卒業旅行




 スースーと寝息を立てている姉の背中に抱きつくような格好で、中学時代の修学旅行の思い出にふけっている由衣。
パジャマの上からではあるが、その右手は思い出と共に少しずつ動き出していた。
(私って・・・けっこうおしがまの事ばっかり思い出すなあ・・・)
たしかに高校時代の修学旅行でも、湖の遊覧船で死ぬほど辛いおしがま体験をしていた。
寝台特急では、洗面所に男子がたむろしていてトイレに行けず、じっと我慢していた思い出もある。
(私って・・・やっぱり変な子なのかなあ・・・?)
(これって・・・性癖とかいうんだよなあ・・・?)
 ついさっき、姉の麻衣が語ってくれたおしがま体験に自分をダブらせ、由衣の右手の動きは、徐々に激しくなっていった。
(ああ・・そういえば卒業旅行の時も!!)
なぜかおしがまにばかり思い出が偏る由衣は、短大の卒業旅行の事まで思い出していた。
九州に行ったあの日を・・・。

※*・*※・※*・*※・※*・*※・※*・*※・※*・*※

 仲良し4人組は、短かった短大の思い出にと、九州旅行を計画した。
リーダー格で長身の香織。ひょうきんで小柄な真理。おすましの希美、それに由衣の4人であった。
 3月下旬、4人は羽田空港で待ち合わせ、思い思いの期待を胸に熊本に向けて旅立った。
その日は熊本市内観光のバスに乗り、半日楽しんだ後、ターミナルにある交通センターホテルに宿泊した。
香織「明日は阿蘇に行く?、それとも天草が良い?」
真理「どちらでもよかばってんたい!」
香織「へんな九州弁使わないでよ!」
希美「真理っぺおもしろ〜い!」
香織「乗せちゃいけないって、真理はお調子者だから。」
真理「へへ〜い、オイラお調子者ですけん!!」
希美「あははは・・・」
香織「こらっ!」
由衣はそんなやりとりが楽しくてたまらなかった。

 翌朝、やや曇り空の中、4人は手配していたレンタカーを利用して阿蘇に向かった。
運転するのは香織。
地図を頼りに熊牧場に到着した4人は、生まれたての小熊をだっこしたりして楽しんでいた。
お昼を少し過ぎたあたりまで楽しんでいたが、いよいよ阿蘇の火口に行こうと言うことで、4人は出発した。
真理「ねええ、阿蘇山ってどっちに見えるの?」
香織「え!?」
真理「まだ遠いのかなあ?」
香織「ええ??」
希美「あ、真理っぺ・・ひょっとして・・・」
真理「ん?」
香織「ここら一体が阿蘇山だよ。」
真理「へっ!??」
香織「もう阿蘇の山の中!」
真理「はあっ???」
香織「いい。ここら一体を外輪山と言ってね・・・」
運転しながら香織が説明する。
真理「へえっ、オイラ富士山のような山を想像してたよ。」
(そうだったんだあ・・・)
何も知らない由衣も、香織の説明を聞き、改めて景色を見つめていた。

 1時近くになり、草千里に到着した4人は、火口から吹き出す煙の多さと、その火山灰でアスファルトまで灰色になっていることに驚かされ、
「すごいねえ!」
みな同じ言葉を口にしていた。
 火山博物館の中のレストランで食事を済ませ、観光乗馬を体験する。
由衣は高校の修学旅行で乗馬を経験したので、わりと気楽に乗れたが、リーダー格の香織がすごく怖がって、なかなか乗ろうとしない事が、すごくこっけいに思えた。
(香織でも苦手なものがあるんだなあ・・・)
およそ1キロほどの行程で、草千里を一周するコースであったが、由衣は慣れていると言うことで、2キロコースを選んだ。
(う〜ん、気持ちいいなあっ!)
馬の鞍の上で、高い視線から見下ろす快感が由衣にはあった。
しかし行程半ばあたりまでくると、空模様は一段と怪しくなり、火山灰混じりの風も強くなってきた。
(やばいなあ、降ってきそうだ・・・)
由衣は急に不安になり、早く帰ろうと馬のおなかを蹴ってみた。
しかし体の小さい由衣が蹴っても、なにも感じないのか馬はいっこうに早足になる気配がない。
決められたコースを、カッポカッポと歩いていた。
(困ったなあ・・・どうしよう・・・。)
(おしっこもしたくなってきた・・・)
そう言えば由衣はこの日、ホテルを出てから一度もトイレに行っていなかった。
(早く帰らないと!!)
草原の風は寒く、ある程度着込んでいる由衣であっても辛い。
(あ、そうだったっ!)
修学旅行で体験した乗馬で、慣れている馬なら、腹を蹴ったりしなくても、声を掛けるだけで命令を聞くと言われていたことを思い出した。
(えっと・・なんて言ったっけなあ・・・)
(えっと・・えっと・・・あっそうだっ!!)
「ギャローップッ!」
由衣はありったけの声を張り上げた。
ピクンッと耳をふるわせた馬が、突然駆け足になった。
「きゃーーーーっ!!!」
不意を食らった由衣の体は鞍の上で跳ね、バランスを崩した。
上下に揺れる馬の上。
体重がない体は、まるでゴムまりをつくように跳ね続ける。
捕まるものは何もない。
握っている手綱だけである。
「止まってっ止まってとまってーーっ!」
叫びながら由衣は、必死で手綱を引いた。
途端に馬は駆け足を止め立ち止まった。
「わああーーっっ!!」
反動で由衣の体は前につんのめり、鐙(あぶみ)に固定された靴が脱げ、軽々と宙を舞い、一回転して馬の右首すじをかすめ、草の上に背中から投げ出された。
「クウッッ!」
生い茂った草の上であった事が幸いし、由衣は背中に痛みを感じたものの、それ以上のケガはしなかった。
「いった〜いぃ、何で急にとまるのよぉ、バカッ!!」
馬に当たる由衣。
主が落馬したことを知っているのか、馬はその場から動かず、長い首を下げて由衣のポーチのひもを噛むと、立たせようと言うのか引っ張り上げようとしていた。
「!!!」
由衣は股間に違和感を感じた。
(えっ、もらしたっ!?)
痛みが残る背中を感じながら立ち上がると、キョロキョロとあたりを見渡し、そっと股間を触ってみた。
ジーンズの上からは何も感じない。
前屈みでのぞき込んだが、濡れてはいないようである。
シャツをめくり上げ、ジーンズの中に手を入れてみた。
「!!」
下着が湿っている。
どうやら落馬のショックで少し漏れてしまったようだ。
(わ〜ん、たいへんだあ!!)
あっという間に下着は冷たくなっていった。
それが尿意を誘う。
鐙に残された靴をはずし、手綱を引いて再び乗ろうとしたが、背の低い由衣にとって馬の鞍はとてつもなく高いところにあった。
(困ったなあ、どうしよう・・・?)
到着地点までは、まだかなりの距離があるのか、火山灰でかすんで見えない。
みると少し先にいくつかの岩が転がっている。
由衣は手綱を引いて馬をそこまで連れて行き、手頃な岩によじ登って、やっと鞍に座ることが出来た。
(やっ、おまたが冷たいぃぃぃ!!)
大きく足を開いて座るため、濡れた下着の感触が伝わってきた。
(早く帰らないと、ジーンズにシミちゃう!)
気を取り直した由衣は、手綱を握り直すと、
「ハイッ!」
と声を掛けた。
待っていたかのように、馬は小走りになった。
駆け足ほど早くはないその走り。
しかし上下に振動する。
(うわっ、おしっこもれそうっ!!!)
激しい震動が由衣の膀胱を直接刺激する。
下着の冷たい感触と入り交じって、由衣の括約筋はマヒしそうであった。
駆け足の方が振動は少ない。
「ギャローップッ!」
由衣は心の準備をしてから駆け足を命令した。
馬は走ることが好きなのか、一気に草原を駆けだした。
みるみる到着地点が迫ってくる。
(く〜〜、それでもおしっこもれそうっ!!)
やはり足を大きく開いていることで、由衣の辛抱も限度がある。
(早く着け、早く着けぇ!!)
由衣は必死であった。

希美「見てっ、由衣ちゃんすごい!」
真理「ほうお、やるなあ由衣。」
香織「ふ〜ん、ちっこいのにねえ。」
真理「香織がでかいだけだよ。」
香織「あんたら、みなちっこいもんね。」
真理「うるせいっ」
香織「保育科のミカちゃんがいたら○●大学のミニモニだもんね。」
真理「ウルセイッ!」
香織「由衣が【亜依】なら名前まで一緒だ!」
真理「かーっ、それを言うなあ!!!」
由衣の帰りを待っていた3人は冗談を言いながら、普段では想像できない由衣の勇姿に見とれていた。
必死の思いで帰ってきた由衣に対して、待っていた言葉は、
香織「遅いよ由衣。」
真理「早く行かないと雨降るぞーっ」
希美「待ってたんだからあ、早くおいで!」
と、少し漏らしてしまっている由衣に、トイレ休憩を与えることなく出発するという残酷な言葉であった。
「え、あ・・ちょっと・・・」
馬から下りた瞬間にかけられた言葉にとまどっている由衣の首を、ペロンと馬がなめた。
「ヒャッ!」
親愛の情でなめたのであろうか。
しかし由衣にとっては衝撃で、再び「チロッ」と流れ出すものがあった。
「もうお、この馬のエッチィ」
かわいい目で見つめる馬の顔を軽く撫でると、バイバイをするように手を振って3人の元に戻った。
下着が冷たい。
さ、行くよという香織に、
「お願い、ちょっとトイレ・・・」
とだけ言って火山博物館に駆け込んだ。

 空はいよいよ泣き出しそうな雲行きになり、火口へのロープウエイの駅に着いた頃には、ポツリポツリと降り出していた。
真理「次の出発まで・・20分あるなあ・・」
香織「コーヒーでも飲んでいようか。」
希美「賛成、のど乾いたもんね。」
4人は自動販売機の缶コーヒーを飲みながら、ぼんやりと雨混じりの外を眺めていた。
そのとき、
「河口行きの便をお待ちのお客様に申し上げます・・・」
スピーカーから飽和状態の音声が流れてきた。
「!」
4人が一瞬緊張する。
「ただいま火口付近は天候が悪く、強い風と雨で危険な状態に・・・」
アナウンスはロープウエイの運行を中止するというものであった。
真理「げっ、うそだろ〜」
希美「そんなあ、ここまで来てるのにぃ!」
香織「やれやれ・・・」
由衣「・・・・」
たしかに雨が強くなってきていた。
風も相当強い。
4人は渋々土産物をあさって車に戻った。
駐車場まで戻るわずかな間でも、かなり横殴りの雨に打たれ、4人はすっかり濡れてしまった。
真理「ついてないなあ・・・」
希美「ほんと、行きたかったなあ、火口・・・」
由衣「・・ごめんね・・・」
香織「いや、由衣のおかげだよ。」
3人「?」
香織「由衣が早く戻ってきてたらさ、今頃火口だったわけでしょ。」
3人「うん・・・。」
香織「この状態じゃあ火口の駅で足止め食らってるよ、きっと。」
真理「そうかもなあ、降りてこれないかもね。」
希美「ああ、それはあり得るねえ。」
由衣「・・・」
香織「あしたまた来たらいいじゃない!!」
真理「そうだべな、そうすっぺっ!」
激しさをます雨の中を、香織の腕だけを頼りに、4人は熊本市内へと向かっていった。
が・・・

香織「ちょっと・・やばいなあ・・・」
真理「どうしたの?」
希美「大丈夫!?」
由衣「・・・?」
火山灰を含んだ雨のため、フロントガラスにはワイパーの動く範囲以外は濡れた灰がこびりついて視界がなくなり、おまけにワイパーにも火山灰が付着して、動くたびにたくさんのスジが出来て、更に視界を悪くしていた。
雨も更に激しくなり、アスファルトに覆い被さっている火山灰で車がスリップし出した。
横からの風も強い。
車の天井にもバラバラと音が響くほど強い雨に変わってきた。
「ごめん、ちょっと自信ないわ・・・」
香織はそう言うと、車を路肩に寄せて止まろうとした。
ガタンッ!
急に大きな衝撃が伝わり、車は左に傾いた。
「やっちまったあっ!」
香織が叫んだ。
視界が悪く、側溝に前輪をはめてしまったようだ。
あわててバックしようとしたが、動かない。
「だめだこりゃ・・・」
香織がつぶやいた。
他の3人は緊張した面持ちで香織を見守る。
香織「ごめん、雨が・・もう少し小降りになるまで待って!」
真理「いいよ。小降りになったらみんなで押し上げようぜ!」
由衣「うん。」
希美「JAF呼んで助けてもらったら。」
香織「圏外だよ、ここ・・・」
希美「・・・」
まだ3時過ぎだというのに、火山灰の雨で空は真っ暗になっていた。
たまに行き交う車がある。
雨さえ降っていなければ助けてもらえるかもしれないが、土砂降りの状態ではそれも出来ない。

 やがて希美が、
「トイレ行きたくなってきた・・・」
すると真理が、
「オイラも・・・」
事実、由衣も少なからず尿意を感じていた。
肌寒い風に吹かれていたために、それなりに体は冷えていたようである。
雨は降り止まない。
何となく不安な空気が車内を包んでいった。

 4時になろうとしたころ、ようやく雨は小降りになり、空も少し明るさを取り戻してきた。
香織「よし、今の内にやろう!」
真理「おっしゃっ、車を助けようぜ!」
4人は一斉に車から降りた。
ブルッとふるえるほどの寒さであった。
1時間あまり車内の暖かい中にいたために、外気はいっそう寒く感じられた。
真理「かーっ、おしっこにこたえるねえっ!」
希美「おしっこって言わないでよぉ!」
真理「なんでよ、おしっこしたいんだろ?」
希美「そんなこと言ったら・・よけいしたくなっちゃう・・・」
真理「オイラだって我慢してるんだい!」
車の前輪は、側溝ではなくアスファルトのくぼみに入り込んでいた。
しかし右側の後輪が浮いてしまったことと、火山灰でスリップするためにバック出来ないでいたようだ。
「みんなで押すしかないね。」
香織の言葉で、みな車の前に回り込んで、押し上げようとした。
しかしそれぞれ膀胱にかなりの水を貯めているために、思うように力を入れられない。
香織「だめだこりゃ・・・」
真理「どうする・・?」
希美「私・・もうすぐ限界〜・・」
由衣「・・・」
香織「この中で・・一番軽いのは・・由衣?」
由衣「・・・たぶん・・・」
香織「じゃあ由衣、乗ってバックでアクセル践んで!」
由衣「え、だって私・・運転できないよ・・・」
香織「動いたらすぐにブレーキ践むの!」
由衣「だって・・こわいよ・・・」
香織「いいからっ、それしか方法ないんだからっ」
由衣「・・・」
香織「早くしないと希美がおもらししちゃうよ!」
たしかに希美はそわそわし、しきりに股間を押さえている。
小降りとは言っても、それなりに降り続く雨の中である。
早くしないと風邪をひいてしまう。
由衣はおそるおそるアクセルを踏んだ。
「由衣、もう少し踏み込んでっ!」
香織が叫ぶ。
しかし、タイヤはスリップするだけで、いっこうに動く気配がない。
余分な力を入れられない状態の娘たち3人が、どうあがいても無理な事であった。
香織「まいったなあ・・・」
真理「やべえよなあ・・・」
由衣「・・・」
希美「トイレ行きたい・・・」

途方に暮れかかったとき、測候所へ向かうジープがさしかかった。
女たちが車を囲んで困っている様子を見て、若い男性二人が降りてきた。
「どうしました?」
その声は天の助けにも思えた。
香織が事情を説明すると、二人の男性は車の周りを確認し、ジープで引っ張り出すと言ってくれた。
ありがとうございますとお礼を言う4人。
ジープからワイヤーを取り出し、小雨の中で作業してくれる男性は、それなりに男前で、娘たちは気をよくしていた。
その分、トイレを我慢していることを悟られないよう、希美も真理も由衣も必死だった。
しかし作業は思ったよりも手間取り、希美の状態はもうわずかの余裕しか無くなってきていた。
希美は男性の視界から隠れるように長身の香織の陰に入り、
希美「もうだめかもしれない・・・」
香織「何言ってるの、子供じゃないんだから!」
希美「だって、もうパンパンだもん・・・」
香織「もう少しだからさ、すぐに行けるよ。」
希美「もうやっちゃいたい・・・」
香織「漏らすなよ、こんなところで!」
それを聞いていた真理が。
真理「オイラも限界が近いよ・・・」
香織「あのねえ、私だって相当我慢してるんだからね!」
真理「香織も我慢してたのか?」
香織「当たり前でしょ。」
真理「由衣は・・、あ、だめだこりゃ!!」
真理が言うとおり、由衣はすでにジーンズの上から股間を押さえていた。
香織「由衣、みっともないよ!」
由衣「だって・・・」
結局女4人は、若い男性二人の目を気にしながら、モジモジソワソワし、
一刻も早く作業が終わるのを待つしかなかった。
雨で髪の毛が濡れている。
服もかなり濡れ、体温が奪われる。
(おしっこしたい・・・)
おそらく4人とも、何度もその言葉を心の中でつぶやいていたであろう。

 15分ほどして、ようやく車は脱出でき、4人はホッとした。
後日お礼がしたいからと、遠慮する二人にメールアドレスを聞き、
「あの・・一番近い休憩所って?」
と香織が聞いてくれた。
「そう、草千里の火山博物館が近いかなあ。」
男性たちはそう言うと、車に乗り込み走り去っていった。
(わっ、さっき通ってきたところじゃない!)
トイレに行ける安心感が、由衣の尿意を一気に加速させる。
ほかの3人も同様であろう。
香織は車をUターンさせると、ゆっくりと走り出した。
助手席の希美はうつむいたままである。
「ああ・・お腹がパンパンでアクセル践みづらい・・・」
香織の言葉に寒気を覚える3人。
(ここで事故られたら膀胱が破裂するぅ)
(接触事故でも起こしたらおもらししてしまう)
(相手がいたら見られてしまう)
みな同じような事を考え、香織の安全運転と、一刻も早いトイレへの到着を祈っていた。
香織は香織で、シートに座った事による膀胱の圧迫感が辛く、股間に力を集中しているため、アクセルを踏む足がふるえていた。

 しばらく行くと、
「もうダメ、止めて止めてぇ!」
希美が叫んだ。
驚いた香織がブレーキを踏むと、止まりきらないうちに助手席から飛び出した希美は、ガードレールの切れ目から木立の中に飛び込み、木陰に回り込むと一気にジーンズと下着を降ろしてしゃがみ込んだ。
白いお尻が木の隙間から見えている。
真理「あのバカ、なにやってんだか・・・」
香織「相当やばかったんだよ・・・。」
真理「救出があと5分遅れていたら男の前でおもらしだったね。」
香織「あ〜あ、気持ちよさそうだよ。」
真理「はは・・湯気がたってる・・・」
由衣「私も・・したいよ・・・」
真理「由衣、はずかしいよ、ほら車が来た!」
言われたとおり、このとき前方からも後方からも、何台かの車の姿が見え、由衣たちのそばを通り抜けていった。
まだ用が終わらない希美の姿は見られてしまったかもしれない。
「若い女があんな所でケツ出してたら襲われるぞ!」
真理の言葉に由衣は、
(もし・・おしっこしてるところを襲われたら!!??)
と、想像しただけで体に震えが走った。

 やがて希美がはにかみながら車に戻ってきた。
「ティッシュが少なくて手に染みちゃったよぉ!」
希美の言葉に真理は、
「汚ねえ、絶対さわるなよ!」
と、後ろから頭をこついていた。
(それでもいいから早くしたい!!)
由衣は歯を食いしばっていた。

 火山博物館に着くと、香織は玄関脇の駐車スペースに車を着け、真っ先に飛び出した。
「こら香織、待てえっ!」
真理が後を追うように飛び出す。
香織の後ろの席にいた由衣は、とっさの動作が出来なかった。
「由衣、大丈夫?」
希美が心配そうに声を掛けたが、自分だけ先に楽をした希美を腹立たしく思っていた由衣は、返事も返さずにフラフラと建物に向かった。
 トイレのドアを開けると、二人の女性のけたたましい放尿音が響いていた。
音消しのために流しているのであろうが、水洗の水音は全く役に立っておらず、その上からでも、はっきりそれとわかる音であった。
「はあ・・・」
水音を聞いた瞬間、由衣の尿道口は開きそうになる。
気力だけでそれを押しとどめ、三番目の個室に入った由衣は、すっと体の力を抜いた。
2時間半ほど前におしっこしたばかりだというのに、自分でも驚くほど勢いのある排尿であった。
「ふう・・・」
(おしっこするのって・・・なんて気持いいんだろう・・・)

※*・*※・※*・*※・※*・*※・※*・*※・※*・*※

 思い出しながら、由衣は体の一部を熱くしていた。
(ああ・・私って変な子になっちゃったのかなあ・・・?)
(いつからこんなになっちゃったんだろう・・・?)
(中学の頃は・・・辛いだけだったよなあ・・・)
(やっぱり初めてのデートのときかなあ・・・?)
(先輩に知られて恥ずかしかったけど、気持ちよかった・・・)
(あの後・・初めてオ●ニーしたんだっけ?)
(やだ・・・思い出しただけで恥ずかしくなるぅ・・・)

眠れない由衣が睡魔に襲われたのは、それから2時間ほど過ぎた午前5時前であった。


おしまい

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