由衣の独り言 27




 忘年会のお話ってさ、もうこれで何回目だろうね。
もちろん忘年会は毎年あるからさ、それだけにいろん出来事があるんだけど、それがありきたりだったり刺激的だったり‥‥。
 この冬一番の寒さだって言われていた12月18日の金曜日ね、京都は昼間でも5度ぐらいしかなかったんだけど、なんとこの日に事務系の忘年会があったのよ。
いつもは土曜日なんだけど、今年はいろんな都合で金曜日になったんだわさ。
で、予算も少なく抑えようってね、元おすもうさんだった人がやっている居酒屋の2階が会場になったわけ。
 たぶんお座敷だろうって聞かされていたから、ほんとはジーパンで行きたかったんだけどね、この日はまたお偉いさんのお使いで外出する事になっていたので、やむなくスカート姿で出勤したんだよ。
私はストッキングアレルギー‥っていったらオーバーだけど、だめなのよね。
すぐに肌がかぶれたようになるので‥‥。
タイツなんかもあんまり穿かないもんだから、寒くてもいつも生足にハイソックスだけなんだよね。
もちろんお仕事のお使いで出かけるのに、タイツはどうも‥‥な訳だしね。
 出かけるときは別の部署の上司と一緒にタクシーで行ったのね。
んで先方で別行動になって、私は私の用事を済ませて忘年会の会場に向かう事になっていたんだけど、事情が重なってなかなか用事が終わらなくて、由衣ちゃんちょっとイライラしてたんだよ。
だってね、忘年会は6時半から始まるのに用事が終わったのが6時でさ、移動時間を考えると完全に遅刻なのよさ。
それはまぁいいんだけど、もうひとつ‥‥、待たされている間にだんだんおしっこが溜まってきてね、困っていたの。
もちろんそのお部屋に暖房は入っていたけど、あの寒さじゃん、足下から冷えてきてさ、用事が終わった頃にはもう「おしっこしたいよ〜!!」状態になってたの。
もちろん出かける前にはちゃんとおしっこ済ませていたよぉ。
 けどね、訪問先でトイレって借りにくいんだよ。
相手が女の人だけならなんとか言えるけど、大半が男の人でさ、中にイケメンもいたりして‥‥。
トイレの場所を知っていたらそっと行けるかもしれないけど、いつもすぐに応接室か会議室に通されるもんだからさ、何回か訪問してるのに場所を知らないんだわ。
おまけにお茶とかコーヒーを出されるから‥‥。

 6時過ぎにやっと用事が終わって、事務所の人にタクシーを呼んでもらったんだけど、週末だからか寒さのせいか、なかなか来ないのね。
ロビーで待っているとさ、そこは暖房が効いてないって言うか、人の出入りでドアがしょっちゅう開いたりしてるから、あの寒さの風が常に入り込んできて、コートを着ていても寒いのなんの‥‥。
(おしっこしたいのにぃ、早く来てよぉっ!!)
 なんて心の叫びを繰り返しながら待つこと5分。
やっとタクシーが来てくれて乗り込んだらさ、別行動していた他部署の上司も用事が終わったので、一緒に乗るから待っていろって連絡がぁっ!
(ひえっ、おしっこ我慢してるのにまだ待たされるのかよっ!)
 泣きたくなったけど、まぁとにかくあたたかい車内で待つしかないもんね。
で、その上司はすぐに出てきてくれて一安心。さぁ忘年会場へ!!
‥と思っていたら、その人、急ぎの残務があるから会社に戻るなんて言うんだよ。
だから私には会社経由で会場に行けって‥‥。
それはいいんだけどぉ、直行なら20分ほどの距離なのに、会社経由だと30分以上かかっちゃう。すごく大回りするんだなぁ‥‥。
私はおしっこがしたくてたまらないのに、この上司はほんとにもうおっ!!。
 なんとなく不機嫌になった私を知ってか知らずにか、その人それからずっと黙り込んじゃったのね。まぁ部署が違うから普段もそんなにお話する機会なんてない人なんだけど、黙ったまま同じ車内にいるってさ、なんとなく気まずいよぉ。
おしっこ我慢してるからなおさら空気が重たく感じちゃうのね。

 私、ほんとにもうおなかパンパンになっていたので、一緒に会社で降りようかとも思ったのね。
けどおしっこはできてもさ、そのあとまたタクシー見つけて会場へ向かうのもなんだかなぁ‥って思って、やっぱり我慢したまま乗って行くことにしたのよさ。
 今度は繁華街に入るから少し渋滞気味。
もう会が始まって30分近く過ぎているから、早い人はすでにできあがっているかもしれないし、置いてきぼりの寂しさもあるから、私は焦っていたの。
おまけに、おしっこがしたくてしたくて‥‥。

 お店の前で止めてもらって、タクシーチケット渡して飛び込むように中に入ったらさ、
「松本由衣さまですね!?」
 って、いきなりお店の女の人に言われたのよさ。
なんか弾みでそうですって返事したら、
「お2階さま、松本由衣さまこられました〜!」
 なんて階段のところで大きな声で叫ぶのね。
(フルネームを出すなぁっ!!、第一なんで私のフルネーム知ってるんだよぉっ!?)
 それだけでも充分恥ずかしい事だし、それに私は先にトイレを借りようと思っていたのに、そんな風に言われたら行くに行けないじゃん。
けどやっぱり行っておこうと思っら、その店員さんと目があって、
「ささ、みなさまお持ちですからどうぞ!」
 なんて私のことをせかすのよ。
「あのぉ、なんで私のことわかったんですか?」
 ってその店員さんに聞いたらさ、幹事が特徴と一緒に教えたんだって。
「特徴?」
「あ、いえ‥‥」
 ここで目をそらすかなぁ‥‥。
どうせこんなちっこい子だからすぐわかるとか言われてたんだろね。
その幹事が階段の上からのぞき込んで、早くあがっておいでって催促するのね。
もうままよって感じでヨチヨチと階段あがっていったら、そこは靴を脱いであがるようになっていて、掘りごたつ形式だったんだよ。
これならスカートでも裾とか気にせずに座れるから楽だよね。
で、係の人に手伝ってもらってブーツ脱いで、いったんそこへあがったら、みんなから一斉に拍手!!
私は主人公でも何でもないからさ、こんなことされたら恥ずかしくて固まっちゃう。
「さ、松本、お疲れお疲れ。」
「由衣ちゃ〜ん、席はここよ!」
「早く座りな。改めて乾杯だ。」
 なんてみんなから言われ出したのね。
私は席に着く前におしっこしたいのっ!!
‥‥そう叫びたいんだけど、注目されてるからそんなの出来るわけないもんね。
おどおどしてたら同僚の子が私の手をつかんで席に着かせようとしたの。
「松本はビール党だったよな。おねえさん、この子にナマいっちょうね!」
「ほら由衣ちゃん、お刺身取り分けておいたよ。」
「おでん、少し冷めちゃったけど、これも食べてね。」
「唐揚げがほしいならこっちにあるからね。」
 みんな次々にそう言って私に奨めてくれるのよさ。
そこへビールがやってきて、改めて乾杯になったのね。
私はおしっこがしたくてたまらないのに、そんな状況でビールなんか飲めるわけないじゃん。
けど「いらないよ〜っ!!」とも言えなくて、いつものようにニコニコ顔でそれにおつきあいしたのね。
はぁ‥、私ったら気が弱いっていうか‥‥。
けどね、冷たいビールを口にしたらブルッて身体が震えて、おしっこがビュッて飛び出しちゃいそうな感じになって、背中に冷たいものが走ったよぉっ。
なのに駆けつけ三杯とか言われてさ、中ジョッキを一気に空けろって男の人がうるさいの。
おしっこしたいのに飲めるわけないじゃん。
「あのぉ‥、寒かったからあたたかいものがほしいなぁ‥」
 って、とりあえずビールを飲まされる事を回避して、できあがりつつあったお鍋を先にいただくことにして、とにかくトイレに行きたいから席を立つタイミングをねらっていたんだよ。
 でもね、周りからなんだかんだって話しかけられてきて、動くに動けなくなってしまって‥‥。
おまけに通路側には男の人が座ってるから、なおさら出にくいのよさ。
(つぅ‥‥おしっこもれちゃいそう‥‥)
 もうね、ほんとにおなかがパンパンなの通り越して、ズキズキしてるような感じでさ、カウントダウンが始まっちゃってるのよ。
(おしっこしたいっ、おしっこしたいっ、おしっこしたいっ、おしっこしたいっ、)
 もうほんと、頭の中はそればっかり。
ブーツを脱いでいるから足も冷えていてね、その足だってじっとしていられなくてソワソワしちゃって、無意識でヒザをすりあわせてたよぉ。
あ〜ちゃんに救いを求めたいんだけど、ずっと向こうの席で誰かと話し込んでて、全然こっちなんか気にしてないのね。
 そのうち身体がブルッってなっちゃって、もう今行かないとほんとに漏れちゃうぞって頭から指令が出たもんだから、 すぐ横にいた同僚の子に
「ねぇ、トイレってどこ?」
 って聞いたのよさ。
「あ、私もトイレ行きたいの。一緒に行こ!」
 その子はわりとあっさりそう言って、一緒に行く事にしたのね。
けど私はもう危険水位を遙かに超えている状態だから、サッサとは動けなくて、掘りごたつから立ち上がるのも危険なのよ。スカートが短いからあんまり足を上げたらさ、男の人の目線も低いからパンツ見られそうだし‥‥。
 その男の人たちに身を寄せてもらってやっと通路に出て、前屈みになりながらトイレの方に向かって歩き出したんだけどぉ、ひどいんだよ。そこは男女共同のトイレが一つしかなくてさ、すでに並んでるんだもんなぁ。
女の子だけならいいけど、あんまり親しくない男の人まで並んでるの。
おまけに、私と一緒に来た子がね、
「ね、わたし、けっこう我慢してたの。先に行かせて!」
 なんて言って、私の前に並ぶんだよ!
気の弱い私はいやだとも言えないし、その前には男の人がいるから、自分の本当の状況を説明することも出来なくて、私はもう顔面蒼白‥‥。
前には男の人がいるし、並んでいるところは席からも見えるところだから、押さえることも足をクネクネすることも出来なくて‥‥漏れ出しそう‥‥。
 男の人の前に入っていた女の子が出てきた時、チラッと中が見えてね、そこが洋式だとわかって一安心したんだけど、親しくない男の人が使ったあとってさ、なんだか洋式っていやじゃない?
そんな贅沢なこと言ってられる状態じゃなかったんだけど、それは確かにそう思ったよ。
 んでその男の人、きっと立ったままでおしっこしてるからだろうけど、水たまりにジョボボボっておしっこが跳ねる音が聞こえてくるのよさ。
そのときはねぇ、その音に憎悪感と、つられて自分のおしっこが出てしまいそうになる恐怖感とを同時に味わったよ〜。

 とにかく我慢に我慢を重ねて、次に同僚の子が入ったら、もうさすがにじっとしていられなくなって、人目を気にしながら足をトントン‥‥、きっと腰もクネクネしてたと思うよ。
私の後ろに誰も並ばなかったから、まだ幸いだったんだけど、流す水の音ってさ、地獄からの招待状だよね。ついフラフラ〜ってなっちゃいそうで、歯茎が痛くなるほどかみしめてこらえたよぉ。おしっこを‥‥。
 その子がドアを開けた瞬間に、私はもうトイレに入ろうとしたの。
さすがにそれ見てその子も驚いていたみたい。
「ごめん‥もう漏れる!!」
 そう言いながら私はその子とドアの隙間から潜り込んだわけ。
こういう時だけ小型な身体に感謝かもね?
 その子はすぐに状況を判断してくれて、
「ドア押さえておいてあげる。」
 って言ってくれたのね。
つまり鍵をかける余裕がないって事をわかってくれたんだよ。
 さぁここからが大変。
その子が表からドアを閉めてくれた途端、あっ!!って思うようなことがぁっ!!
おしっこの奴がぁ、待ってましたとばかりにあふれ出してきたんだよ〜!!
私はもう座る位置なんか確認する余裕もなくて、とにかくスカートめくりあげながら向きを変えて、パンツおろしながら腰掛けたのね。
ジョバ〜ってすごい憩いでおしっこが出てね、水を流してないから表にいる子にも音を聞かれたと思う‥‥。
それよりもさ、腰掛ける位置が少し前すぎたみたいでね、私のおしっこが勢いよく便器から跳ね返ってきてさ、もうおしりの周りまでベチョベチョになっちゃった。
フライングもしてるから太ももにまで少し伝ってるし‥‥。
(あ〜あ、またやっちゃったよぉ‥‥)
 なんとなくこうなることが予測されていたけど、やっぱりそうなっちゃった‥‥。
トイレの外ではあの子がドアの番をしてくれているから、あんまりゆっくりしてられないので、とにかく私はおしっこをしながらペーパーを引き出してパンツに引っかけたおしっこを吸い取ったりして、おしっこが終わると同時におしりとかきれいにして、やっと落ち着いて冷静になってきたらね、なんかソックスの指先に水気のような感触があるのに気づいたのよ。
何だろうと思って目を下に向けたらね、床のあちこちが濡れているっていうか、しずくのようなのが散らばってるのよさ。
それは自分のおしっこかもしれないし、男の人が飛ばしたしずくかもしれないんだけど、とにかく点在してるのね。
いやだなぁって思ったんだけど、その時になって私は初めて気がついたのね。
私ったらあわててトイレに入り込んだからさ、トイレ用のスリッパを履いてないっていうか、それがあることさえ気づいていなかったのね。
は〜ぁあ。ほんとおバカなこと‥‥。

 そのあと、私は湿ったままのパンツを穿いてまた席に戻った訳ね。
もうね、冷たいったらありゃしない。
それが呼び水になって、それから数分後にまたおしっこしたくなって、今度はあわてることなく済ませたけど、ペーパーがほとんどなくなっていた。
予備ロールもなかったようだから、私の後に入った女の子どうしたかなぁ‥‥?
 まぁそんなドタバタな忘年会をやり過ごして、と〜っても寒い中を二次会に移動したのね。私のパンツは凍ってしまうかと思うぐらい冷たくなっていたよ〜。
 何人かでカラオケに行って、別行動していたあ〜ちゃんと12時に待ち合わせしたんだけど、また例によってあ〜ちゃんは遅刻‥‥。
あの痛いような寒さの中で、私はまた15分ほど待たされたのであった!!
当然だけどお酒も入っているからまたおしっこしたくなってきてた。
振り返ってみたらさ、去年の忘年会でも私ったら待たされておしっこ我慢してて、京都の繁華街‥南座の近くの路地裏で野ションしてたんだよね。
今回はそこまでのことはなかったけど、帰りのタクシーの中でそのこと思い出してひとり笑ってた。
 おうちに着いてもおしっこ我慢してて、一緒にお風呂に入ったのね。
そこでエッチがあるのかな‥‥なんて(かなり)期待してたんだけど、まだお酒が身体に残っているからってことで、早々に切り上げてあがってしまったのよさ。
ずっとおしがましてるから、エッチするなら早くしないと‥‥なんて思っていた私。
 まぁご期待通り、それからしばらくしてリビングでエッチが始まったんだけどね。
ん〜、ほんとはお風呂の中でしたかったなぁ‥‥。
そしたら途中でおしっこが出てしまってもさ、大丈夫なんだもんね。
カーペットの上だからさ、漏らしたら大変だって必死だったよ。
まぁ‥‥それはそれでまた気持ちいいんだけどねぇ。あはぁ‥‥。
けどいつか近いうちに、あ〜ちゃんのお顔にさ、ジャ〜ってやってしまいそうで、それが心配な私。
博士たちはそれでいいんだって言うけどさ、なんかさすがに気が引けるよね。

 そんなわけで、相も変わらずおバカな事を繰り返している由衣ちゃんとあ〜ちゃんのお話でした。
あ、今回はあ〜ちゃんの出番が少なかったなぁ‥‥(笑)



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