先日、朝からけっこう雨がきつく降っていた日、私はお仕事の関係で伊丹市という所に一人で出かけた。
ある女医の方にアドバイスと指導をお願いしていた件があって、伊丹の自宅に招待されたからだ。
目上の人のおうちに初めて訪問する。しかもひとりで……。
私は緊張マックスで出かけていった。
先方は11時に来てくれということだったので、遅れないように気をつけて、駅からはタクシーに乗って指示されたとおりの住所を伝えて…11時少し前に着くことが出来て一安心。
アンティークな家具やソファーなんかが揃った応接室に通されて、おいしい紅茶をいただきながら早速お仕事のお話……。
かなり込み入った内容のものが多かったんだけど、とてもわかりやすく親切丁寧に教えてもらって、お話を聞いているうちにその人柄がよく伝わってきて、ますます尊敬する人に見えてきて…、少し緊張は解けてきたけど、それでもやっぱりお顔をまっすぐには見られなかった。
時間はあっという間に過ぎていって、12時半ごろになって、私のお腹がこんなときに限ってグ〜…なんて鳴るもんだから、恥ずかしいったらありゃしない。
その先生、ちょうど私もお腹が空いてきた。お昼を用意するから待っていてなんて言って部屋を出て行ったのね。
私は…お昼までごちそうになるつもりはなかったんだけど、まだもう少しお話を伺いたい事があったので、その言葉に従ってそのまま資料なんかを整理していたら、そこへご主人が入ってきた。
ロマンスグレーのスラッとしたカッコイイおじさまだった。
すごく奇策に私に話しかけてこられて、そのお話もまたおもしろくて、すぐに20分ぐらいすぎてしまって、お食事の用意が出来たからってダイニングの方に呼ばれてしまった。
呼ばれてしまった…という言い方は失礼なんだけど、実は私…お手洗いを借りようと思っていた時にご主人が入ってこられて、そのタイミングがなくなったままお食事だって言われたもんだから……。
応接室がかなり冷房が効いていたので、薄着の私は…冷えたせいかおしっこがしたくなっていた。
まだ私には充分我慢できる程度のものだったけど……。
さあ、おしがまの始まりだい!!
その女医先生は、パンを焼くのが趣味だそうで、テーブルにはロールパンからオープンサンドまで、彩りを添えるサラダと一緒にギッシリ並んでいた。
おまけに私専用のティーポットまである……。
ご主人もいっしょにお食事になって、私は緊張しながらそれらをいただきだして、私専用のティーポットだから、それを飲まない訳にはいかないからって、カップ2杯も飲んでしまっていた。
お食事が終わったらお手洗いを借りようと、そんなことを思いめぐらしながら、それでも先生が焼いたパンは本当においしかったので、かなりたくさんいただいておなかはもうパンパン。
膀胱もかなりパンパンに近づきつつあったけど……。
なのに、
「片付ける間お相手してあげて!」
なんて先生が言うもんだから、ご主人、私を自分の書斎に連れて行くのね。
そして研究しておられる分野のお話なんかを聞かされて…、私はかなり落ち着かなくなってきていたけど、失礼がないように一生懸命うなずいたりしていたさ。
そこへ女医先生が助け船……にならなくて、まもなく別の約束があって出かけるから、続きをすぐに始めようって言われて、またお手洗いを借りる事が出来ないまま応接室に戻ってしまった。
それから20分ぐらいかな、残りのお話をさせていただいて、ようやく目的が達成できたその時に、ご主人がまた入ってこられて、時間だから出かけようって。
おふたりで車で出かけるらしい。
で、私もそれに便乗する事態になって、もうおしっこしたくてたまらなくなってきているのに、そのまま車に乗り込むハメになってしまった。
行く先はJR伊丹駅。
こうなったら駅のトイレでも仕方ないなんて、自分でそう決めて車内では出来るだけ明るく振る舞って自分をごまかしていた私。
なのに、なのにだよ!!
女医先生は私とご主人を駅で降ろすとすぐに走りだしてしまったんだぁ!
ご主人は大阪に行くんだって。
ここでトイレしようと思っていたのに、ご主人がいたら行けないじゃ〜ん!!
なんかさ、駅のトイレを使うなんて、さもず〜っと我慢してました〜!てことになるもんね。
そんなわけで私の緊迫しかかってきたおしがまは継続中。
各駅停車はけっこう空いていて、ご主人と並んで座ってまたお話ね。
けど、今度ばかりは全くそのお話が入ってこなくて、なんか上の空で返事していたような……。だってね、もうおなかはパンパンになっていて、はやくおしっこがしたくて、そればっかり考えていたもんね。
10分ほどで尼崎駅到着。
ちょうど反対側のホームに大阪方面の新快速が入ってきたので、ご主人はそれに乗り換えるだろうと思ったら、わざわざ私が乗る次の快速を一緒に待つなんてっ!!
もうね、ほんとに…ひとりにしてほしかったぁ!!
電車を待つホームでさ、そんなあからさまにおしがまダンスは出来ないけど、でも勝手に身体がソワソワクネクネしてしまって、ひょっとしたらおしがましてるのがバレていたかもしれない…それほどせっぱ詰まりだしていた私だったもん。
で7分後ぐらいに京都方面の快速が入ってきて、次の大阪駅でドバッと人が降りるから座ることが出来たんだけど、そこで一瞬の気の迷いがまた私を苦しめる事になってしまったの。
「お手洗いは一番後ろの1号車と中ほど5号車にございます。なお、4号車と5号車の間は、車内からの通り抜けは出来ませんのであらかじめ……」
っていう車掌さんのアナウンス。
いつも乗っているから聞き慣れているフレーズで、普段は気にもかけないその内容が、今回は私にすごく重くのしかかってくる内容だった。
そう、尼崎からご主人と乗り込んだ車両は…4号車だった。
大阪駅でお別れした時にそれに気づいたんだけど、トイレがある5号車へ行くにはいったん降りて移動しなければダメで、そうしようか迷っているうちに人がドバッて乗り込んできたもんだから、あわててシートに座ってしまったのだ。
すぐにプシュ〜ってドアが閉まって…電車は京都に向かって走りだしたのね。
もう車内でトイレに行くには、一番後ろの1号車までトコトコ歩いていくしか方法は残っていない……。
それがいやなら次の新大阪でいったん降りて5号車に移動するか……。
私は自分の膀胱に相談してみた。
スカートの上からそ〜っと押さえて……。
その答えは、次で降りて5号車に移動しろ!!だった。
が……
次の新大阪では降りる人がいなくて、乗り込んでくる人がわ〜っと押し寄せて来る状態だったから、私は席を立つタイミングを逃してしまって座ったままだった。
通路もかなり人が立ちだして、移動するのもちょっとって感じになって、このままだったら最寄り駅まで動けない……あと約30分ほど……になってしまったさ。
それまで膀胱がもってくれるかどうか、それがとても心配になって、またそ〜っとスカートの上から押さえてみたら、もう膀胱ちゃんが完全に怒ってる!!
時刻は3時……
最初におしっこを感じたのがお昼前だから…およそ3時間……。
トイレに行っていない時間、およそ5時間半……
飲んだ量…紅茶カップ3杯と、家でウーロン茶コップ1杯……
おしっこがしたくて、座っていてもなんかモゾモゾって身体が動く。
横におじさんが座っているので、あんまり動くと変な目で見られてしまうけど、それでも勝手に動いてしまう。
やっぱり次の茨木で降りて…って思ったけど、乗り込んだ5号車ですぐにトイレに入るなんて…ちょっと恥ずかしすぎない!?
だってさ、トイレは座席のすぐ横なんだもん!!
そう思ってしまうと、もうこれは最寄駅まで我慢するしかない!!って、そう自分に言い聞かせてがんばる事に。
けど…おしっこしたいっ!おしっこしたいっ!おしっこしたいっ!!
頭の中はそれだらけ。
高槻を過ぎた。
ここからは各駅停車に変わる。
あともう少しあともう少し!!
そう言い聞かせる私の額には汗がにじんでいた。
車内は、乗客が減ってきたせいもあってかなり冷房が効いていたけれど、私は暑くてたまらない。
もう横にも通路の向こうの席にもだれも座っていないので、私は足を組み替えたりおしりをズラしたりして、とにかくおしがまのピークと戦っていたの。
やっと最寄り駅が近づいてきて、減速したタイミングで立ち上がろうとしたら、膨らみきった膀胱が重いもんだから、身体が伸ばせなくてへっぴり腰の前屈み。
それでもなんとか手すりなんかをつかんで…どうにか車外に出た私は、とにかく人の流れを見送って、一番最後をヨタヨタと歩いて……
けど、まるでお決まりのようにさ、こういう最悪なときには必ず更に最悪な事が起きるもので、そう、想像通り駅のトイレは清掃中だった……。
まぁ確かに利用客がもっとも少ないこの時間にするのは、理にかなっているのかもしれないけど、私には地獄の二乗みたいな仕打ちに思えて……。
もうこうなったら数分歩いて家までがんばろうって、本当なら夕飯の材料を買って帰る予定にしていたんだけど、そんなこともうどこかへ吹っ飛んでしまって、私は傘を杖代わりにして更にヨタヨタと家に向かって歩いたんだよ。
なんか、おしっこがちょっとずつ漏れ出してきているような感じでね、パンツが湿ってきているのを感じるんだけど、往来だから確かめることなんて出来ない。
途中何度か「あっ、もう出るっ!!」って瞬間に襲われて、立ち止まって街路樹にもたれかかったりしながら、それでもようやくマンションにたどり着いた私。
ここではエレベータちゃんが私を待っていてくれて、すぐに乗り込めた〜い!!
けど、そこからが大変。
"G"がかかると…なんかチロッって飛び出したような感覚が伝わってきて、思わずスカートの中に手が入っちゃって……、防犯カメラに写ってしまったかも……?
けど、もうそれも仕方ないやって感じで、そのまま廊下に誰もいない事を確認しながら、とにかく前押さえでおうちまでたどり着いたんだけど、カギを開けている間に、今度はもう完全におしっこが足を伝いだしてきて、勢いよくドアを開けて、バッグと傘を放り出して、靴のまま上がり込んで、やっぱり飛び込んだのはトイレではなくお風呂。
この状態では狭いトイレに入って向きを変えて腰を落とすよりも、飛び込んでそのまましゃがみ込めるお風呂の方が…確実に早くおしっこえきる…。
で、パンツなんか脱いでいる時間ないから、そのままドバ〜ッ!!
っていうか、初めはなんかチョロチョロって感じで、すぐにジョワジョワになってそれからドバ〜ッかな?
ちょっとしたタイミングのずれでここまで強烈なおしがまになってしまった今回、これが真冬の出来事だったら、いったいどうなっていた事やら……。
けど私……、これまでにこんな感じで何回パンツを汚してるのかなぁ……?