目をやった。
体育座りの格好の由衣。
コンプレックスのそこを見られて恥ずかしいのに、何の抵抗も出来ずにいた。
「かわいいよ、由衣!」
敦史はそう言ってドアを閉めた。
ドアが閉まるのを待っていたかのように、しゅるるる・・・と暖かい液体が由衣から飛び出した。
その勢いは強く、やや上の方に吹き出すと、由衣の足先の壁にまで飛んで、バシャバシャと音を立てながら洗い場の床を黄色く染めて流れ出した。
「はあ・・・」
ため息をつく由衣。
丸裸で・・体育座りの格好で・・お風呂の中で・・、由衣は初めて味わう感触に浸ってしまった。
(あああ・・気持ちいいよぉ!!!)
敦史の出した印も洗い流し、髪の毛も洗った由衣。
全身に熱いシャワーを浴びていると、先ほど勢いよく吹き出したはずなのに、再び尿意がこみ上げてきた。
(どうしよう・・・)
とまどった由衣であったが、それも一瞬で、由衣はバスタブの中でおなかの力を抜いた。
シャワーとは別の感触が両方の太ももに伝わり、流れていく。
「はうぅぅ・・・」
由衣はこれまでにない新たな感覚に包まれていた。
気を取り戻しドアを開けると、そこにバスタオルが置かれていた。
体をタオルでくるんでリビングに戻ると、敦史がトランクスだけの格好でひとつのクッションを高々と持ち上げて、
「これ、由衣のおしっこ!」
と言って振り回した。
ギョッっとして目で追うと、白いクッションに大きな黄色みがかったシミが広がっていた。
たしかに由衣は、どこかの時点でその覚えがあった。
「やあんっ!!」
とりかえそうと由衣が手を伸ばしたそのとき、体に巻いていたバスタオルの結び目がほどけて落ちそうになり、思わず動きを止めた。
そんな由衣を敦史は膝の上に抱き寄せ、
「かなり我慢してたね。」
と言った。
「・・うん」
うなだれながら言う由衣。
「わかってたよ。」
「え?」
「お腹がパンパンで堅くなってた。」
「やあん!」
バスタオルの上から、敦史の手が再び由衣の胸を触りだした。
由衣は抵抗することなく身を任せていた。
「ごめんね・・」
「ん?」
「クッション・・・」
「はは・・いいよ、どうせ洗うのは由衣だし!」
「・・ん。」
「な!」
「でも・・あっくんが悪いんだよ!」
「なにが!?」
「だって・・今日はいつもより・・・」
長かったと言いかけた由衣だが、そう言うのが恥ずかしくて言葉をにごした。
12時になろうとしていた。
シャワーを浴びていた15分ほどを差し引いても、1時間半以上愛されていたことになる。
愛され始めた時点で強い尿意があった由衣。
よく耐えられたとも言える長い時間であった。
この夜、由衣は初めて敦史の部屋に泊まった。
翌日の土曜日がお互いに休みと言うこともあって、ふたりは夜遅くまでおしゃべりし、また愛し合っていた。
そして由衣は、敦史の熱くなった物を初めて見せてもらい、それを手で包み込むと、ドクンドクンと脈を打っている事に感動し、いつまでもじゃれていたのであった。
まだ続くのかな・・・?